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《櫻井ジャーナル》

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2022.11.03
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 ロシア軍は地面が凍結し、木々の葉が落ちる冬に新たな軍事作戦を始めると見られているが、その前にウクライナの通信やエネルギーに関する施設を空や海からの長距離精密ミサイルで攻撃している。

 すでにエネルギーの供給能力を50%に低下させたというが、その目標は変電所や送電システム。再建の手間を考え、発電所は破壊されていないようだ。電力の供給力が低下したことで上下水道のシステムも機能しなくなり、キエフの80%で水道が止まっていると言われている。アメリカ/NATOが提供した防空システムが機能していないわけで、「カタログ性能」は良くても実戦では使えないとも言えるだろう。

 ウラジミル・プーチン露大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表、義勇軍と動員で約30万人が新たに投入されると言われているが、新たに動員された兵士は訓練中で、大半は前線に出てきていないようだ。冬の到来に合わせているのだろう。

 しかし、ウクライナとの国境周辺への兵器輸送をロシア軍は開始。その様子を撮影した少なからぬ映像がインターネット上にアップロードされているが、その中にはT-90M戦車や防空システムのS-400が含まれていた。

 現在、行われているミサイル攻撃は指揮体制の変更が影響している可能性がある。ロシア軍の西部軍管区司令官がロマン・ビアルニコフ中将へ、またドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統括指揮官としてセルゲイ・スロビキン大将が任命され、またチェチェン軍を率いているラムザン・カディロフは上級大将の称号を与えられた。

 いずれも実戦経験が豊富で、プーチンから信頼されていると言われている軍人だが、さらに「ワグナー・グループ」も注目されている。傭兵会社だが、戦闘員の多くはロシア軍の特殊部隊出身のようで、事実上、プーチン大統領の直属部隊だとも言われている。

 ロシア軍は2月24日にウクライナで軍事作戦を始めたが、投入された戦力は大きくなかった。十数万人から多くても30万人程度だと推測され、キエフ政権側の半分から数分の1だと見られている。それでもウクライナの軍や親衛隊は4月に入ると壊滅必至の状態になり、ゼレンスキー政権はロシア政府と話し合う姿勢を見せる。

 それに対し、NATOの欧州連合軍最高司令官(SACEUR)を2013年5月から16年5月にかけて務めた​フィリップ・ブリードラブは核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと4月7日に批判​、その2日後にイギリスの​ボリス・ジョンソン首相はキエフを秘密裏に訪問、停戦交渉を止めさせている​。ジョンソン英首相は8月24日にもキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと釘を刺した。

 ウクライナ国内における和平を求める声を封じ込めるため、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州の​ビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と脅し​、4月24日にはアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官がウクライナのキエフを極秘訪問、ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談、さらなる軍事面や外交面の支援を約束したと伝えられている。そして4月30日、ナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求める。

 アメリカのロイド・オースチン国防長官は5月13日にロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣に電話し、ウクライナの即時停戦を求めたと伝えられている。住民を人質にしてマリウポリのアゾフスタル製鉄所に立てこもっていたウクライナ内務省の親衛隊などの兵士が5月16日に降伏、ゼレンスキー大統領は「撤退」と強弁していた。戦闘員が降伏すると知ったジョー・バイデン政権がオースチン長官に電話させ、「停戦交渉」を演出して敗北のイメージを弱めたかったのだろう。

 その前から人質になっていた住民がアゾフスタル製鉄所から脱出。そのひとりであるナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除してしまった。彼女は親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難し、戻る場所はドネツクしかないとし、ウクライナを拒否する発言が含まれていたからだ。

 シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、ロイターが流した映像は編集で1分間に短縮され、アメリカのジョー・バイデン政権やウクライナのゼレンスキー政権にとって都合の悪い部分が削除されていた。有力メディアやインターネットを支配するハイテク企業による検閲だけでは住民の証言を封印しきれなくなったのだろう。

