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《櫻井ジャーナル》

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2013.05.15
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 APの電話の通信記録をアメリカ司法省が入手していた。2012年4月から5月にかけて、記者の個人的な電話、ニューヨーク、ワシントン、コネティカット州ハートフォードにある支局の電話、下院のAP記者団が使っている電話など、20回線に及ぶ大規模なものだったという。こうした電話からかけられた通信の記録を当局は入手したが、外部からかけられたものについては不明。また、盗聴していたと考える方が自然だ。

 勿論、これまでにもアメリカ政府はメディアの通信を盗聴したことはある。例えば、リチャード・ニクソン政権時代の1969年の出来事。このとき、ヘンリー・キッシンジャーは戦争状態になかったカンボジアを「秘密爆撃」して多くの農民を殺している。国防長官や国務長官の反対を押し切っての攻撃だった。

 この攻撃をノロドム・シアヌーク首相(当時)は批判した。アメリカの主要メディアは無視するが、ニューヨーク・タイムズ紙のウィリアム・ビーチャーが攻撃の事実を記事にする。その報道にキッシンジャーは怒り、FBIを使い、21カ月にわたって政府職員13名とメディア関係者4名を盗聴したのだ。

 当時の技術力ではその程度が限界だったのだろうが、1970年代からエレクトロニクス技術は急速に進歩、地球規模で不特定多数の通信を傍受するECHELONも1980年代には始動している。現在、全ての電子メールをアメリカの情報機関は記録していると言われている。ただ、情報機関の盗聴システムを司法省が自由に使えるとは思えず、独自に入手する必要があったのだろう。

 情報提供者を見つけ出すために盗聴する場合が多い。アメリカにかぎらず、支配層は自分たちの正体が露見することを恐れているのだ。内部告発者を厳しく処罰しようとしているのも、そうした恐れから出たものだろう。

 今年1月、元CIAオフィサー、ジョン・キリアクーに対して懲役30カ月の判決を言い渡された。キリアクーはアメリカの政府機関による拷問の実態を明らかにした人物で、内部告発に対する「報復」だと考えられている。

 それに対し、拷問の責任者、あるいは拷問にゴーサインを出した司法省の法律顧問、つまりジョン・ユーは処罰されていない。拷問に深く関与しているジョン・ブレナンはバラク・オバマ政権でCIA長官に指名された。

 2010年5月、アメリカ陸軍のCIDはブラドリー・マニング特技兵を逮捕した。アメリカ軍による犯罪的な行為をWikiLeaksに提供、明るみに出したことが理由だ。公開された情報の中には、戦闘行為と関係のない十数名の人々をアメリカ軍の戦闘ヘリが殺害している映像が含まれている。犠牲者の中にはロイター通信の取材クルーも含まれていた。映像を見れば、状況を理解したうえで面白半分に殺しているとしか見えない。これを「誤射ビデオ」と表現するのは間違いだ。

 この映像やアメリカ国務省の文書などを公表しているWikiLeaksの看板的な存在、ジュリアン・アッサンジも攻撃のターゲットになっている。スウェーデン当局が主張する容疑に疑問があり、でっち上げの可能性が高く、被害者とされるアンナ・アーディンの背後にCIAが存在していることは本ブログでも何度か指摘した。

 しかも、2006年からスウェーデンの首相を務めているフレドリック・ラインフェルトは、カール・ローブをコンサルタントとして雇っていた。ローブはジョージ・W・ブッシュの側近として知られる人物。ブッシュ・ジュニア政権では検察を「政争の道具」に利用しようと考えたようで、意に添わない連邦検察官10名近くを解雇している。最終的には93名の検察官を解雇するつもりだったという。つまり、全検察官を自分の配下の者に入れ替えようとしたわけだ。スウェーデン当局はアッサンジから事情を聞きたいのだと主張しているようだが、イギリスで事情聴取することは拒否していた。

 どのような体制でも、カネと情報を握っている人間が実際の「主権者」である。国から資金を動かす力を奪い、庶民に情報が伝わらないような仕組みにする目的は明らかだ。巨大資本が資金と情報を握る支配システムを作ろうとしている。その象徴的な仕組みがTPPだ。





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最終更新日  2013.05.16 11:46:57



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