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カテゴリ:茶木の音楽紀行
「お父さんは仕事?」と尋ねてみた。
「そう、親父は石切り場で働いている、仕事の後は必ず飲んで帰る、かなり飲むから しょっちゅう誰かが迎えに行かなくちゃならない。 親父のやっている仕事というのはものすごくきつい作業なんだ。 仕事が終われば飲まずにはいられない、仕方ないんだ。 だから俺は早く歌い手になって金を稼いで親父に楽をさせてやりたい、親父もいつま でも若くないからね。」 「へー、そんなかっこいい目標があるんだ」「まーね」と言ってちょっと恥ずかしそ うに下を向いてフォークでジャガ芋を転がした。 食事が終わり、お母さんに「とても美味しかったです、ありがとう」と礼を言って僕 たちは授業に向かった。 その日もクワストフはプッチーニの歌劇「トスカ」やモーツァルトの歌劇「魔笛」の アリアを立派に歌っていたが、僕はコシ・ファン・トゥッテのアリアを依然歌い切れ ず難儀していた。 とにかく今は焦らずマイペースで行こうと腹を決めていたが、それでもとても悲しく なり、打ちひしがれた気分で帰る時も有った。 その日も正にそう言った気持ちのまま授業が終わり、窓の外を見ると見た事もない量 の雪が積もっていて、表に出てみると車はすべて雪に埋まり、皆電車か徒歩で帰るし かなかった。 雪は臍ぐらいまで有り、駅まで10分ぐらいの所を40分ぐらい掛けて歩き、そんな 雪の中を歩くなんて経験のない事でとても面白かった。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.01.26 14:30:42
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