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《櫻井ジャーナル》

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2016.08.09
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8月3日付けのニューヨーク・タイムズ紙にシリアを爆撃するべきだとする主張が掲載された。この記事を書いたのは中東ワシントン研究所のデニス・ロスとアンドリュー・テイブラー。ダーイッシュやアル・カイダ系の武装集団(アル・ヌスラなど)を攻撃しているロシアとの協力も止めるべきだという立場でもある。この主張はネオコン/シオニストのもので、ヒラリー・クリントンも同じ考え方の持ち主だ。

 しかし、アメリカには別の考え方をする人もいる。例えば、マイケル・フリン中将。この人物が局長だった2012年8月にDIA(国防情報局)は、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者/ワッハーブ派、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・ヌスラと実態は同じだという)であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けている、つまりシリアに「穏健派」は事実上、いないと政府に報告している。バラク・オバマ政権が実行してきた「穏健派」の支援は「過激派」を支援することにほかならないということだ。退役後の2015年、フリン中将はオバマ政権の決定がダーイッシュの勢力を拡大させたと指摘している。

 言うまでもなく、ワッハーブ派はサウジアラビアの国教。ムスリム同胞団は1954年にエジプトのガマール・アブデル・ナセルを暗殺しようとして失敗、非合法化され、そのメンバーの多くはサウジアラビアへ逃れ、ワッハーブ派の強い影響を受けるようになった。現在、サウジアラビアでこうした武装集団と最も強く結びついているのは、副皇太子で国防相でもあるモハンマド・ビン・サルマン。この人物はトルコのクーデター未遂にも関係していると言われている。

 ムスリム同胞団がヒラリー・クリントンとも緊密な関係にあることは本ブログでも何度か指摘した。彼女の側近中の側近、ヒューマ・アベディンがパイプ役だ。ヒューマの母親であるサレハはムスリム同胞団の女性部門を指導、父親のシードとアル・カイダとの関係を指摘する人もいる。また、夫のアンソニー・ウィーナー元下院議員で、ネオコン。イスラエルとサウジアラビアの友好的な関係を象徴する夫妻だ。

 2011年10月から統合参謀本部議長を務めていたマーチン・デンプシー大将もダーイッシュを危険視、ロシアやシリアとも手を組むべきだと考えていたようだ。実際、オバマ政権の政策を懸念した軍の幹部は2013年秋からダーイッシュやアル・カイダ系武装集団に関する情報をホワイトハウスの許可を得ず、シリア政府へ伝え始めたという。

 2013年2月から国防長官を務めたチャック・ヘーゲルも武力によるアサド政権転覆には消極的な姿勢を見せていたのだが、15年2月に好戦派のアシュトン・カーターと交代させられてしまう。カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物だ。

 2015年9月にはデンプシーも辞めさせられ、後任はロシアをアメリカにとって最大の脅威だと発言していたジョセフ・ダンフォードだ。統合参謀本部議長が交代した直後、9月30日にロシアはシリアで空爆を始めている。ロシアは出てこないと高をくくっていたネオコンはショックを受けたようだ。

 デンプシー統合参謀本部議長やヘーゲル国防長官がシリアに対する本格的な軍事介入にブレーキをかけていた当時の2013年8月、安倍晋三首相はカタールで「シリア情勢の悪化の責任はアサド政権にある。アサド政権は道をゆずるべきだ」とネオコンをはじめとする好戦派の主張を繰り返している。ここでも安倍政権がネオコンの操り人形だということが確認できる。安倍は「総合的判断」などしない。ボスに言われたことを繰り返すだけだ。

 ネオコンが有力メディアを押さえ、宣伝に利用していることは広くしられているが、そのひとつがニューヨーク・タイムズ紙。イラクを先制攻撃する雰囲気作りのため、偽情報を盛んに流していたひとりは同紙のジュディス・ミラーだった。この人物は第101空挺団に「埋め込まれた」、つまり支配層から認められた記者。化学兵器、細菌兵器、核兵器に関する極秘施設に関する情報を流し、サダム・フセイン政権が生体実験を行っていると伝えていたが、全て嘘だった。

 アメリカは巨大金融資本が支配する国で、戦争ビジネスはその下に位置し、宣伝部門が有力メディアだ。現在、TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の3点セットで巨大資本が国を支配するファシズム体制へ移行しようとしているが、その新体制も「嘘の帝国」であることに変わりはなく、事実を語ることは反逆と見なされるだろう。





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最終更新日  2016.08.09 11:32:12



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