半蔵門にある国立劇場で、19時開演。
ちょと早めにお弁当持参で劇場に着いたら、2階の「お休み処」で、ゆっくりイヤホンガイドの前説を聞きながら食事をするのはいかがでしょうか。
食堂も営業していますが、30分くらいだったら机と椅子が備えられたこのお休み処で(持ち込みのお弁当を食べるための場所です)。
会場ではお弁当の販売もありますから、ロビーのソファで食事するよりも、人目を気にせずに落ち着けます。
会社の帰り、荷物の多い方には、10円から利用できるコインロッカーもあります。
そんなこんなの配慮は、国立だからでしょうか。
通常の売店以外にも、作品にちなんだ土地の名産品の販売があるのも、この劇場の特徴でしょう。
本日の作品は『平家女護島 -俊寛- 鬼界ヶ島の場』。
時代物の浄瑠璃は全て五段だったそうです。これは二段目。
俊寛の流された鬼界ヶ島は、鹿児島県の硫黄島だと言われています。
そんなわけでロビーでは、今月は鹿児島の名産品が並んでいます。
この日は歌舞伎入門のため、通常の公演の一部だけが上演されるのですが、興味を持ったら通しで観てはいかがでしょう。
えびす組の歌舞伎通のコンスタンツェなどは、休日は通しで観て、そして歌舞伎入門で知識を蓄えて・・・と、日々精進しているようです。
本日の解説は、松本錦弥。
この島流しにあった俊寛の物語りに至る前の話と、そして前の段から俊寛の妻、東屋(市川高麗蔵)が自害する場面を、演じる役者そのまま抜粋で見せてくれました。
「その場面のVTRスタート!」となりそうなところを、ライブで見せてくれるのですから、歌舞伎入門ならではの贅沢な演出です。
そして二段目の上演へと続きます。
あさぎ幕が振り落とされると、そこには島の海岸の舞台が出来上がっていました。
最後の場面、一人島に残った俊寛(松本幸四郎)が遠ざかる船を花道のところまで追いかけようとすると、サァーッとその花道に波が押し寄せます。
そして舞台がまわり、岩によじ登った俊寛の周囲は、いつの間にか海に囲まれていました。
哀しみを振り絞り、去り行く船に手を降る姿が印象的な作品です。
さて終演後、帰宅の心配は・・・東京駅や渋谷駅、他JRの大きな駅へ向かう有料バスが劇場前にスタンバイしています。
劇場の最寄り駅(半蔵門、永田町)に行くのがおっくうな方には便利です。
台数が少ないので、終演後すぐに乗車するといいでしょう。
歌舞伎役者自らの解説で、歌舞伎を観る。
11月、12月にも日を限定して歌舞伎入門は行われます。
上演時間が通常の歌舞伎公演より短く、その分料金も低めなのが魅力です。
入場時に配布される資料には、本日上演された場面の筋書、上演台本、歌舞伎用語などが掲載されています。
公演詳細は国立劇場のサイトで。
そうそう、今月新橋演舞場で行われる昼の部の歌舞伎の演目の一つは、この国立劇場と同じ『平家女護島 -俊寛-』。こういう競演もあるのですね。
新橋演舞場では、俊寛を中村勘三郎が演じます。
こちらも観てみたくなりました。
新橋演舞場、昼の部公演詳細はこちら。
(国立劇場 大劇場にて)