夢野久作「無系統虎列剌」・本
1934(昭和9)年「衆文」5月初出。朗読時間約26分。タイトルは「むけいとうコレラ」と読みます。法医学なんて鰻丼の匂いだけ嗅がされてほっぽり出されるような仕事だと冒頭から愚痴る主人公の法医学者。そして語られるある町に起こったコレラ事件。獣医師が自宅で一緒に呑んでいた友人の内科医師の死をコレラだと診察したことから町はパニックに陥るが冷静な法医学者の主人公が感染経路不明の無系統コレラを不思議に思い調査すると酒飲みの二日酔い予防の酒石酸を飲む習慣が原因の、コレラとは無縁の、思い込みがミスリードの原因と判明する話。つまりはこの真相が実はみんな馬鹿だったがために起こった大騒ぎなのでしたとさ。皮肉っすね。