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《櫻井ジャーナル》

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2015.08.19
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 ウクライナの東部、ドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)で軍事的な緊張が高まっている。アメリカ政府の中でもジョン・ケリー国務長官はミンスクでの停戦合意に賛成の立場を示していたが、ビクトリア・ヌランド国務次官補はロシアへ軍事的な圧力を強めようとしていた。また、ヌランドたちアメリカの好戦派が手先として利用、昨年2月のクーデター(詳細は割愛する)で主力だったネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)は合意を拒否すると宣言していた。

 今年5月12日にケリー長官はキエフでペトロ・ポロシェンコ大統領と会い、クリミアやドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)の奪還を目指す作戦を実行してはならないと言明、その足でロシアのソチを訪問してウラジミル・プーチン大統領らと会談したのだが、14日から16日にかけてヌランドもキエフ入りし、ポロシェンコ大統領のほかアルセニー・ヤツェニュク首相、アルセン・アバコフ内務相、ボロディミール・グロイスマン最高会議議長らと会談、ケリー長官に言われたことを無視するように釘を刺したと言われている。

 ヌランドはネオコン/シオニスト。ズビグネフ・ブレジンスキーの一派、「人道的」な軍事介入を主張するグループ、戦争ビジネスと同じように、この勢力は好戦派を構成している。彼女の夫はネオコンの大物として有名なロバート・ケーガン。2000年にネオコン系シンクタンクPNACが発表した「米国防の再構築」の作成にも参加した人物だ。

 ジョージ・W・ブッシュ政権で「摂政」だったと言われているリチャード・チェイニー副大統領の外交担当副補佐官を務め、2005年から08年にかけては大使としてNATOへ派遣されていたヌランドをバラク・オバマは2008年の大統領選挙でスタッフとして雇い、現在に至っている。ちなみにヌランドはロッキード・マーチンの代理人ことヒラリー・クリントン前国務長官と親しく、オバマの「師」はブレジンスキー。

 ウクライナでは、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放したクーデターの直後からアメリカの傭兵会社、アカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンは数百名の戦闘員を派遣、今年初頭にアカデミはウクライナ政府の要請で、射撃、市街戦、接近戦、兵站などの訓練をする準備を整えていた。

 さらに、アメリカ政府は訓練のためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として派遣、国防総省は戦略と政策の専門家チーム、つまり軍事顧問団をキエフへ送り込んでいる。4月20日にはアメリカの第173空挺旅団の兵士290名がネオ・ナチを主力とする部隊に対する訓練を7月から開始した。

 アメリカ以外の国ではポーランドからも傭兵が雇い入れられ、イスラエル、グルジア、ルーマニア、スウェーデン、ドイツなどからも戦闘員がウクライナ入りしていると言われている。イギリスやカナダは訓練のため、軍人や専門家をウクライナへ派遣している。

 ここにきてキエフ政権は約90輌の戦車や装甲車をドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)の前線へ新たに配備、軍事的な緊張を高めようとしているが、それだけではなく、ウクライナの外相、トルコの副首相、そしてタタール人の反ロシア派代表が8月1日にトルコのアンカラで会い、タタール人、チェチェン人、ジョージア(グルジア)人などで「国際イスラム旅団」を編成してクリミアの近くに拠点を作ることで合意したという。

 シリアの大ムフティー(最高イスラム法官)によると、IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイッシュとも表記する)の戦闘員になろために全世界から7万人ほどがトルコへ入り、訓練を受けているようだ。そのうち5000人から7000人がロシアやCIS(独立国家共同体)の出身者で、中でもカザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンが多いという。

 5月にはタジキスタン内務省特殊任務民警支隊のグルムロド・ハリモフ司令官がISに加わったと明るみに出ている。5月27日にハリモフ司令官のメッセージ動画がインターネット上に投稿され、仲間数人と一緒にISへ参加したことを認めたのだ。この人物は2003年にアメリカで、08年にはロシアで訓練をうけたことがあり、4月23日から行方不明になっていた。

 また、シリアにチェチェン人がいるとする報告はないと大ムフティーは語っているが、200名から1000名が入っている、あるいは最も多くの戦闘員を送り出しているのはチェチェンとサウジアラビアで、累計するとそれぞれ約1万4000名と約1万2000名だとする情報も流れたことがある。こうした人びとは帰国後、ロシアとの戦争を始める可能性もあるだろう。

 アメリカの支配層は意に沿わぬ政権、体制を暴力的に破壊し、場合によっては国や民族そのものを消し去ろうとする。1992年以降、そうした光景が旧ソ連圏、中東、北アフリカなどで展開され、ラテン・アメリカでもアメリカ政府は工作を進めてきた。そのアメリカの戦争マシーンへ日本を組み込むための集団的自衛権だ。TPPも無縁ではない。





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最終更新日  2015.08.20 00:22:34



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