 アゾフスタル製鉄所の解放でゼレンスキー政権による対ロシア戦争の第1幕は終わったが、戦争は終わらない。アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めた​スコット・リッターが指摘​しているように、ウクライナ軍として戦わせるために相当数の兵士がNATO加盟国で軍事訓練を受け、最新兵器を扱えるように訓練されていた。ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入されたと言われている。ウクライナ軍とロシア軍との戦いからNATO軍とロシア軍との戦いへ変化したということだ。

 8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」では​アナレーナ・ベアボック独外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言​している。実際のところ、人びとを支援するのではなく、ロシアとの戦争を継続するということだ。

 アンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長は9月13日、「キエフ安全保障協定」の草案を発表した。軍需産業への投資、兵器輸送、同盟国からの情報活動の支援、徹底した軍事訓練、EUやNATOの一員として合同軍事演習に参加するといったことを勧告、ウクライナを事実上、NATOの戦争マシーンに組み込むという。








 プーチン大統領は10月19日、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャに戒厳令を布くと発表した。この地域に対する攻撃をゼレンスキー政権が強めているためだが、新たなステージでウクライナの男性は「突撃要員」として扱われている。

 ロシア軍がウクライナで軍事作戦を始めた直後、ゼレンスキー政権は18歳から60歳の男子が出国することを禁じ、動員の対象にした。夏以降、NATOの指揮下、動員されたウクライナの兵士は訓練が不十分な段階で突撃させられ、ロシア軍のミサイルや航空兵力による攻撃で多くの戦死者が出ている。その際、兵士の数で劣るロシア/ドンバス軍は包囲される事態を避けるために撤退していた。

 アメリカ/NATO軍はウクライナ人の死を気にしていない。4月5日にゼレンスキー大統領は自分たちが「大きなイスラエル」になると宣言したが、イスラエルは先住のアラブ系住民を虐殺、追放して作り上げた国。ゼレンスキーを含むウクライナのクーデター体制の人びとは東部や南部に住むロシア語系の人びとを皆殺しにしようとしてきたが、それ以上の殺戮を考えていたのかもしれない。






 ここにきてアメリカやイギリスの支配層を震撼させる新たな事実が発覚した。両国の機密情報がロシア側へ漏れている可能性が出てきたのである。たとえば9月26日に「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」が爆破された際、ロシアのガスプロムはガスの流出で圧力が低下している事実を異常アラームで知ったが、詳しい状況を理解できていなかった。ところがアラームが鳴った1分後、イギリスのリズ・トラス首相(当時)はiPoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったことが判明している。

 ​イギリスのベン・ウォレス国防相は10月18日にアメリカを秘密裏に訪問​、国務省や情報機関の高官のほかロイド・オースチン国防長官やマーク・ミリー統合参謀本部議長と会談、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官と会ったというが、その際、なぜ電話でなく直接会いに行ったのかが話題になった。通信のセキュリティーに不安があったので直接会いに行ったと解説する人もいたが、それが事実だった可能性が強まっている。

 ロシアのメディア、スプートニクが10月23日、「複数の国の信頼できる匿名の情報源」から得た情報として​、ゼレンスキー政権が「汚い爆弾(放射能爆弾)」を爆発させ、欧米が支配している有力メディアを使ってロシアに責任をなすりつけ、反ロシア宣伝を世界規模で展開しようとしていると報じた​。その「汚い爆弾」は西側の管理下、ドニプロペトロフシクにある東部採掘加工プラントやキエフ核研究所で製造されるともしていた。

 10月25日にトラスは首相を辞任、10月29日、​ロシア国防省はノード・ストリームを破壊したのはイギリス海軍だと発表​。ここにきて「ジョーカーDPR」と名乗るハッカー・チームがウクライナ軍の指揮統制プログラムにハッキングしたと主張している。








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最終更新日  2022.11.03 00:00:10



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