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ジュ、jusはジュースのこと。フランス料理の出汁には色々な種類がありスープやソースのベースとして使われる。ジュもそのひとつ。通常のフレンチのだし汁は、肉や魚などの動物質と香味野菜とハーブを組み合わせて作られるのだが、ジュという場合は純粋にまさにそのものの味を抽出した感じのシンプルなだし汁のことを言う。たとえばフォンドヴォー、fonds de veauは子牛の骨や筋くず肉などに香味野菜やハーブも加えて丸々一日もことこと煮込んで旨味のほかに骨や筋のコラーゲンもしっかり煮出すのだが、ジュはたとえば肉を焼いたなべにこびりついた旨味を水やワインでさっと溶かしたものや、ごく短時間ですっきりした旨味と香りの高いだしをとるという感じのものである。
この時季市場に行くと5kgで¥1000などという激安アサリがよく出ていることがある。市場ではLやLLサイズのアサリは、酒蒸し用サイズとして高値で取引されるが、小さな味噌汁用サイズはこのアサリの旬な時期は、セリで値崩れして激安になってしまうときがあるのだ。そんなアサリが手に入ったときによく作るのがアサリのジュ。アサリはよく洗って水を切り(砂抜きはしなくてもよい)なべに入れたら白ワインをひたひたまで注ぐ。エシャロットか玉葱の微塵切りを入れて強火で一気に沸かす。アサリが開いたら火を弱めあくをすくい2~3分煮てから布漉しして出来上がり。アサリはさよならします。白ワインで煮るので固くなるし、砂抜きしないので食べられない。砂抜きしないのは、鮮度を最優先するためだ。そのジュを煮詰めてバターでつなぎ、生トマトのコンカッセ(皮をむいた角切り)とシブレットを加えてレモン汁をぽたりとたらす。白身魚のソテーなどに添える。ムール貝で作ってもとても美味しい。