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《櫻井ジャーナル》

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2019.05.19
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 アメリカとイランとの間の軍事的な緊張が高まる中、ドナルド・トランプ米大統領がイランとの軍事衝突を避けるよう指示したと5月17日に伝えられた。

 政府内で攻撃したがっているのはマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官、そしてジョン・ボルトン国家安全保障補佐官。ボルトンには解任説も流れている。

 アメリカ支配層の内部で対立が激しくなり、流れに変化が生じているようにも見えるが、アメリカに対する世界的な反発を抑えるため、「良いアメリカ人」と「悪いアメリカ人」という演出をしている可能性もある。

 これまでも支配層の内部で意見の対立はあったが、2001年9月11日以降、ネオコンのような好戦派が主導権を握ってきた。バラク・オバマ政権で国務長官は好戦派のヒラリー・クリントンから慎重派のジョン・ケリーへ2013年1月に交代したが、その後、政権自体は好戦的な方向へ動いている。

 トランプ大統領がシリアからアメリカ軍を撤退させるように命じた際にも反発は強く、有力メディアや議会だけでなく、閣内でもそうした意見が出ている。

 例えば、国防長官だったジェームズ・マティスは撤退の命令書に署名したものの、辞任を表明した。その後、ペンス、ポンペオ、ボルトンたちの抵抗で撤兵は実現していない。

 当初、オバマ政権はシリアもリビアと同じようにジハード傭兵で体制を揺さぶり、偽旗作戦でアメリカ/NATOが軍事介入して止めを刺すという方針だったのだろうが失敗した。2015年9月にシリア政府の要請でロシア軍が介入、ジハード傭兵の支配地域は急速に縮小、今でも残っている支配地域はイドリブだけだ。

 ジハード傭兵の替わりに侵略の手先となったのはクルド系の武装組織。ユーフラテス川の北側を支配している。ユーフラテス川沿い、イラクに近い地域には油田地帯があるのだが、ここを占領しているのはアメリカ軍だ。この地域からイラクにかけての地域でアメリカの現地軍は兵力を増強、ジハード傭兵の訓練も進めている。

 イランを攻撃する際、イラクは重要な拠点になるのだが、そのイラクでは政府も議会もイラン攻撃に自国が使われることを拒否、イラクにいる外国軍を追い出すための法律も準備されている。今年に入ってポンペオはイラクを訪問しているが、そうした情況が反映されている可能性がある。

 イランに対する好戦的な姿勢はイスラエルやサウジアラビアに歓迎されているが、トルコやイラクはアメリカ離れを加速、EUも反発している。

 イランを攻撃した場合、ホルムズ海峡が封鎖される可能性があり、その封鎖を解くためにアメリカが軍隊(少なくとも十数万人)と投入した場合、コントロール不能になり、中東全域が戦火で覆われることも想定できる。最悪の場合は世界大戦だ。

 イギリスとフランスは1939年の終わりにバクー(当時はソ連領)の油田を占領する作戦を立てていた。パイク作戦だ。イラン、トルコ、シリアから飛び立った爆撃機で攻撃、ソ連を弱体化させようとしたのだが、その作戦がドイツとソ連を結びつけることになると懸念、実行されなかったともいう。ドイツがソ連に対する侵攻作戦(バルバロッサ作戦)を始めたのは1941年5月である。

 ちなみに、そのドイツが降伏した直後、1945年5月にウィンストン・チャーチル英首相はJPS(合同作戦本部)に対してソ連へ軍事侵攻するための作戦を立案するように命令、その月の22日にはアンシンカブル作戦が提出されている。7月1日に米英軍数十師団とドイツの10師団が「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が実行されなかったのは、ソ連が日本と手を組む可能性があったからだとも言われている。

 現在でもイラン、トルコ、シリアはロシアを攻撃する際、重要な拠点になる。爆撃機を発進させたりミサイルを発射するだけでなく、傭兵を送り込む拠点になる。イラン攻撃の先にロシア侵略をロシア政府は想定しているだろう。アメリカ軍によるイラン侵攻を黙認するほどウラジミル・プーチン大統領が「お人好し」だとは思えない。

 空母エイブラハム・リンカーンや複数のB-52爆撃機をアメリカ軍は中東へ派遣しているようだが、戦争の破滅的な結果を理解している人物がアメリカ軍の上層部にも少なくないと言われている。

 イラクを先制攻撃する際、統合参謀本部は大義のなさ(大量破壊兵器の話が嘘だということを知っていた)や作戦の無謀さから抵抗、開戦が約1年間延びたようだ。今回はその時より開戦に対する反対の声は強いだろう。

 アメリカ支配層の内部で力関係に変化が生じている可能性がある。ロシアゲートをでっち上げたCIAやFBIを調べるためにコネチカット州の連邦検事、ジョン・ドゥラムが任命されたのもそうしたことが影響しているかもしれない。







最終更新日  2019.05.19 14:44:19

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