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《櫻井ジャーナル》

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2015.08.18
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 2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊が反シリア政府軍の戦闘員を育成するための訓練が始まった。その中にISのメンバーが含まれていたと言われている。この頃になるとNATOとアル・カイダとの関係が広く知られるようになり、別のタグが必要だと黒幕たちは考えたのかもしれない。

 この年の8月にDIA(アメリカ軍の情報機関)はシリアにおける反乱の主力について、サラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)であり、反シリア政府軍を西側(アメリカ/NATO)、湾岸諸国、そしてトルコが支援しているとアメリカ政府に報告している。文書が作成されたときにDIA局長だったマイケル・フリン中将は文書が本物だと認めた上で、そうした勢力をアメリカ政府が支援してきたのは政府の決定だと語った。

 イスラエル政府は露骨に反アサド体制を表明している。2013年9月、駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンは、イスラエルの希望はシリアの体制転覆であり、バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。イスラエルはこれまで何度かシリアを空爆しているが、ISを支援するものだと指摘されている。

 実は、シリアで戦闘が始まった直後から西側の政府、少なくともフランスはメディアの報道が嘘だということを知っていた。シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエは、武装蜂起を外国から入ってきたグループに扇動されたものだとアラン・ジュペ外務大臣兼国防大臣に報告した。報道とは違い、緊張が高まるにつれて市民の運動は小さくなり、政府の激しい弾圧という事態にはならなかったとしている。シュバリエの報告はジュペ外相によって封印された。

 ホウラの虐殺を口実とした軍事介入に失敗した西側やペルシャ湾岸産油国はシリア政府が化学兵器を使ったと宣伝し始める。2013年3月にアレッポで使われたケースではシリア政府がすぐに調査を要請、イスラエルのハーレツ紙は状況から反政府軍が使ったと分析、国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。ロシア政府も独自に試料を分析、サリンや砲弾は「家内工業的な施設」で製造されたもので、反政府軍が使ったと推測している。

 そして8月、ダマスカスの郊外で化学兵器が使用されたと反政府軍やその支援国が宣伝し始める。国連の調査団がダマスカスへ入るタイミングだった。3月と違い、反政府軍が支配している地域が攻撃されたのだが、これも嘘だということが発覚する。

 マザー・アグネス・マリアムは独自に調査して報告書を国連に出している。攻撃は8月21日の午前1時15分から3時頃(現地時間)にあったとされている。つまり大多数の住民は寝ていた時間なのだが、犠牲者がパジャマを着ていないのはなぜか、家で寝ていたなら誰かを特定することは容易なはずだが、明確になっていないのはなぜか、家族で寝ていたなら子どもだけが並べられているのは不自然ではないか、親、特に母親はどこにいるのか、子どもたちの並べ方が不自然ではないか、「遺体」が使い回されているのはなぜか、遺体をどこに埋葬したのか・・・・・

 この攻撃が行われる10日ほど前、反シリア政府軍がラタキアを襲撃し、200名とも500名とも言われる住人が殺され、150名以上が拉致されたと言われている。化学兵器の犠牲者を撮影したとされる映像の中に、ラタキアから連れ去られた住民が含まれているとする証言もある。

 8月の攻撃でシリア政府軍がサリンが使ったとする主張は早い段階からロシア政府が否定、国連へ報告書を提出しているが、その際に反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、ゴータに着弾していることを示す文書や衛星写真が示されたとジャーナリストがフェースブックに書き込んでいる。

 そのほか、化学兵器とサウジアラビアを結びつける記事が伝えられ、10月に入ると「ロシア外交筋」からの情報として、ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだという話が流れた。

 12月になると、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュもこの問題に関する記事を発表、反政府軍はサリンの製造能力を持ち、実際に使った可能性があるとしている。国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授も化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する報告書を公表している。ミサイルの性能を考えると、科学的に成り立たないという。

 1992年にアメリカ国防省の内部で作成されたDPG草案、通称「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」ではアメリカを「唯一の超大国」になったと位置づけ、新たなライバルの再登場を阻止することを第1の目標だと宣言、旧ソ連のほか、西ヨーロッパ、東アジア、南西アジアを注目地域に挙げている。当時の国防長官はリチャード・チェイニー、次官はポール・ウォルフォウィッツだ。

 これ以降、アメリカは「民主」や「人権」という旗を掲げる一方、広告会社とメディアを使って偽情報を流布、人びとを欺きながら侵略戦争を続けてきた。2001年9月11日の出来事以降は侵略が加速している。

 こうした侵略を推進しているアメリカの好戦派は、ネオコン/シオニスト、戦争ビジネス、嫌ソ/嫌露派、人道的軍事介入派が柱になっているが、少し注意深く情報を集め、整理すれば、その嘘に気づくはず。それでも支配層が流す話を垂れ流し、そう主張している人がいるならば、個人的な利益を考え、信じている振りをしていると言われても仕方がない。

 SOHRを信頼できる情報源であるかのように扱う人や団体は侵略戦争を見て見ぬ振りをしているに等しく、「民主」、「人権」、「護憲」、「戦争反対」といった看板を掲げていても真に受けない方が良い。そうした人びとはアメリカをはじめとする西側支配層を批判しているように見えるかもしれないが、真の対決を避けているとしか思えないからだ。





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最終更新日  2015.08.19 14:46:15



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