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《櫻井ジャーナル》

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2019.10.16
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 トルコ軍がシリア北東部に攻め込む中、ロシア軍を後ろ盾とするシリア政府軍が北西部にあるマンビジュを制圧した。それまでアメリカ軍を後ろ盾とするクルドの武装集団が支配していたが、トルコ軍の攻撃を受けて政府軍に明け渡したのだ。

 昨年春の段階でユーフラテス川の北側にアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍は軍事基地を20カ所ほど建設していた。その多くはアメリカの基地だ。そのアメリカ軍がトルコ軍の攻撃を前に撤退した。

 アメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビア、イスラエル、カタール、そしてトルコがアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)を使ってリビアやシリアへの侵略戦争を始めたのは2011年春のこと。

 リビアではその年の10月にムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊、その後は武装集団が跋扈する無法国家になったが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は持ちこたえた。

 侵略勢力は2014年にダーイッシュを売り出し、その残虐さを宣伝、その上でアメリカ軍主導で空爆をはじめた。リビアに近い展開になり、ダーイッシュは支配地を拡大、シリア政府はロシアに支援を求めた。

 2010年8月にムスリム同胞団を使った体制転覆プロジェクトを決めたバラク・オバマ大統領だが、政府内には戦争に慎重な人もいた。国防長官だったチャック・ヘイゲルや統合参謀本部議長だったマーティン・デンプシーだ。軍情報部DIAの局長だったマイケル・フリンは2012年の段階でアル・カイダ系武装集団に対する支援が危険であり、ダーイッシュ的な集団の登場をホワイトハウスに警告していた。

 それに対し、オバマ大統領は2015年2月にヘイゲルと好戦派のアシュトン・カーターへ交代、デンプシーは15年9月に再任が拒否されて好戦派に従順なジョセフ・ダンフォードへ換えられた。フリンはダーイッシュが売り出された2014年に解任されている。

 つまり、オバマ政権はシリアに対するアメリカ軍による本格的な軍事攻撃の準備を2015年に始めた。シリアがサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団というカルトに支配されるのは時間の問題と見られたとき、ロシア軍が介入したのである。

 そこでアメリカはトルコを使い、ロシアを脅しにかかる。その年の11月24日にトルコ軍機がロシア軍機を待ち伏せ攻撃、撃墜したのである。この撃墜でウラジミル・プーチン露大統領は目を覚ましたのか、姿勢が厳しくなる。

 この脅しにロシアは屈せず、トルコは経済的に苦しくなる。そこで2016年6月にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は撃墜を謝罪、7月13日には同国の首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆。その2日後に軍事蜂起(クーデター未遂)があったが、すぐに鎮圧された。事前にトルコ政府へロシアから警告があったと言われ、トルコとロシアとの関係は接近していく。

 ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団が敗走したことからアメリカは新たな手先としてクルドを使い始めたのだが、このクルドをトルコ政府は敵視している。トルコとアメリカとの関係はさらに悪化させる要因になった。

 そのトルコがシリア北部を支配していたクルドを攻撃、アメリカ軍は事前に撤退した。トルコは戦略的に重要な場所にあるNATO加盟国であり、軍事衝突は避けたかったのだろう。アメリカの好戦派もアメリカ軍とトルコ軍が軍事衝突することはまずいと考えているはずだ。

 ドナルド・トランプ大統領によると、マイク・ペンス副大統領とマイク・ポンペオ国務長官はトルコ政府に軍事侵攻を辞めさせるため、トルコへ向かったという。好戦的な道から外れようとするトランプを制御することがペンスとポンペオの役割を担っている。

 大統領に就任した直後にトランプが国家安全保障担当補佐官に任命したのはマイケル・フリンだが、彼は1カ月足らずで解任され、トランプ自身の辞任とマイク・ペンス副大統領の昇格が噂になる。

 ペンスはキリスト教系カルトの信者で、親イスラエル派。マイク・ポンペオ国務長官や国家安全保障補佐官だったジョン・ボルトンに近い。

 ペンスが大統領になった場合、その政策はジョージ・W・ブッシュ政権に近くなる、つまりネオコン的なものに可能性が高いのだが、それは戦争ビジネスや金融資本と関係が深く、ネオコンに支援されていたヒラリー・クリントンに近いとも言える。






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最終更新日  2019.10.16 14:26:36



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