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《櫻井ジャーナル》

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2016.10.28
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 シリア北部のイドリブにある学校が攻撃され、児童22名と教師6名が死亡したと10月26日にUNICEFのアンソニー・レイク事務局長は語った。アメリカ軍、あるいはアメリカ軍が主導する軍隊はユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアを含む世界の国々で子どもを含む無数の人びとを虐殺してきたが、今回は「戦争犯罪」という表現を使うなど、特別扱いしているようだ。

 攻撃された教室だとされる写真も流れているのだが、壁に大きな穴が空いているにもかかわらず、机や椅子は整然と並び、瓦礫も少ないように見え、本当に爆撃現場の写真なのかどうか疑問に感じる人もいるだろう。



 この攻撃はロシアやシリアによる空爆だったと証拠を示すことなく主張しているのは、例によってロンドンにあるSOHR(シリア人権監視所)。この「団体」は2006年に創設された当時からひとりで運営され、その背後にはイギリスのMI5、アメリカのCIA、アメリカの情報機関と緊密な関係があり、NSAと密接な関係にあるブーズ・アレン・ハミルトン、またプロパガンダ機関として有名なラジオ・リバティが存在していると指摘されている。つまり米英支配層のプロパガンダ機関。

 2011年3月にアメリカをはじめ、イスラエル、サウジアラビア、トルコなど外国のシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒したい勢力が侵略戦争を始めた当初、ダニー・デイエムなるシリア系イギリス人が「アサド政権による弾圧」を発信、それを西側の有力メディアは垂れ流していたが、この仕組みは2012年3月に破綻する。「シリア軍の攻撃」を演出する様子を撮した部分を含む映像がインターネット上へ流出、西側メディアの伝えていた「報道」が嘘だということを多くの人が知ってしまったのだ。現在、SOHRと手を組んでいるのは「白ヘル」だ。

 イドリブの攻撃に関し、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使は西側の主張を否定している。国連の呼びかけに応じ、18日からロシアやシリアの航空機はイドリブから10キロメートル以内の空域を飛行していないというのだ。ロシア国防省は問題の日にアメリカのUAV(ドローン)のプレデターが飛行していたと主張、その事実は記録されているとしている。ロシアが上空から撮影した写真によると、学校の屋根に損傷は見られず、爆撃によるクレーターもないようだ。

 1991年12月にソ連が消滅、翌年の2月の世界制覇プラン(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)を作成してから、アメリカの支配層は有力メディアに偽情報を広めさせながら軍事侵略を繰り返してきた。ユーゴスラビアやアフガニスタンは人権、イラクは大量破壊兵器、ウクライナ、リビア、シリアは民主化だが、いずれも侵略を正当化するための口実に使われただけだ。

 しかし、アメリカ支配層を中心とする勢力はシリアで躓いた。ロシアが立ちはだかっているのである。昨年9月30日にロシア軍が空爆を始めてから侵略勢力の手先であるアル・カイダ系武装勢力やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は劣勢になり、要衝を奪われつつある。モスル奪還を演出、イラクから9000名程度を援軍としてシリアへ向かわせようとしているが、成功するかどうかは不明。

 ここにきて西側が神経を尖らせているのは重航空巡洋艦(空母)クズネツォフ提督を中心とする艦隊。10月15日にセベロモルスクを出港、北海で3日間にわたる演習を実施した後、地中海のシリア沖へ向かっている。途中、北アフリカにあるスペインの港で給油することになっていたが、スペインは難色を示し始め、ロシアは給油を取り消した。アメリカ支配層の圧力があったということだろう。イドリブの攻撃を使った反ロシア宣伝とリンクしている可能性もある。

 ちなみに、イドリブでの攻撃をいち早く批判したレイクの現在の肩書きはUNICEF事務局長だが、アメリカの外交官という経歴も持つ。元国務省政策企画本部長であり、元国家安全保障担当大統領補佐官なのだ。アメリカの国際戦略に深く関与してきたということである。





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最終更新日  2016.10.28 17:32:28



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