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イギリスのボリス・ジョンソン首相が8月24日にキエフを訪問し、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと語った。ロシアと戦い続けろと命じたわけだが、すでにウクライナの軍や親衛隊は戦争の継続が難しいほど大きなダメージを受けていると見られている。 アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)のほか、ポーランドの正規軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の戦闘員がウクライナへ送り込まれているようだが、戦況を変えることはできていない。 ドンバス(ドネツクやルガンスク)での戦闘は2014年2月にバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターから始まった。2010年の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチを排除することが目的で、そのクーデターで中心的な役割を果たしたのはNATOの訓練を受けたネオ・ナチだった。 2010年の選挙でヤヌコビッチが当選したのは、その前の新自由主義政権の政策で貧富の差が拡大したことにある。富が欧米の巨大資本へ流出、その手先になっていた一部のグループが巨万の富を得る一方、大多数の国民は貧困化したのだ。新自由主義を導入した国で引き起こされる現象がウクライナでも起こったのである。 ウクライナを新自由主義体制の国にしたのは2004年から05年にかけてジョージ・W・ブッシュ政権が仕掛けた「オレンジ革命」。それによって選挙で当選していたヤヌコビッチを排除し、新自由主義者のビクトル・ユシチェンコをその座に据えたのだが、そのユシチェンコを有権者は2010年の選挙で拒否した。 クーデターで出現した新体制ではネオ・ナチが大きな影響力を持ち、社会システムは崩壊、ウクライナは破綻国家になった。暴力的に排除されたヤヌコビッチはウクライナにいない。そこに登場してきたのがウォロディミル・ゼレンスキー。そのゼレンスキーをコメディアンとして売り出し、大統領にしたイゴール・コロモイスキーはクーデターを主導したひとりで、ネオ・ナチを資金面から支えていた。ウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストとしても知られている。そうした背景はあるが、大統領選挙の期間中にはロシアとの関係修復を訴え、有権者から支持された。 しかし、ジョー・バイデン政権の好戦的な政策に従い、ロシアとの関係を悪化させていく。ウクライナのNATO加盟、つまり新たなバルバロッサ作戦を始める方向へ動いていく。そうした政策を止めるようにロシア政府は再三にわたって要求するが、バイデン政権は無視した。そして2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を始めたわけである。 それに対し、ゼレンスキー大統領が2月25日にロシア政府へ交渉を呼びかけ、ウラジミル・プーチン大統領は軍に作戦を中断するように命令するが、26日にミハイル・ポドリャク大統領顧問は交渉を拒否すると発言、ロシア軍は作戦を再開した。ゼレンスキーはロシア軍の出鼻を折ろうしたのか、別の指揮系統が動いたのかは不明だ。 ウクライナ政府の内部に話し合いで早期解決しようとする動きがあったことは間違いないが、そうした動きを潰そうとする動きもあった。たとえば、ロシア軍が攻撃をはじめた直後、キエフ政権の治安機関であるSBU(ウクライナ保安庁)は話し合いで問題を解決しようと考える市長を処分、ルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡している。 3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったのユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている。 SBUのチームによる「国賊狩り」も宣伝されていたが、これはウクライナ国民を恐怖させ、命令に従わせることが目的だろう。4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。 交渉をやめさせる外部の力も働いている。例えば、ゼレンスキー政権とウラジミル・プーチン政権の停戦交渉が行われる中、4月9日にジョンソン英首相がキエフを訪問、停戦交渉は止まった。ジョンソンの命令にウクライナ側が従ったと言われている。 4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 ペロシやジョンソンの背後には支配層の好戦派が存在、ネオコンもその中に含まれ、米英の特殊部隊や情報機関も手先にしている。第2次世界大戦後、全世界で破壊活動を繰り返してきた勢力だ。そうした工作を行うネットワークにはネオ・ナチ、犯罪組織、カルトなども組み込まれている。ここにきて破壊工作が目立つようになったのは必然だと言えるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.08.28 09:44:39
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