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《櫻井ジャーナル》

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2016.01.20
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 国際情勢を理解するためには、アメリカに「テロ部隊」が存在するという事実を直視しなければならない。その源流は1944年夏にアメリカのSO(秘密工作部)とイギリスのSOE(特殊作戦執行部)が共同で編成したジェドバラ。その人脈は第2次世界大戦後も存続、NATOの秘密部隊として各国で「左翼」を装って破壊活動を展開してきた。こうした秘密部隊が存在することは1990年10月にイタリアのジュリオ・アンドレオッチ政権が公式に認めている。こうした秘密部隊の存在を否定するのは「トンデモ説」ということだ。

 イタリアの秘密部隊は「グラディオ」と呼ばれているが、1972年2月にイタリア北東部の森で子供が偶然、兵器庫を発見したことからその存在は明るみに出る。捜査が進めばイタリアの情報機関にとどまらず、CIAの存在が浮上することは必至だったが、途中で捜査は止まってしまう。

 そうした事実を1984年にフェリチェ・カッソン判事が気づいて捜査は再開され、イタリアの対外情報機関SISMIの公文書保管庫の調査をアンドレオッチ首相は1990年7月に許可せざるをえなくなる。そしてグラディオの存在を示す文書が出てきたのだ。そして同年10月に政府は報告書を公表した。その後、NATO加盟国にはグラディオと同じような秘密部隊が存在していることを人びとは知ることになる。

 捜査が再開される2年前、1982年7月にローマのフィウミチーノ空港で搭乗しようとしてた女性が持っていたスーツケースの底から極秘のスタンプが押された書類が見つかっている。その女性の父、リチオ・ジェッリはグラディオと関係が深い非公然秘密結社P2のリーダー。ジェッリによると、その文書はCIAから受け取ったのだという。

 アメリカ側は文書を偽物だとしているが、その文書には、友好国(つまり属国)の政府がコミュニストの脅威に対する警戒心をゆるめている場合、友好国の政府や国民を目覚めさせるために特殊作戦を実行しなければならないと書かれている。擬装テロを実行するということだ。

 実際、イタリアでは1960年代から1980年代までグラディオが「極左」を装って爆弾攻撃を続け、クーデターも計画していた。こうした偽旗作戦によって左翼勢力に対する国民の信頼をなくさせ、さらに社会不安を高めて治安体制を強化することが狙いだった。いわゆる「緊張戦略」だ。この戦略はジェッリの娘が持っていた文書に書かれていたことと符合する。

 グラディオが活動したイタリアはフランスと同様、コミュニストの力が強い国だった。こうした国々で第2次世界大戦の際にドイツ軍と戦っていたレジスタンスの主力もコミュニストで、それに対抗するためにジェドバラは作られたとも考えられている。

 戦後、ジェドバラはOPCとして生まれ変わり、1950年10月にはCIAに吸収され、52年8月には秘密工作を実行する「計画局(The Directorate of Plans)」の中核になった。1970年代に入ると議会で秘密工作の実態が暴露され、73年3月に名称を「作戦局(The Directorate of Operations)」に変更、2005年10月からはNCS(国家秘密局)になった。本ブログでは何度か指摘したが、OPCは1949年に国鉄を舞台にして引き起こされた3怪事件を実行した疑いもある。

 ジェドバラが編成された1944年にはドイツ陸軍参謀本部第12課(東方外国軍課)の課長を務めていたラインハルト・ゲーレン准将がSOを指揮していたアレン・ダレスに接触している。ゲーレンは情報将校で、ソ連を担当していた。

 1944年6月にアメリカ軍はノルマンディー上陸作戦を実行しているが、1942年8月から43年2月まで続いたスターリングラードの戦いドイツ軍は壊滅、ソ連軍は西へ向かって進撃をはじめていた。それを見て慌てた米英支配層はノルマンディー上陸を敢行したわけである。そうした中、ゲーレンたちはソ連情報をダレスたちに売り込んだわけだ。

 CIAの秘密工作はNATO加盟国だけでなく、例えば1947年から48年にかけてアルバニアのコミュニスト勢力を倒すためにイギリスと共同で「バリュアブル作戦」を展開した。この作戦で中心的な役割を果たしたイギリスのデイビッド・スマイリー大佐はジェドバラと深く関係している。1953年にはウクライナを不安定化させるためにAERODYNAMIC作戦を始めるが、その手先として育成されたのがネオ・ナチ。その延長線上に現在のウクライナはある。

 こうした秘密工作、破壊活動の手先として1970年代の終わりから育成され、使われているのがワッハーブ派の戦闘集団。戦闘員の登録リストがアル・カイダ。シリアで活動しているアル・ヌスラ/AQIもそうした集団で、IS(ISIS、ISIL、ダーイッシュとも表記)はそこから派生した。軍事訓練と武器/兵器の供給はアメリカ、資金の提供はサウジアラビア、さらにイスラエルが支援という形が当初から続いてきたが、シリアではトルコの存在が大きい。

 こうした国々の前に立ちはだかったのがロシアで、アメリカやサウジアラビアはロシア経済を破壊する目的で石油相場を下落させたと言われている。ところが、その相場下落でサウジアラビアが財政赤字になって投機市場が揺らぎ、アメリカではシェール・ガス/オイル産業が厳しい状況になっている。サウジアラビア経済が破綻するとペトロダラーの仕組みは崩壊、ドルは基軸通貨の地位から陥落する可能性が高まる。そこからサウジアラビアが傭兵を雇い続けられるのかという問題が生じる。場合によってはサウジアラビアに対して傭兵が牙をむく可能性も出てくるだろう。





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最終更新日  2016.01.20 13:44:55



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