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《櫻井ジャーナル》

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2015.04.03
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 イランの核開発問題の平和的な解決を目指して協議してきたイラン、ロシア、中国、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカの7カ国は「枠組み」で合意したという。その合意が発表される直前、アメリカのアシュトン・カーター国防長官は、合意が成立してもイランを攻撃する選択肢を制限しないと語っていた

 ネオコン/シオニスト、イスラエル、サウジアラビアは一貫してイランとの話し合いに反対、軍事攻撃を主張してきた。戦争で甘い汁を吸おうとしている戦争ビジネスや金融/投資ビジネスなどの巨大資本も願いは同じだろう。

 ニューヨーカー誌の2007年3月5日号に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートによると、この段階でアメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めていた。この「アメリカ」はジョージ・W・ブッシュ政権を支えていたネオコンを指しているはずだ。

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアが共同で秘密工作を行ったのは、少なくとも1970年代の終盤までさかのぼることができる。ズビグネフ・ブレジンスキーのプランに基づき、秘密工作でソ連をアフガニスタンへ引きずり込み、疲弊させるプロジェクトをこの同盟は実行しているのだ。その一端は「イラン・コントラ事件」や「BCCIスキャンダル」という形で明るみに出た。

 そして1991年12月にソ連が消滅、アメリカが「唯一の超大国」になったと確信したネオコンは軍事的に世界を制覇しようと歩き始める。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、この年、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していたという。イラクは既に破壊、残るはシリアとイラン。

 その翌年、1992年にアメリカ国防総省は世界制覇のプランを「DPGの草案」(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)という形で作成する。リチャード・チェイニー国防長官の下、ウォルフォウィッツ次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドが中心になって作業、国防総省のONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルから助言を得ていたという。

 ここにきて、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアはイエメンで軍事作戦を展開している。アメリカの傀儡政権だけでなく、この同盟が「地上軍」として使ってきたアル・カイダ/IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)がフーシ派に押され、危機感を感じたようだ。

 アル・カイダについて、1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックは、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルだとしている。「プロジェクト」が企画されると、そのファイルの中から戦闘員が選ばれて派遣されるということだろう。

 アル・カイダとはアラビア語で「ベース」を意味、「基地」と表現することもできるが、実態は「データベース」だということだ。なお、クックは記事を書いた翌月、保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて急死した。享年59歳。

 また、1997年から2000年にかけて欧州連合軍最高司令官を務めたウェズリー・クラークはCNNの番組で、アメリカの友好国と同盟国がISを作り上げたと語った。ISの後ろ盾がネオコン/シオニスト、イスラエル、サウジアラビアだということは公然の秘密で、それをクラークは口にしたということ。

 ISは2004年、アメリカがイギリスなどを引き連れてイラクを先制攻撃、破壊と殺戮を始めた翌年にAQI(イラクのアル・カイダ)として誕生した。2006年1月にはAQIを中心にしていくつかの集団が集まり、ISI(イラクのイスラム国)が編成され、シリアへ活動範囲を広げるにともなってISと呼ばれるようになった。

 中東、南北アフリカ、ウクライナなどでアメリカが戦争を始めた引き金は1992年に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンだが、そのベースにはアメリカ経済の急速な衰退がある。その原因は支配層の強欲さ。アメリカが「唯一の超大国」になったことで、自分たちは「絶対的な支配者」になったと錯覚、その政策は庶民の怒りを買うことになる。

 強欲な支配層の重要な機関のひとつがWTO。これは1995年にGATTを引き継ぐ形で創設された組織で、経済や金融で圧倒的な力を持つ巨大企業に対する規制を緩和、あるいは消滅させる方向へ世界を導こうとしてきた。

 1996年にOECDの閣僚理事会が交渉開始を決めたMAIは、投資の自由化を進め、投資保護の義務や紛争解決の手続きを規定、労働や環境基準についても定めることになっていた。巨大資本が自由に投資、問題が生じても投資は保護され、巨大資本に有利な形で紛争を処理、労働条件の悪化や環境の破壊を招くことが予想されたために批判を浴び、交渉は失敗する。そのMAIを強化した形で復活させたのが現在進行中のTPPだ。TPPの交渉が秘密裏に進められているのは、こうした過去の失敗があるからにほかならない。「残業代ゼロ」など安倍晋三政権は労働環境を劣悪化させる政策を次々と打ち出しているが、これはTPPを先取りしているということだろう。

 巨大資本が世界を支配するシステムは「グローバル化」という側面を持つ。1999年にアメリカのシアトルでWTOの閣僚会議が開かれた際に激しい抗議活動があり、それに参加した人は少なくとも4万人、おそらく10万人が集まった。このグローバル化と同時に進行していた投機経済も破綻に向かっていた。

 こうした流れの中、2000年には大統領選挙があった。民主党のアル・ゴアと共和党のジョージ・W・ブッシュが争ったのだが、選挙戦が始まる前、最も人気があったのはジョン・F・ケネディ・ジュニア、つまり1963年11月22日に暗殺されたJFKの息子だった。

 本人は出馬を否定していたが、実際に立候補した場合、民主党でも共和党でもない人物が大統領に選ばれる可能性があった。こうしたことが実現したなら、アメリカの支配システムは揺らぐところだったが、そうしたことは起こらなかった。1999年7月、JFKジュニアを乗せたパイパー・サラトガが墜落、乗っていた全員が死亡してしまったのである。

 大統領選挙では不正が指摘され、最終的には裁判所の判断でジョージ・W・ブッシュの当選が決まった。大統領に就任したブッシュは「中国脅威論」を叫んでいたが、自分たちの「財布」だったエンロンが破綻、任期を全うできるかどうかも怪しい雰囲気だった。そうした状況を一変させたのが2001年9月11日の出来事。ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、アフガニスタンに続いてイラクを軍事侵略、その後、戦乱を中東、南北アフリカ、そしてウクライナへと広げている。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを実行しているとも言える。

 しかし、軍事力で世界を制圧するというプランは破綻しつつあり、ロシアと中国との同盟強化によってドルが基軸通貨の地位を失いつつあり、IMFやIBRD(世界銀行)を中心としたシステムにも揺らいでいる。そのひとつの結果がAIIBだ。世界の国々は「アメリカ帝国の終焉」を予測している。アメリカの好戦派に残された手段は限られ、「核戦争」を始める可能性もある。その好戦派への忠誠を公言しているのが安倍晋三首相だ。





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最終更新日  2015.04.04 14:01:02



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