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《櫻井ジャーナル》

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2019.01.09
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 シリア西部にあり、トルコに接しているイドリブで軍事的な緊張が高まっている。ロシア軍機が空爆を実施、シリア政府軍も攻撃の準備を整えつつあるようだ。

 2015年9月30日にシリア政府の要請でロシア軍が介入してからサラフィー主義者(ワッハーブ主義者やタクフィール主義者と渾然一体)やムスリム同胞団を中心とする戦闘集団の支配地域は急速に縮小、その戦闘集団は戦力をイドリブに集中させてきた。

 ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)問題に関するアメリカの大統領特使、ブレット・マクガークは昨年2017年7月、イドリブについて、2001年9月11日からアル・カイダの最も大きな避難場所だと表現していた。

 このアル・カイダは​ロビン・クック元英外相が2005年7月に指摘​したように、CIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リストにすぎない。アラビア語でアル・カイダはベースを意味、データベースの訳語としても使われる。

 そうしたリストを使って編成される武装集団には様々なタグがつけられてきた。イドリブで最も大きなグループはトルコの影響下にあるタハリール・アル・シャーム。かつてはアル・ヌスラと呼ばれていた。

 アメリカ軍の情報機関​DIAが2012年8月に政府へ提出した報告書​によると、アル・ヌスラはAQI(イラクのアル・カイダ)と実態は同じ。

 AQIが中核になって2006年にISI(イラクのイスラム首長国)が編成され、13年に活動範囲がシリアへ拡大するとダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)と呼ばれるようになった。そのダーイッシュが売り出されたのは2014年。ダーイッシュは残虐性を演出、アメリカ軍のシリア空爆の口実に使われた。アル・ヌスラとダーイッシュの実態は同じだと言えそうだ。違うのはタグ。いずれもジハード傭兵と呼べるだろう。

 こうしたジハード傭兵はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコなどに支えられてきた。

 その中心はアメリカ。そのアメリカの大統領だったバラク・オバマは2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を中心とするグループを使って政権転覆プロジェクトを始めた。2011年春に侵略戦争が始まったリビアとシリアはアメリカ政府の主要ターゲットだ。

 イドリブからジハード傭兵が排除されたなら、残るはユーフラテス川の北側、シリアの東北部。このクルドが支配する地域にアメリカ軍は18カ所とも20カ所以上とも言われる軍事基地を建設してきた。イギリス軍やフランス軍も基地を持っている。

 クルドの後ろ盾になっているアメリカもクルドと敵対しているトルコもNATO加盟国。トルコと戦いたくないアメリカはクルドにとって頼りになる存在とは言いがたい。

 かつてアメリカ陸軍第75歩兵連隊の車列が入り、アメリカ、イギリス、フランスの特殊部隊が増強されていたと言われているマンビジからクルド軍が撤退、シリア政府軍は代わりに入った。アメリカを信頼するに足りない国だとクルドは気づいたのだろう。

 そのアメリカは現在、ぐらついている。ドナルド・トランプ米大統領は2000名のアメリカ軍を撤退させると決め、ジェームズ・マティス国防長官は命令書に署名したが、その一方でこの決定に抗議して今年(2019年)2月で辞任すると表明した。

 また、マイク・ポンペオ国務長官、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、シリア特使のジェームズ・ジェフリーはシリア東北部の永続的な占領を目指して大統領の決定を無効化しようと政府の内部で活動している。

 イドリブをシリア政府軍が奪還、クルドが政府側と話し合いを始めているだけでなく、イラクでもアメリカ軍に出て行くよう求める声が高まり、中東諸国の政府はダマスカスとの関係を修復させつつある。現在、アメリカ軍はダマスカスとバグダッドを結ぶ要衝、アル・タンフを不法占拠、武装勢力を支援している。アメリカとイギリスの特殊部隊がそこで反シリア政府軍を訓練、軍事演習も実施したと伝えられている。アメリカはそのアル・タンフを維持することも難しくなるかもしれない。






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最終更新日  2019.01.09 18:57:30



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