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《櫻井ジャーナル》

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2019.09.13
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 ​ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官の後任にチャールズ・クッパーマン副補佐官が昇格すると伝えられている​。この人物はネオコンと兵器産業と深く結びついていることで知られ、そうした意味でヒラリー・クリントンに近いと言えるだろう。ボルトンとは2016年の大統領選挙より前から緊密な関係にあったと言われている。

 クッパーマンは1950年生まれで、78年から80年にかけての期間、CPD(現在の危機委員会)で上級分析官を務めている。CPDは1950年に創設されているが、ジェラルド・フォード政権(1974年から77年)で台頭したネオコンを含む好戦派(反デタント派)が76年に再編している。

 1980年代にネオコンと他の好戦派はイラクのサダム・フセイン体制を巡った対立した。ネオコンはフセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立、トルコ、イラク、ヨルダンの親イスラエル国帯を築いてシリアとイランを分断、その上で両国を制圧するという計画を立てていた。

 それに対し、ジョージ・H・W・ブッシュやジェームズ・ベイカーたちはフセイン体制をペルシャ湾岸産油国の防波堤と認識していた。フセインを倒すかどうかの対立は暴露合戦につながり、イラクゲートやイラン・コントラ事件を浮かび上がらせることになった。

 1991年から92年にかけてアメリカ主導軍がイラクを攻撃した際、ブッシュ大統領がフセイン体制を存続させたことにネオコンは激怒している。その中心グループに属すポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にし、92年2月には国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成する。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。

 1991年12月にソ連が消滅、アメリカの支配層だけでなくアメリカ信奉者もアメリカが唯一の超大国になったと信じた。その判断に基づき、ソ連のようなライバルが出現することを阻止することにしたのがネオコン。力の源泉であるエネルギー資源の支配もドクトリンに含まれる。

 このドクトリンを作成された中心人物は国防次官だったウォルフォウィッツ。その上にいた国防長官はリチャード・チェイニー。そのほかI・ルイス・リビーやザルメイ・ハリルザドが関係していた。ハリルザドはボルトン国家安全保障補佐官の後任として名前が挙がっていたひとり。最近ではベネズエラのクーデター計画を指揮、1980年代にはイラン・コントラ事件でも名前が浮上したエリオット・エイブラムズも候補者のひとりだった。

 ところで、クッパーマンは1980年にレーガンの大統領キャンペーンに参加、後にボーイングやロッキード・マーチンで副社長を務めている。

 兵器産業と緊密な関係にある親イスラエル派(シオニスト)は少なくないが、そのひとりがウォルフォウィッツを含む後にネオコンと呼ばれる若者をオフィスで育成していたヘンリー・ジャクソン。ボーイングから来た上院議員と呼ばれていた。ちなみに、ヒラリー・クリントンは上院議員時代、ロッキード・マーチンから来たと言われている。

 この議員は民主党に所属していたが、1972年の大統領選挙で戦争に反対していたジョージ・マクガバンが同党の候補に選ばれると党内に反マクガバン派のグループを結成、落選運動を始める。CDM(民主党多数派連合)だ。

 その結果、戦争に反対するマクガバンは落選、つぎにデタントを主張したニクソンがスキャンダルで失脚、そして好戦派が実権を握ったフォード政権ではデタント派が粛清されてネオコンやブッシュ(CIAの非公然オフィサーの可能性が高い)などが台頭する。

 クッパーマンは核戦争でロシアに勝てると口にしていることでも知られている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、​フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文​では、アメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てると主張している。似た考え方だ。

 しかし、2008年8月にイスラエルやアメリカの支援を受けたジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃してロシア軍に惨敗、さらに15年9月末からシリア政府の要請で軍事介入したロシア軍は兵器の性能の高さを明らかにし、核戦争でアメリカが完勝することはありえないことを示した。

 中東でも朝鮮半島でもベネズエラでもボルトンの政策が破綻していることは確かで、ボルトンの辞任で軌道修正することができるとは言えるが、トランプ政権にはマイク・ペンス副大統領やマイク・ポンペオ国務長官のようなキリスト教系カルトの信者、つまりキリスト教シオニストがいる。そこへヒラリー・クリントンのようなクッパーマンが入って情況が好転するのだろうか?






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最終更新日  2019.09.13 18:42:26



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