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《櫻井ジャーナル》

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2016.03.23
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 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権はアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)を支えてきた。活動の拠点を提供、シリアで侵略戦争を続ける部隊に武器/兵器を含む物資を送り込み、シリアやイラクで盗掘した石油を受け入れて売りさばいてきたのである。

 盗掘石油はカネになったようだが、昨年9月30日に空爆を始めたロシア軍は戦闘の司令部や兵器庫を破壊するだけでなく、盗掘石油の関連施設や燃料輸送車を破壊、トルコ政府の稼ぎは大幅に減っているようだ。しかも、その前からロシアとの関係が悪化、通常の経済活動は危機的な状況になっている。そこでエルドアン政権は難民を使ってEUを強請り始めた。昨年9月にまとまった数の難民をEUへ送り込み、カネを出せと脅したのだ。

 難民の中には戦火から逃れている人もいるだろうが、それだけではない。シリアでは侵略される前から干魃で土地を離れる人がいたようで、そうした人も含まれているはず。さまざまな国から仕事を求めてEUへ渡ろうとしている人もいる。アメリカが始めた戦争で経済は破壊され、残された仕事は傭兵など限られているだろう。勿論、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの戦闘員も含まれている。

 トルコが難民を国内に留める代償としてEUは2年間で60億ユーロ(約7500億円)を支払い、トルコ政府のファシズム化政策に口を出さないことにしたというが、それで済むとは思えない。要求はエスカレートしていくだろう。EUの決定は自殺行為だとも言われている。ブリュッセルの爆破事件に絡み、エルドアン大統領は事前に警告したと発言しているようだが、「脅し」と言うべきだろう。

 トルコと同じようにシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒そうとしているサウジアラビアは2013年7月にロシアを脅している。バンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官(当時)がロシアを極秘訪問、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のイゴール・セルグン長官やウラジミル・プーチン大統領と会談したのだが、そこでバンダル長官は次のようなことを言ったという。

「来年、黒海のソチで開かれる冬季オリンピックを守ると保証できる。オリンピックの破壊活動をすると脅しているチェチェンのグループは自分たちのコントロール下にあり、自分たちとの調整なしにシリア領へは向かわない。」

 つまり、自分たちのシリア侵略を妨害する行為を止めれなければ、サウジアラビアの指揮下にあるチェチェンのグループにソチ・オリンピックを攻撃させると脅したのだ。それに対し、プーチンは「ここ10年間、チェチェンのテロリスト・グループをあなたたちが支援していることを知っている」と応じ、シリア支援を強化した。

 ソチ・オリンピックは2014年2月7日から23日にかけて行われたが、その時にネオコン/シオニストはウクライナでネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使い、クーデターを成功させる。憲法を無視したプロセスでビクトル・ヤヌコビッチ大統領が追放されたのはオリンピックの最終日だった。それでもロシアはネオコンやサウジアラビアの脅しに屈せず、今では逆に追い詰めている。

 それに対し、EUの「エリート」はアメリカ支配層に従って戦火を拡大させ、それが自分に降りかかってくると脅しに屈してカネを支払っている。買収されている弱みがあるのかもしれないが、最悪の対応だ。これからも強請られ、要求を呑まないと「テロ」が実行されると推測する人もいる。





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最終更新日  2016.03.24 04:52:25



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