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カテゴリ:歌舞伎・古典、観劇
今月も通し狂言の上演です。
『義経千本桜』 この作品には、ちょっと変わった人物が登場します。 序幕「鳥居前」 義経(梅玉)が源頼朝に疎まれ、ついには都落ちすることになりました。 ついていきたいと言う静御前(福助)と弁慶(左團次 )。 泣きを入れて(これが今までに観た弁慶と違うところ!)弁慶は許されますが、一行は女連れでは目立つので静の同行を拒みます。 そして義経が自分の形見として静に渡した鼓の紐で静を木に縛り付け、一行は去っていきます。 その形見の鼓とは、義経が朝廷から贈られた大切なものでした。 さて、そこへ鎌倉方の笹目忠太(亀蔵)が通りかかり、静を捕らえようとしますが、それを助けるのが義経の家臣・佐藤忠信(菊五郎)。 静が心配で物陰から様子を伺っていた義経一行も姿を現わし、その功績として忠信に「源九郎義経」の名前と鎧(よろい)を与え、静の護衛を頼んで、今度こそ本当に去って行くのでした。 この忠信、実は忠信に化けた狐です。 なぜ狐がそこまでして静に同行するのか、という話は夜の部で。 先が知りたい方は、昨年11月の花形歌舞伎で海老蔵が源九郎狐に扮した模様を紹介したのでご覧ください。 『義経千本桜』は有名な物語で、度々その中の物語が単独で上演されています。 個人的には、源九郎狐がどうして静に同行することになったのか関心があったので、これですっきりしました。 義経と弁慶については、様々な役者で多彩な表現がされています。 ここで観た弁慶は、最初はある誤解から義経から手討ちにすると言い渡されていたのですが、全て義経のためにしたのにヒドイ仕打ちだ・・・と泣きじゃくる姿、同行を許されてからの得意げな表情など、茶目っ気たっぷりに描かれています。勇ましい中にも可愛らしさいっぱいの弁慶を初めて観ました。 そして二幕目「渡海屋・大物浦」 壇ノ浦の合戦で滅亡したと思われた平知盛ら。彼らが実は一族で船問屋に身を隠して生き延びていた、という設定で書かれた物語です。 平知盛に松本幸四郎が扮し、源勢を討つのに亡霊に見えるよう、家臣もろとも白装束で、恨みつらみをはらさんとする意気込みで出掛けて行きます。 平知盛が海の上で亡霊となって義経を襲う能の『船弁慶』と重ね合わせながら観ていました。 結局はここでも再び源勢の手により討たれてしまう悲劇を、知盛が岸壁の頂きの上から碇を巻き付けて自害するダイナミックな最期で幕となりました。 残念ながら三幕目「道行初音旅」は観られずに劇場を後にしました。 菊五郎、仁左衛門、芝翫という豪華な顔触れです。 (歌舞伎座にて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.03.15 17:31:26
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