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《櫻井ジャーナル》

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2014.01.10
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 まさか「火事と喧嘩は江戸の華」などと思っているのではないだろうが、中国と日本の駐英大使がテレグラフ紙(中国日本)に続き、BBCの番組でバトルを展開した。こうした議論が行われること自体、中国と日本との間に領土問題が存在することを示しているわけで、日本政府の主張は端から崩壊している。

 中国の劉曉明は尖閣諸島/釣魚台列嶼を昔から自国の領土だったとしたうえで、それを日本は軍事力で奪ったのだと主張、第2次世界大戦後における世界秩序の基盤になっているポツダム宣言/カイロ宣言によって、日本は中国へ返還しなければならないとしている。それに対し、日本の林景一大使は諸島を19世紀、合法的に領土としたのであり、その状態を変えるために中国は挑発と脅迫をしているとしている。

 1895年1月14日の閣議決定で諸島は日本へ編入されたと林大使は言っているわけだが、日本国内とは違い、「日本固有の領土」だとは口にできなかったのだろう。中国が軍事力を前面に出してきたことを強調しているが、尖閣諸島をめぐって中国と日本との関係が悪化する原因を作ったのは、「棚上げ」の合意を壊した日本側にある。

 前にも書いたが、日本は1872年から東アジア侵略の準備を始めている。1871年7月に廃藩置県を実施するのだが、10月に宮古島の漁民が難破して台湾に漂着して何人かが殺されると、これを利用して台湾を攻めようとする。そのため、1872年に琉球王国を制圧して琉球藩を設置、74年に台湾へ軍隊を送り込む。1875年には李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、日朝修好条規を結ばせ、清国の宗主権を否定させた。

 1894年に甲午農民戦争が起こると「邦人保護」を名目にして軍を派遣、日清戦争へとつなが、戦争に勝利した日本は1895年4月、清に下関条約を締結させた。尖閣諸島を日本領にするという閣議決定があったのは、その3カ月前だ。そして1895年10月、日本は朝鮮国王高宗の王妃、閔妃を官憲や大陸浪人を使って暗殺している。

 この経過を林大使は「平和的」と言っている。

 現在、日本の「エリート」は世界的に信用を失っている。東電福島第一原発の事故で政府や東電が重要な情報を隠し、嘘を言い続けてきたことを多くの人が知るようになり、広域暴力団を使ってホームレスなど社会的弱者を集め、危険な作業に従事させていることも伝えられている。

 しかも、カナダにおいてニシンのひれ、腹部、あご、眼球などから出血が報告され、ヤマトシジミに遺伝的な異常が出ているほか、カリフォルニアで先天性甲状腺機能低下症の子どもが増えているという報告もある。福島沖で被曝した空母ロナルド・レーガンの乗組員70名以上が、甲状腺癌、睾丸癌、白血病、脳腫瘍といった症状が出ているとして裁判を起こそうとしているようだ。そうした動きの背後では、日本のエリートは信頼できないという感情が渦巻いている。

 安倍晋三首相はアメリカ政府の警告を無視して靖国神社を参拝、駐日大使館や国務省は「失望」を表明、国防総省も近隣諸国との関係改善を求めている。その日本では民主主義を否定する「特定秘密保護法案」が可決され、改憲も公然と主張された。疑惑の目で見られて当然。最近では、形状的にも能力的にも空母にしか見えない「いずも」を日本政府が「ヘリコプター護衛艦」と言い張り、物笑いの種になっている。

 これまで日本では大手マスコミや著名な学者も生産力の違うアメリカとの戦争に突入したことを「無謀だった」と「反省」してきたが、東アジアへの侵略を反省する声は小さかった。東アジア侵略の出発点である「琉球処分」、つまり琉球/沖縄の植民地化はさらに反省の声が小さい。アメリカと戦争したのは間違いだが、東アジア侵略は間違いでないと考えているようにしか思えない。そうした人びとに支えられて安倍晋三なる人間が首相になったわけだ。

 ところで、領土問題の前に林大使がすぐにすべきことがある。優秀なスタイリストを雇うことだ。





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最終更新日  2014.01.11 02:01:39



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