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2005.10.25
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カテゴリ:恐るべし中国人
あっという間に、後1週間の日本滞在となってしまった。

最初の1週間の中国旅行は、本当に楽しむ以前に疲れてしまった感があった。
なんと言っても、言葉が通じないのは致命的だった。
しかも、幸か不幸か中国の建国記念日に当たる、国慶節にまるで図ったように重なり、親戚一同30人総出でのおで迎えから始まり、毎回の食事はもちろんマイクロバスを借りての日帰り旅行など、1週間親戚2、30人(それぞれ都合があるらしく、日によって顔を出したり出さなかったりする人もいた)と毎日顔を合わせる羽目となり、最後には「また、叔母さん家で食事かいな、、、」と麗秋閉口する始末だった。

そうは言っても、みんな親切だし、食事は美味しいし、ものは安いし、Lisaの面倒は看てくれるしで、振り返ってみれば、よかったのだろう。いや、そうに違いない。残念ながらそのときは、そうは思えなかったのだが。

ただ一つだけ、どうしても嫌だったことがあった。

もちろん、初孫は目に入れても痛くないほど可愛いのだろう。甘やかしたくもなるはずだというのは、理解していたつもりだった。たった一週間だから、多少の甘やかしには目をつぶるつもりで現地入りしたのだが…。

チャイルドシートを重い思いをして持っていった私は、もちろん中国でも使ってもらうつもりでいた。中国の運転マナーの悪さは前回の訪問で痛いほど分かっていたし、何を置いても我が子の命には代えられない。

運転手は、たいてい携帯でしゃべりながら運転しているし、突然のバイクや自転車の飛び出しは当たり前、ラウンドアバウトは「左優先」というルールは守られず、左から来る車を無視して皆どんどん円の中に入って行くので中はいつも渋滞しているし、ジグザグ走行、バッシングやクラクションは日常茶飯事、さらに高速の出口でバックで逆走している車は一台や二台ではないし、、、、とにかく、日本やイギリスでは考えられないような信じられない光景を日々目にするのが中国の道路事情である。おのずと、急ブレーキは避けられない状況にも多々遭遇するわけで、車の中で動き回るLisaには、チャイルドシートは不可欠だと思われた。

ところが、、、Lisaのおばあちゃんに当たる、セイのお母さんは、Lisaがぐずると直ぐにチャイルドシートからLisaを開放してしまう。そして、Lisaは誰よりも私の膝に座りたがるので、前のシートに座っている私に「ハイ、どうぞ」と言わんばかりにLisaを渡してくるのだった。そして、そういう危険極まりない道路事情の中、じっと座らずに動き回るLisaを、私が必死に抑えつけておかなければならない状況がしばらく続いた。
多少の甘やかしには目をつぶろう、と思っていた私も、この状況にはさすがに参った。もし何かあれば、取り返しのつかないことになりかねない。窮地に立たされた私は、イギリスでお留守番をしているセイに助けを求めた。

わざわざ実の息子から説明をしてもらったのだし、もう大丈夫だろうなどと高を括っていた私は、その次の日、前日と全く同じ光景を目にして唖然とする。
いや、前日よりもさらに早く、座った瞬間に泣き出したLisaはチャイルドシートから速効開放されたのだ。
Lisaの命の危険性を憂う私の小さなお願い一つ聞いてもらえないのだ、また、あまりの甘やかされようにLisaも今まで培った堪え性がなくなってしまったのだ(イギリスにいたときのLisaはチャイルドシートにおとなしく座っているよい子だった…)、と思うと、悲しいやら悔しいやらで、怒り爆発。

後部座席から私の膝に来たいと泣き叫ぶLisaを私は断固拒否した。
ここで私が受け入れれば、「ちょっと泣けば、おばあちゃんがシートから開放してくれて、ママが膝に乗せてくれる」というLisaの甘えの構図が成立してしまうからだ。
私は、お義母さんにも全身でメッセージを伝えた。Lisaをチャイルドシートから開放したいのなら、ご自分で責任を持ってLisaの命を保障してください、と。動き回るLisaを助手席で抑えておくのは至難の業だ。私は、それを何日も冷や汗を掻きながら死守してきたのだ。そして、何よりその危険性やチャイルドシートの必要性をセイに前日、口をすっぱくして説明してもらったのではないか。
その時間は、全く持って無駄だったのか。

それでも、お義母さんは、Lisaを何度も何度も私に押しやった。
結局車の運転も危うくなり、脇道に停車。私は、前のシートから飛び降りて、後部座席のドアを開け、怒りに任せてLisaをチャイルドシートに押し込めようとしたが、時すでに遅し。Lisaは鬼の子顔負けの大泣きで、ふんぞり返って抵抗し、収拾がつかない状況になっていた。

ふと横を見ると、見ていられないわ、といわんばかりに目を背けながら、お義母さんがしくしく泣いている。
貴方が泣いてどうするんですか、孫の命の危険も考えずに。
冷たい嫁と後ろ指をさされようと構わない。
同情の余地もない。

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結局、次の乗車の際、私がLisaと一緒に後部座席に座ることとし、泣き叫ぶLisaを一人私が介抱した。お義母さんはやっぱり助手席で泣いていた。Lisaにこんな辛い思いをさせている張本人は、自分自身だと言うことが分かっているのだろうか、と私はぼんやりと考えていた。今までは、黙っておとなしくチャイルドシートに座ることができたのに、甘い蜜を吸ったばかりに、そんな簡単なことができなくなってしまったのだ。

案の定、そのときは疲れ果てて寝てしまうまでの40分間泣きつづけたが、その次の乗車からは、おとなしくシートに座ることができるようになった。断乳のときと同じ原理である。泣いても与えられないものには、固執せず、前へ進めるのが、この年代の子の利点だと思う。要するに、忘れっぽいのだ。

そのことがあってからも、私は、以前と同じようにお義母さんに接し続けた。お義父さんは、私のしたことが正しいと私に伝えてくれた。お義母さんの愛し方が間違っているのだと。それでも、少しぎこちない思いが胸にしこりとして残ってしまった。

そんなことがあって、せっかくの中国訪問を存分に楽しめることもなく日本に飛ぶことと相成ってしまった。まあ、嫁をしにいったのだから、始めから上手く行くわけもなかったのだが。
それに、旦那抜きで、言葉が通じない、となればなおさらだ。

気がついてみれば、日本滞在、後1週間。
日本滞在についてもいろいろ書きたかったのだが、それはまた後日。(いつになることやら…(遠い目))





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最終更新日  2005.10.26 01:22:20
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