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《櫻井ジャーナル》

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2023.05.12
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 イギリスのリシ・スナク政権は空中発射型の長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドー」をウクライナへ供給しはじめた。このミサイルの射程距離は250キロメートルから560キロメートルで、距離だけを考えるとロシア領を攻撃できる。アメリカのジョー・バイデン政権と連携しての動きだろう。

 長距離ミサイルの供給はロシア側を刺激することは間違いなく、ウラジミル・プーチン政権は軍事的に適切な対応をするとしている。ロシア軍はウクライナとの国境近くに極超音速ミサイルR-37Mを搭載できるMigG-31やSu-57を配備しているが、このミサイルは200キロメートル以上離れた航空機を撃墜した実績がある。

 アメリカ政府は長距離ミサイルの供給をためらってきたが、別の兵器や資金は大量にウクライナへ投入してきた。兵器の相当部分が闇市場へ流れていると言われているが、これはアメリカ政府の管理下で行われている可能性がある。表立って兵器を供給できない国で活動している武装集団へ渡すためだ。闇市場から投げれていく先として中東が噂されているが、シリアの反政府勢力だとも言われている。

 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年3月からイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、トルコと連携してシリアに対する侵略戦争を始めた。手先の武装集団はリビアのケースと同じムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心に編成された。つまり、アル・カイダ系武装集団だ。

 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。リビアから戦闘員や兵器/武器がシリアへ運ばれる。2012年からシリアでの戦闘に集中するつもりだったのだろう。

 ​輸送の拠点になったのはベンガジにあったCIAの施設やアメリカの領事館​で、アメリカの国務省はそうした行為を黙認していた。​マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだ​とも伝えられている。

 そのアメリカ領事館は2012年9月11日に襲撃され、大使だったクリストファー・スティーブンスが殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っていたとされている。ちなみに、当時のCIA長官はデイビッド・ペトレイアス、国務長官はヒラリー・クリントンだ。

 シリアへ運ばれた戦闘員や兵器はアル・カイダ系武装集団へ流れる。その事実を否定できないオバマ大統領は「穏健派」への支援だと強弁するが、​それが事実に反することを明らかにする報告書をアメリカ軍の情報機関DIAが2018年8月にホワイトハウスへ提出した​。

 その報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告しているが、その警告は2014年にダーイッシュという形で現実になった。シリアで政府軍と戦っているアル・ヌスラはアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)と同じだともしている。

 オバマ大統領は2015年に入るとシリアへの軍事介入を目指すような動きを見せた。戦争に慎重な人物から好戦的な人物へ入れ替えたのである。2月に国防長官はチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへバトンタッチ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーが退任してジョセフ・ダンフォードへ交代しているのだ。

 ところが、デンプシーが退任した直後の9月末にロシア政府はシリア政府の要請で軍事介入、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの支配地域を急速に縮小させていく。シリアでの戦闘でロシア軍は兵器の優秀さと戦闘能力の高さを世界へ見せつけることになる。

 ジハード傭兵の敗走を受け、アメリカはクルドを新たな手先にするのだが、それが一因になってクルドを敵視しているトルコが離反。戦争の長期化で経済が悪化したことも大きな理由だ。シリアへの侵略時にアメリカの同盟国だった別の国、サウジアラビアもアメリカから離れはじめた。トルコとサウジアラビアはアメリカの支配システムにとって重要な国で、この離反は大きい。

 ダーイッシュを登場させた2014年、アメリカ政府はウクライナでクーデターを実行、2010年の選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。その時に手先として使われたのはネオ・ナチだ。

 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部はソ連時代を除いてロシア領だった地域で、住民の大半がロシア語を話し、文化的にもロシアに近い。クーデターを拒否し、南部のクリミアはいち早く住民投票を経てロシアと一体化、東部のドンバスでは内戦が始まった。オデッサの反クーデター派住民はネオ・ナチに虐殺され、制圧された。

 すでにキエフのクーデター体制は武器弾薬が枯渇、「玉砕戦法」の繰り返しで十数万人から30万人以上の兵士が戦死、ロシア軍の攻撃で軍事施設も壊滅状態だ。長距離巡航ミサイルで戦況が大きく変化するとは思えない。






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最終更新日  2023.05.12 01:48:10



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