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《櫻井ジャーナル》

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2021.04.02
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 ジョー・バイデン政権が世界規模で恫喝戦術を展開する中、ロシア、中国、イランは結束を強め、そこへインドやパキスタンも加わろうとしている。

 3月22日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が中国を訪問して桂林で王毅外交部長と会談、両国の同盟関係をアピールした。翌日、中国とロシアは貿易決済で自国通貨を使うようにすることで合意、つまりドル離れを確認している。

 その後、イランと中国は戦略的協力関係を25年に渡って維持することで合意、インドとパキスタンの関係は修復へ、そしてインドとイランも関係の強化へ向かっている。インドと中国との対立も緩和されている。

 ロシアと中国はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(上海協力機構/中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)という形でネットワークを築いていた。

 ロシアは経済の交流を目指し、EEF(東方経済フォーラム)やSPIEF(サンクトペテルブルク国際経済フォーラム)を毎年開催してきた。昨年からCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で世界の経済活動は麻痺しているが、EEFやSPIEFは続けられるようだ。

 それに対し、アメリカ政府は軍事的な結束を強めようとしている。3月12日にはアメリカ、日本、インド、オーストラリアの4カ国の首脳がオンライン会議を開いた。この4カ国は「クワッド」と呼ばれ、アジア版のNATOを創設しようとしていると中国は見ているそうだが、その通りだろう。

 ちなみに、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は2020年6月に「NATO2030」なるプロジェクトを始めると宣言、NATOの活動範囲を太平洋へ広げてオーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにするとしている。

 また、アメリカは2018年5月、「太平洋軍」という名称を「インド・太平洋軍」へ変更、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にした。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐ計画だ。

 オンライン会議の3日後、3月15日にバイデン大統領はアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官を日本に派遣、茂木敏充外相や岸信夫防衛相と会談させている。その際にブリンケン国務長官は中国の「威圧的で攻撃的な姿勢」を批判、オースチン国防長官は3月18日、​朝鮮に対し、アメリカ軍は「今夜にでも攻撃する準備ができている」と脅した​。

 アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は2月23日の記者会見で「尖閣の主権に関する日本の立場を支持する」と発言、中国政府から強く抗議され、その発言を26日に訂正しているが、これも「失言」ではなさそうだ。中国からの反応が計算違いだったのだろう。

 アメリカ支配層の基本戦術は買収、恫喝、社会的な抹殺、肉体的な暗殺、クーデター、軍事侵攻といったところ。3月16日にバイデン大統領はABCニュースの番組に出演、インタビュアーからウラジミル・プーチン露大統領は人殺しだと考えるかと問われ、バイデンは「その通り」と答えている。「失言」ではないだろう。バイデンはロシアを威圧したつもりかもしれない。

 3月19日にはアメリカ側の要請で、アメリカのブリンケン国務長官とジェーク・サリバン国家安全保障補佐官は中国の楊潔篪中央外事活動委員会弁公室主任と王毅外交部長にアンカレッジで会るが、会談は激しいものになったようだ。アメリカの恫喝を中国がはねつけたのだろう。

 アメリカの支配層はルビコンを渡り、攻勢に出たつもりなのだろうけれで、計算通りには進んでいない。

 シオニストの一派であるネオコンは1991年12月にソ連が消滅して以来、計算違いを続けている。アメリカに対抗できるライバルが存在しなくなったということで世界制覇プラン「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成したが、2000年5月にロシア大統領となったウラジミル・プーチンが曲がりなりにもロシアを再独立させて世界制覇プランの前提が崩れた。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された衝撃を利用してイラクを先制攻撃したが、親イスラエル政権を樹立させるという目論見は失敗した。

 2008年8月のジョージア(グルジア)軍による南オセチアへの奇襲攻撃が失敗に終わったこともアメリカにとって大きな衝撃だっただろう。ミハイル・サーカシビリがジョージア大統領に就任して7カ月後のことだ。

 攻撃の準備は2001年頃から始められている。イスラエルから武器/兵器の供給を受け、軍事訓練も受けていたのだ。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなどが含まれていた。

 ジョージア軍を訓練していたのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてグルジアに入っていた。しかも、イスラエル軍の機密文書が使われていたとする証言もある。

 一方、当時のジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。

 バラク・オバマ政権は2011年春にリビアやシリアに対する侵略戦争を始める。戦闘員として使ったのはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団、つまりアル・カイダ系武装勢力だ。この地上軍とNATOの航空戦力が連携してリビアを破壊したが、シリアは制圧できないでいる。

 2014年にオバマ政権はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)を売り出す。残虐性を演出、アメリカ/NATO軍の介入を容認させようとしたのだろう。2015年2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだが、いずれも戦争に慎重な人物から好戦的な人物へ替えられている。

 デンプシーが交代させられた直後の9月30日、ロシア軍がシリア政府の要請に基づいて軍事介入してシリア情勢は一変した。アメリカなど侵略勢力が使っていたアル・カイダ系武装集団やダーイッシュが敗走、その支配地域が急速に縮小してアメリカ/NATO軍が介入するタイミングを逸したのだ。しかもロシア軍は戦闘能力の高さを世界に示した。これによってアメリカへの恐怖心は緩和されただろう。

 2014年にオバマ政権はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させ、香港で雨傘運動を仕掛けたが、これらの工作はロシアと中国を接近させることになった。両国は現在、軍事面や経済面で関係を強め、戦略的同盟国になっている。こうした展開にアメリカや親米派は驚愕、その事実を受け入れられない人もいる。

 アメリカ支配層の計算違いは自国が唯一の超大国になったという思い込みから出ている。その思い込みを修正しなければならないのだが、その思い込みに現実を合わせようとあがいている。それが現在のアメリカだ。






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最終更新日  2021.04.02 03:08:14



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