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《櫻井ジャーナル》

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2019.05.21
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 グーグルはファーウェイ・テクノロジーズ(華為)との契約履行を中断すると伝えられている。

 言うまでもなくファーウェイは中国の大手通信機器メーカーで、アメリカ政府が行っている対中国経済戦争の一環ということになるだろう。半導体や通信機器会社のクアルコム、半導体素子メーカーのインテルなどもグーグルに同調しているようだ。

 こうした契約の履行を拒否する理由としてシリコンバレーの企業はファーウェイが中国政府のために情報を収集する活動をしているからだとしているが、アメリカのコンピュータやインターネットに関連した企業がCIAやNSAといったアメリアの情報機関と連携していることは公然の秘密だ。

 エレクトロニクス技術が発展する前からアメリカの情報機関や治安機関、つまりCIA、NSA、FBIなどは監視システムを築いてきた。そのターゲットは戦争に反対する人びとで、FBIが1950年代から始めたCOINTELPRO、CIAが1967年から始めたMHケイアスは悪名高い。

 1970年代に入ってエレクトロニクス技術が急速に進歩しはじめると監視技術も進歩していく。通信の傍受、トラップ・ドアを組み込んだシステムの販売による情報の収集、情報を分析するシステムの開発などが急速に進んでいくのだ。その中心には国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が存在する。

 こうした動きは1970年代の半ばにアメリカ議会で調べられている。上院の「情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会」や下院の「情報特別委員会」だ。

 上院の委員会はフランク・チャーチ議員が委員長を務めたことからチャーチ委員会と呼ばれ、下院の委員会はオーティス・パイク議員(当初はルシエン・ネジ議員だが、すぐに交代)が委員長に就任したことからパイク委員会と呼ばれ、両委員会とも情報機関の秘密工作について調査、その中に電子的な情報の収集システムも含まれていた。こうした調査が行われるまで、NSAの存在は一般に知られていなかった。

 そうした調査を踏まえ、チャーチ上院議員は1975年8月にテレビでアメリカ政府の通信傍受能力はアメリカ国民に向けられる可能性があり、そうなると人々の隠れる場所は存在しないと警鐘を鳴らしている。

 NSAにはパートナー機関が存在する。イギリスのGCHQだ。この2機関はUKUSAを編成、監視活動を規制する法律を回避するために協力し合ってきた。このGCHQも存在が秘密にされていた。最近の表現を使うと、NSAやGCHQの話は「都市伝説」であり、そうしたことを口にする人は「謀略史観」の持ち主だと見なされていたわけだ。

 GCHQの存在を明らかにしたのはジャーナリストのダンカン・キャンベル。1976年のこと。キャンベルは1988年に地球規模の通信傍受システムECHELONが存在することを記事の中で指摘した。

 現在、通話や電子メールなどすべてをUKUSAは傍受、記録していると言われている。電子メールへ自由にアクセスするためのツール、XKEYSCOREの存在を内部告発で明らかにしたのはエドワード・スノーデン。そのツールをNSAは日本の防衛省情報本部電波部へ渡したとされている。

 その一方、不特定多数の情報を集め、蓄積、分析するシステムの開発も進む。1970年代に民間企業が開発したPROMISもそうしたもので、日本の検察も注目、1979年3月と80年3月に概説資料と研究報告の翻訳として『研究部資料』に関連文書が掲載されている。

 1981年1月にアメリカではロナルド・レーガンが大統領に就任するが、この政権はPROMISを自分のものにするため、開発会社を倒産に追い込む。

 この倒産は裁判になり、1988年2月にワシントン破産裁判所のジョージ・ベイソン判事は司法省が不正な手段を使って開発会社のINSLAWを破産させ、PROMISを横領したと認めた。

 翌年11月にはワシントン連邦地裁のウィリアム・ブライアント判事も破産裁判所を支持する判決を言い渡し、下院の司法委員会も1992年9月に破産裁判所の結論を支持する内容の報告書を公表している。

 その後、1997年8月に最高裁は司法省の言い分を認める判決を言い渡したが、そう判断する理由とされたのはイラン・コントラ事件で偽証して有罪になったロバート・マクファーレン、あるいは証券詐欺や銀行詐欺などでロサンゼルスの連邦地裁で有罪の評決を受けるアール・ブライアンという「信頼できる証人」の証言だ。

 PROMISはアメリカとイスラエルの情報機関の手に渡り、それぞれがトラップ・ドアを組み込み、国際機関、各国の政府機関、あるいは金融機関などへ売られた。そうした機関へ集まった情報は自動的にアメリカへ流れることになる。

 アメリカ、イギリス、イスラエルなどは通信の傍受、不特定多数の情報収集と分析を戦略として推進してきた。シリコンバレーの企業はその巨大監視システムの一部だ。インターネットはこうした勢力によって築かれたのである。

 こうした監視システムは街中に張り巡らされたカメラ、IC乗車券、ETC、いわゆるスマート家電とつながる。さまざまな分野での電子化の裏では監視の目が光っている。このネットワークは学校や図書館にも忍び込み、思想を調査するだけでなく、「潜在的反逆者」のあぶり出しにも使われようとしている。住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度は個人情報を集中管理する基盤になると考えるべきだ。

 通信分野で台頭してきた中国企業が自分たちと同じことを始める恐怖をアメリカ、イギリス、イスラエルなどは感じているだろう。情報は通貨と並ぶ支配システムの柱。ドル体制が揺らぎ、情報独占が崩れるということは、アメリカ帝国の終焉を意味している。






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最終更新日  2019.05.21 14:27:30



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