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《櫻井ジャーナル》

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2023.03.04
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 ウクライナではウォロディミル・ゼレンスキー大統領が追い詰められている。ロシアの傭兵部隊、ワーグナー・グループはソレダルを陥落させた後、バフムート(アルチョモフスク)を攻撃、包囲したようだ。ウクライナ軍は橋を破壊して抵抗を試みているが、戦闘を続ければ戦死者が増えるだけだろう。動員して集めた兵士の大半はまだ訓練中のロシア軍だが、その状態でもウクライナ軍は厳しい状況にあり、政府は分裂状態のようだ。

 そうした中、アメリカのジョー・バイデン政権はセルビアのアレクサンドル・ブチッチ大統領に対し、コソボの独立を認めるように圧力をかけている。

 アメリカ政府はウクライナのクーデターでネオ・ナチを使ったが、コソボでは麻薬業者を使った。その麻薬業者が中心になって組織したのがKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)にほかならない。このグループにはクロアチアのネオ・ナチも入り込んでいた。

 KLAを率いてたひとりで、後に首相となるハシム・サチはアルバニアの犯罪組織とつながり、麻薬取引や臓器の密売に関与していたと言われている。

 アングロ・サクソンの支配層はアヘン戦争だけでなく、ベトナム戦争でCIAは東南アジアの山岳地帯、通称「黄金の三角地帯」でケシを栽培してヘロインを製造して儲け、1970年代にアフガニスタンで秘密工作を始めた後にはアフタニスタンへケシの栽培地を移動させた。ニカラグアでの秘密工作を始めるとCIAはコカインの生産を始める。

 アフガニスタンで生産されたヘロインの主要な輸送ルートはコソボを通過、それにともなう儲けがKLAの資金源になった。麻薬資金を処理するためにベトナム戦争の際にはオーストラリアのナガン・ハンド銀行が使われている。ロッキード事件でも名前が出てくる香港のディーク社も闇の資金を扱っていた。こうした金融機関は全て「CIAの銀行」だ。







 UNODC(国連薬物犯罪事務所)のアントニオ・マリア・コスタはイギリスのオブザーバー紙に対し、麻薬資金と銀行との関係について語っている。

 彼によると、2008年に世界の金融システムが揺らいだ際、麻薬取引で稼いだ3520億ドルの大半が経済システムの中に吸い込まれ、いくつかの銀行を倒産から救った疑いがあるというのだ。(The Observer, December 13, 2009 )麻薬資金は流動性が高く、銀行間ローンで利用された可能性がある。(The Observer, April 3, 2011)

 麻薬取引による利益は年間6000億ドル、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達する(UNODC, “Annual Report 2010”)、あるいは麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある(EIR, “Dope, Inc”, Progressive Press, 2010)。また銀行が行っている違法資金のマネーロンダリングは1年で5000億ドルから1兆ドルに達するという話が1999年にアメリカ上院で出ている。(Minority Staff Report For Permanent Subcommittee On Investigations (Senate Committee On Homeland Security & Governmental Affairs) Hearing On Private Banking And Money Laundering, November 9, 1999)

 アメリカを後ろ盾としてコソボの独立を宣言したサチたちは麻薬だけでなく臓器の密売も行っていたと報告されている。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著(Chuck Sudetic, Carla Del Ponte, “La caccia: Io e i criminali di guerra,” Feltrinelli, 2008)の中でKLAによる臓器の密売に触れている。コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたというのだ。

 この話は欧州評議会のPACE(議員会議)に所属していたスイスの調査官​ディック・マーティの報告書​にも書かれている。KLAの幹部はセルビア人を誘拐し、彼らの臓器を闇市場で売っていたという。捕虜の腎臓を摘出し、アルバニア経由で臓器移植のネットワークで売り捌いていたともされている。

 こうした行為を隠しきれなくなったのか、サチたちは2020年4月、ハーグの特別法廷に起訴された。勿論、これで問題が解決されたわけではない。黒幕は今でも大手を振って歩いている。






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最終更新日  2023.03.04 02:47:26



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