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《櫻井ジャーナル》

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2013.04.19
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 戦乱が中東全域に広がる可能性がある。ネオコンの影響力が小さくなっている現在のアメリカ政府はそうでもないが、替わってイギリスやフランスが戦争に積極的な姿勢を見せている。この2カ国にサウジアラビア、カラール、イスラエルが好戦派を形成しているわけだ。

 言うまでもなく、戦乱が広がれば日本は石油を確保することが難しくなり、原発を動かしたところで日本の経済、社会は破綻する。そもそも、原発を動かすために石油が大量に必要で、発電を全て原発に頼ってもエネルギー状況は良くならない。原発のシステムが石油を必要とすることは「公然の秘密」であり、マスコミも知っているだろう。

 今年2月に日本が原油を輸入した先を見ると、サウジアラビア27.3%、アラブ首長国連邦23.9%、カタール11.1%、ロシア8.4%、クウェート6.8%、イラン6.0%、インドネシア4.2%、イラク2.7%。

 リビアやシリアの体制転覆プロジェクトで、反政府軍の戦闘員として傭兵を雇い、武器を提供しているのはサウジアラビアとカタールだと言われている。傭兵の主力はアル・カイダだった。

 リビアでの作戦で反政府軍の地上部隊はアル・カイダ系のLIFGが主力。LIFGは2007年11月にアル・カイダに正式加盟したとされ、その幹部も自分たちとアル・カイダとの関係を認めているムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した後、アル・カイダの戦闘員は武器を携えてシリアへ移動した。

 そのシリアでの戦闘が長引いているが、最大の理由は反政府軍をシリア国民が支持していないからであろう。2011年3月から反政府軍は住民を殺害し、その後も虐殺を繰り返しているので、シリア国民から見れば、侵略軍以外の何ものでもない。最近では「西側」も反政府軍の主力がアル・カイダだということを認めざるをえなくなっている。

 アル・カイダを生み出したのはイスラム武装勢力。その武装勢力を1970年代の終わりに組織したのはアメリカの情報機関と軍、そしてパキスタンの情報機関ISIであり、サウジアラビアが資金面から協力している。ソ連軍をアフガニスタンに引き込み、このイスラム武装勢力と戦わせるというズビグネフ・ブレジンスキーの戦略に基づいていた。

 ソ連軍の撤退、そしてソ連の消滅でイスラム武装勢力を雇う必要はなくなったが、そうなると戦闘員は失業する。生きるために盗賊化しても不思議ではない。その一方、戦乱で社会が破壊され、経済活動もままならない世の中になれば、傭兵の予備軍は増えていく。そうした人びとをサウジアラビアやカタールは雇っているわけだ。

 一般に、アル・カイダはニューヨークの世界貿易センターや国防総省の本部庁舎を攻撃した「テロリスト」であり、アメリカの敵だと見なされている。が、FBIの判断は違う。

 アル・カイダの象徴的な存在だったオサマ・ビン・ラディンをFBIは指名手配していたが、その容疑は、1998年に実行されたタンザニアやケニアのアメリカ大使館爆破。2001年9月11日の出来事は含まれていない。

 それはともかく、イスラム武装勢力を雇い、訓練し、武器を与え、シリアに攻め込ませたが、状況は泥沼化している。リビアではNATOが空爆や電子戦で協力したが、シリアの場合はロシアが直接的な軍事介入に反対、バラク・オバマ政権も消極的だ。

 そうした中、今年1月30日に4機のイスラエル軍戦闘機が超低空飛行でシリア領空に侵入し、首都ダマスカスの近くにある軍事研究センターを空爆した。これに対し、すぐにロシア軍は反応、ミグ31戦闘機をシナイ半島からイスラエルへ向かって飛行させた。イスラエル側からの警告を受けてから西へ転回、地中海に出ているが、そこには18隻で編成されたロシア軍の艦隊が待機していた。

 これは明らかにイスラエルやアメリカに対するロシア政府の警告である。シリアへ軍事介入するなら、ロシアとの戦争を覚悟しろということであり、世界規模の核戦争に発展する可能性があるということだろう。

 それでも軍事介入を求めているのがアメリカの議会だが、そうした要求をチャック・ヘイゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は今のところ、拒否している。飛行禁止空域の設定など、直接的な軍事介入を行えば後戻りは不可能で、意図しない戦争の拡大に巻き込まれる可能性があるということだ。話し合いが最善の策だとしている。

 アメリカ政府とは違い、イギリスとフランスは軍事介入を望み、武器の直接的な供給にも前向きな姿勢を見せている。政府内でネオコンの影響力が低下しているアメリカより、この2カ国が好戦的な姿勢は鮮明。最近、英仏はアレッポの近くで採取した土から化学兵器が使用された痕跡を見つけたと主張、政府軍が使ったとして軍事介入を求めている。

 この地域で反政府軍が化学兵器を使ったとシリア政府は3月19日に発表、国連が速やかに調査するよう、求めていた。シリア政府に化学兵器を使用するメリットはない。イギリスとフランスは詳細を語っていないが、反政府軍の立場から強引なシナリオを書いているようだ。アメリカ政府は「化学兵器」の使用自体に懐疑的な見解を示している。

 化学兵器に関する情報では、イギリスのセキュリティ会社、ブリタム防衛の幹部同士がやりとりした電子メールも無視できない。カタールから持ち込まれた依頼がテーマで、シリア政府がロシアの協力を得て化学兵器を使うという形で「偽旗作戦」を実行して欲しいということのようだ。メールが本物かどうかは明確でないが、調査する必要はある。





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最終更新日  2013.04.19 21:59:02



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