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《櫻井ジャーナル》

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2019.09.21
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 東京地裁(永渕健一裁判長)は9月19日、業務上過失致死傷罪で起訴されていた東京電力の旧経営陣、つまり勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長に無罪を言い渡した。2011年3月11日に起こった東電福島第1原発の事故に法的な責任はないと永渕裁判長らは判断したわけである。

 日本は地震国と言われているわけで、巨大地震も起こる。必然的に津波に襲われることも予見できる。東電では2008年3月、原発を襲う可能性がある津波の高さが最大15.7メートルという情報を得ていたという。その報告を武藤は拒絶、防潮堤建設などの津波対策をとらなかった。

 そうした情況で炉心がメルトダウンするような事故を引き起こした東電に責任があることは明らかで、その責任者が責任をとることも常識。その常識と司法の法的な判断が違うことを今回の判決は再確認させせたわけだ。

 事故を起こした原発と同じ福島県にある福島第2原発では1989年1月に冷却水再循環ポンプ内へボルトや座金が脱落、それが原子炉内に流入するという重大な事故が引き起こされている。前年の暮れからポンプ内で振動があり、警報も鳴っていたのだが、東電の指示で運転を続けた結果だという。

 しかも、この重大事故を東電や国は県へ速やかに報告していない。2002年8月には東電による点検記録の改竄を国が報告していなかったことも県は知る。当然のことながら当時の知事、佐藤栄佐久は怒り、国や東電が進めていたプルサーマル計画の了承を取り消して東電管内の原発稼働を拒否した。

 再稼働が認められた2006年7月当時、佐藤知事は厳しい状況に陥っていた。知事の弟である祐二が土地取引に関して検察から取り調べを受けていたのだ。9月に祐二は逮捕された。県議会内では知事の辞職を求める声が高まり、辞職を表明せざるをえなくなる。

 そして10月、佐藤栄佐久は東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕されてしまった。懲役2年、執行猶予4年の判決が確定しているが、裁判の記録を読むと、冤罪だった可能性が高いと言わざるをえない。

 この事件は東京地検特捜部が捜査したのだが、それを特捜部の副部長として指揮したのが佐久間達哉。この人物が特捜部長だった2009年11月、政治収支報告書における虚偽記載の問題に絡んで小沢一郎が告発されるが、この問題も事実上、冤罪だった。

 その取り調べの中で、小沢の秘書だった石川知裕の供述内容に関する虚偽の捜査報告書を検察は作成、それを検察審査会に提出し、小沢氏に対する起訴議決に誘導しようとしていた事実が発覚している。それに対して検察は「記憶違い」だとして関係者全員を不起訴にした。

 担当検事は懲戒処分を受けて辞職したものの、特捜部長だった佐久間達哉は前橋地検検事正、千葉地検検事正、そして2016年には法務総合研究所の所長に就任。また、この事件を不起訴にした当時の最高検主任検事の長谷川充弘は広島高検検事長を務めた後、証券取引等監視委員会の委員長のポストに就いた。

 政治収支報告書における「虚偽記載」は日本の政治を左右しても取り組むべき重大な問題だが、無実の人間を罪人にしようとする捜査報告書の虚偽記載はたいした問題でないと日本の司法システムは考えていると言えるだろう。

 福島第1原発の事故を引き起こした責任は東電の旧経営陣だけでなく検察や裁判所にもある。原発政策を推進してきた官僚や政治家、その政策で甘い汁を吸ってきた関連企業、広告会社、マスコミなども責任を免れない。そうした意味で、裁判所が東京電力の旧経営陣に事故の責任はないとする判決を出すのは当然なのだろう。何しろ、仲間だ。






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最終更新日  2019.09.21 03:12:50



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