ボックスアート
ゲームボード(クリックで拡大)
ガレー船タイル(プロトタイプ)
デザイナーはMarco CanettaとStefania Niccolini。過去作の「African Park」、今年別会社から出す予定の「Rhein River Trade」も含め、3作ともこのペアだ。お友達なのかな。パブリッシャーはイタリアのGiochix.it。一部デザイナーによるゲームのルールが頻繁に改訂されるため、アマチュアルール翻訳者から(というか私から)蛇蝎のごとく嫌われているところだ。まあ何年も前に出したゲームのルールを“リビングルール”と銘打って、未だに変更し続けてる駄目なパブリッシャーより何倍もましだけどなw
時は16世紀初頭。“舞台は最も高貴なる共和国ヴェネツィア”。これが正式な国名だったんだからすげえ。どんだけ繁栄してたんだよw この国の一番偉い人が総督で、この人が「ヴェネツィア繁栄しまくってるし、記念にいっちょでかい船でも作るか」と思い立っちゃった。いくつかある造船所の長であるプレイヤーにとってこれほどうまい話はないので、一も二もなく建造に取りかかる。みんなで手分けして1隻のでかいガレー船を作る中で、一番役に立って総督のお眼鏡にかなったプレイヤーが勝者。
ゲームは数ラウンドに渡ってプレイされる。ラウンドの頭には総督カードがめくられ、そのラウンドにイベントが起こるかどうか、どんなガレー船が求められているか、総督がガレー船のどの部分に注目してるかが示される。
こんなの。これが引かれるとラウンド終了時に「高潮」が発生する。パラメーターは船の重さ、豪華さ、速度、操縦性なんかを抽象的に表している。紫区画は総督が目を向けてる区画。
そのあとスタートプレイヤーがプレイ人数に応じた色のダイスを全部振り、ボード上の対応しているスペースに置く。
ここから各プレイヤーは手番順に、おおむね5アクションを実行する。手元のアクションマーカー1枚をボード上の任意のアクションスペースに置いて、そのアクションを実行するわけだが、このとき「ダイスが置かれているスペース」より右側のアクションを実行するには、1スペース離れるごとに1金かかる。ダイスが置かれてるスペースと、それより左側のアクションは無料。だいたい右側のアクションほど効率がよくなってるので、出目が6だとイケてるアクションを無料で実行できてホクホクだが、出目が1だとちょっとしたアクションにも金がかかるので途端に苦しくなる。各色のアクションテーブルごとに少しずつアクションの種類や並びも異なっているので、ここはスタートプレイヤーが自分に(だけ)都合のいい目を出してくれることを祈ろうw
こんな感じになる。アクションはダイスの絵の下に全部アイコンで示されてる。
アクションの実行によって、プレイヤーはガレー船、ゴンドラ、隔壁の材料(=対応するタイル)を買ったり、それらを建造したりする。
ゴンドラは主な資金調達手段で、0または1金でタイルを購入し、建造すると6金とか好意カウンターなどをもらえたりする。2アクションを費やすので必要最低限にした方がいい気がするが、資金繰りをせずにすむとも思えないので、ある程度はゴンドラを作る必要があるだろう。
隔壁は「高潮」イベントのダメージをなくすのに役立つ。どうもヴェネツィアというのは、地形の影響でちょっと潮が高くなるだけで水浸しになっちゃうらしい。ノーガードで「高潮」イベントを食らうと造船所内も水浸しになり、作業に支障が出て次ラウンドに使えるアクションマーカーが2枚も減ってしまう。しかし隔壁を高潮の数値と同じだけ作っていれば1枚失うだけですむし、数値より多く作っていればノーダメージになる。また、隔壁タイルには特殊能力があり、アクションの効果を高めてくれるので、たとえ高潮のダメージを減らせなかったとしても決して損はしない。さらに毎ラウンドの手番順は隔壁タイルの番号順で決まるなど、ゲームにいくつもの影響を与える。材料費は0か1金なので、折を見て何枚かは作っておきたい。
こんなの。手番順番号は10。「建造」アクション時、追加で1金を得られる。
ガレー船の建造は、もちろんこのゲームの中心だ。ガレー船の胴体部分を表す細長いタイルを、ガレー船の船尾を表すタイルから左→右、下→上へと2段に並べて置いて建造していく。プレイ人数に応じた枚数のタイルが置かれたら、ガレー船の船首タイルが置かれてゲーム終了になる。各ガレー船タイルはガレー船のどのあたりに置くかが決まっており、その区画が埋まってしまうと建造できなくなるので注意が必要だ(アクションによって一番端のタイルなら入れ替えることもできるが)。建造すると、タイルに示されている固定の勝利点や好意カウンターのほか、そのラウンドの総督タイルに応じた得点が得られる(失点することもある)。
右の総督タイルが出てるときに左のガレー船タイル(購入コスト5金)を建造すると、タイルによる固定の2勝利点と好意カウンター1枚のほか、水色マス2個分(0点×2)と緑色マス1個分(2点)と赤色マス1個分(1点)が得られる。もし黄色マスがあったら-1点だし、建造箇所(上段中央)が総督の注目してる紫区画(このカードにはないが)に一致しているとさらに好意カウンターを1枚得られる。
あと、いろいろといいことがある「陰謀」アクションと、直接資金をゲットすることができる「資金」アクションがある。どちらも地味だが、1アクションで即座に何かを得られるので、これが勝敗を分けることもあるかもしれない。何しろラウンドごとに5アクションしかないのだから。
ラウンドの最後にはイベント処理。総督カードに高潮アイコンがあれば、前述の高潮が発生する。
総督カードに総督の肖像画が描かれている場合、総督の視察が発生する。ここでプレイヤーは好意カウンターを使って握り入札し、その枚数による順位に応じた得点を得る。
ガレー船が完成したらゲーム終了。最後にもう1回視察が発生し(当然全部握るので単純に好意カウンターの数を比べるだけ)、中間視察よりちょっと効率のいい得点が入ったあと、最多得点プレイヤーの勝ち。
よくまとまったゲームっぽい。そんなに新しい感じのところはないが、アクションコストの決め方はちょっと新鮮かな? スタートプレイヤーが全ダイスを振り、その結果が全プレイヤーに影響するので、ダイスを振るけど運ゲー感はない。全然違うゲームだが、Stefan Feldの「マカオ」のダイスロールに通じるところがあるかも。ルールは比較的簡単だが、総督タイルに合わせたガレー船タイルを準備し、建造し、高得点を得るのは簡単ではなさそうだ。ダイス目が好転して低コストで建造できるようになるのを待つか、大金を払ってでもこのラウンド中に狙ったアクションを実行するのか。高度な資金管理能力が求められそうだ。
アートワークは渋く、雅なフランスゲーに対して、こちらは寂びのイタリアゲーといったところ。当然こういう雰囲気の方が好きな人も多いだろう。幸い、ルールの改定が多いのはこの2人のデザイナーではないので、気になった人は安心してゲットして欲しいw
BGGの和訳ルール