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《櫻井ジャーナル》

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2020.12.08
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 日本、アメリカ、フランスは来年5月に合同軍事訓練を実施、またイギリス海軍が空母クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群を来年初めにも南西諸島周辺を含む西太平洋へ派遣すると伝えられている。こうした場合、日本政府は尖閣諸島の領有権問題を口実に使うが、勿論、表面的な口実にすぎない。

 本ブログではすでに書いたことだが、アメリカとその従属国はグローバルNATOなる戦略を打ち出している。その内容はNATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグが説明した通りだろう。

 ストルテンベルグは今年6月8日、NATO2030なるプロジェクトを始めると宣言した。NATO(北大西洋条約機構)の活動範囲を太平洋へ広げ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本を巻き込む計画を明らかにしたのだ。韓国の現政権を屈服させるか潰さなければならないということでもある。

 11月17日にオーストラリアのスコット・モリソンは東京で菅義偉首相と会談、その後で両者は日本とオーストラリアが相互アクセス協定(RAA)の大筋で合意したと発表し、その日にアメリカ、オーストラリア、インド、そして日本の4カ国の海軍が北アラビア海で艦隊演習を開始した。NATO2030は始動している。

 NATOは1949年4月に創設された軍事同盟で、最初のメンバー国はアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルク。

 アメリカは1951年9月1日にオーストラリアやニュージーランドとサンフランシスコのプレシディオでANZUS条約に調印、同年9月8日には日本と同じ場所で安保条約に調印している。このふたつの軍事同盟をアメリカは一体化させようとしているのだろう。

 NATOが組織された表面的な目的はソ連軍の侵攻に備えることだが、その当時のソ連に西ヨーロッパへ攻め込む能力はなかった。ドイツとの戦いで疲弊していたからだ。

 イギリスの首相を務めていたウィンストン・チャーチルはドイツが降伏した直後、JPS(合同作戦本部)に対してソ連を奇襲攻撃するための作戦を立てるように命令、アンシンカブル作戦が作成された。

 その作戦によると、7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めることになっていた。この作戦が実行されなかったのは参謀本部が拒否したからだと言われている。

 その当時、イギリスとアメリカは原子爆弾の開発を進めていた。マンハッタン計画だが、それを統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将は1944年、ポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017)

 アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は反ファシズムで、反コミュニストでロスチャイルド系金融機関と関係が深いチャーチルよりソ連のヨシフ・スターリンに近かったと言われている。ルーズベルトが1945年4月に急死した際、スターリンはチャーチルに毒殺されたのではないかと疑ったとも言われている。

 アンシンカブル作戦が中止になった後、1945年7月16日にアメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が実施されて成功、副大統領から大統領に昇格していたハリー・トルーマンは原子爆弾の投下を7月24日に許可し、広島と長崎へ投下された。これはソ連を意識した爆撃だった。

 この当時、アメリカにはチャーチルの仲間がいた。1933年から34年にかけてルーズベルトを排除してファシズム政権を樹立させるクーデターを計画したウォール街の金融機関を中心とする富豪たちだ。

 こうしたイギリスやアメリカの支配者はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略を持っている。おそらく19世紀には存在していた。それをまとめ、1904年に発表したのが地政学の父と呼ばれるハルフォード・マッキンダーだ。

 マッキンダーの理論の詳細は割愛するが、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいている。アメリカはその戦略を実行する軍事的な主体をグローバルNATOにしようとしているわけだ。それがNATO2030。

 こうした戦略のターゲットには中国だけでなくロシアも含まれる。ここにきてロシアは択捉島に防空システムS-400V4を配備したというが、アメリカ側の動きを考えれば当然だろう。

 ソ連が消滅した直後の1992年2月、国務次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツを中心に国防総省ではDPG草案という形で世界制覇プランが作成された。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンである。

 そのドクトリンに基づき、1995年2月にジョセイフ・ナイ国防次官補は「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、それ以降、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれてきた。そして現在、アメリカの支配者によって自衛隊は中国軍やロシア軍と対峙させられようとしている。「新型コロナウイルス」という蜃気楼に怯えていられるような状況ではないのだ。






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最終更新日  2020.12.08 12:27:13



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