カテゴリ:本
本日ご紹介する本は、西澤保彦さんの「
黄金色の祈り」です。 ●あらすじ 中学時代に起こった吹奏楽部での楽器紛失事件は、僕が行った高校でも起こった。誰がなぜ楽器を盗むのか。 ●簡単な感想 ミステリーというよりは青春小説です。主人公の半生が書かれているので、中学時代、高校時代などはその頃の自分に対する思いなどもところどころに挿入されます。 ハードカバーの表紙がとても古い雰囲気ですが、作中に登場する絵をそのまま表紙にしても良かったのではないかと思いました。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 犯人は主人公でした、というのはわかりやすかったです。あまりにも自虐的というか自分を下げる描写が多かったので意外性はなかったです。そもそもミステリーとして書かれていない気もするので、ストレートになったようにも思いますが。 主人公が駄目な人なのは事実でしょうけど、アメリカ留学をして語学の勉強も詩の勉強もしっかり頑張って、高く評価される卒論を書いて、作家にもなったというのは評価されるべきだと思います。西澤さん自身の人生と被るところが多いようなので、実際にこういう経験をしても自信に繋げるといったタイプではないのかもしれないですが。 中学時代と高校時代の盗んだアルトサックスを間違えたというのはちょっと無理がある気がしました。普通に考えれば手前に高校時代のものを置くでしょうし(左右に置いたのかもしれませんけど)、埃のつもり具合も明らかに違うでしょうし、一分一秒を争う必要もない状況なら確認するでしょうし。 教子さんへの告白?は唐突でしたし、それを受け入れる教子さんの心境も良くわかりません。罰を与えるかのような言い方ですが、普通に頼りたい、手に入れられなかった普通の幸せを教子さん自身が得たいだけのように思えました。色々疲れたのでしょうけど、何も恋人が死んだ原因を作った人に救いを求めなくてもと思いますし。当時の40過ぎではこれから結婚というのは難しかったかもしれませんが。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.04 21:38:18
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