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アメリカの戦争マシーンに組み込まれている日本は現在、中国やロシアと戦争する準備を進めている。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年に戦争マシーンへ組み込まれ、戦争が近づいているのだ。昔から言われている芸能事務所のスキャンダルに気を取られているような場合ではない。 その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。DPG草案はウォルフォウィッツが中心になって書き上げられた。そこでこの世界制覇計画は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 目的のひとつは新たなライバルの出現を防ぐことにあり、警戒する地域には旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアが含まれる。ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともしている。
戦争マシーンが動き始めるのはビル・クリントン大統領が1997年1月に国務長官をクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代させてから。オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明した。 ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ大統領は1998年10月の終わりにコソボからの撤退計画を発表するが、KLAは和平を受け入れない。軍事的な緊張を高めてNATO軍を戦争へ引き入れるため、KLAはセルビアに対して挑発的な行動に出た。これはアメリカ側の意向を受けたものだ。決して親セルビアとは言えないヘンリー・キッシンジャーでさえ、1998年10月から99年2月までの期間で、停戦違反の80%はKLAによるものだと語っている。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009) そして1999年3月から6月にかけてNATO軍はユーゴスラビアへの空爆を実施、4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。勿論、この攻撃で多くの市民が殺され、建造物が破壊された。侵略戦争以外の何ものでもない。 戦争マシーンがフルパワーで動き始めるのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてからだ。2003年3月には「大量破壊兵器」という作り話を叫びながらイラクを侵略した。 イラク侵略の際には正規軍を投入したが、予定通りに侵略計画は進まない。そこでバラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。「アラブの春」はそのひとつの結果だ。 2011年春にはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とするアル・カイダ系武装集団を利用してリビアやシリアに対する侵略戦争を開始、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は同年10月に倒されるが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は倒れない。 そこで新たな武装集団としてダーイッシュを2014年に登場させ、15年にロシア軍が介入してダーイッシュを敗走させるとオバマ政権はクルドと手を組むが、それが引き金になってアメリカはトルコとの関係を悪化させる。 2014年2月にオバマ政権はウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒す。そのクーデターでアメリカの手先として働いたのがネオ・ナチだ。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部はソ連時代にロシアから割譲された地域で、住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教会を信仰するロシア文化圏。ネオ・ナチによるクーデターを拒否し、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が始まった。 クーデター後、ウクライナの軍や治安機関にはナチズムを拒否する人が少なくなかったようで、相当数のメンバーがドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そこでアメリカはCIAやFBIの要員を送り込むだけでなく、傭兵会社の戦闘員を派遣したが、それでもドンバスを制圧できない。 アメリカ/NATOとしてはクーデター体制の軍事力を強化しなければならなくなった。そうした時に結ばれたのがミンスク合意。ドイツやフランスが仲介したのだが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。 約8年間にアメリカ/NATOは兵器を供給、兵士を訓練した。岩塩の採掘場があるソレダルでは全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれたが、同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっていると言われている。 昨年2月24日にロシア軍がミサイル攻撃を始める直前にウクライナ軍はドンバスへの砲撃を激化させていたが、2月19日にウクライナの政治家オレグ・ツァロフが出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」によると、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバスを軍事的に制圧、自分たちに従わない住民を「浄化」しようとしていると警鐘を鳴らしていた。 ロシア軍は軍事作戦を開始してからウクライナ側の機密文書を回収しているが、その中にドンバス攻撃に関するものがあった。2月中に攻撃の準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたようだ。その作戦にNATO軍も参加する予定だったかもしれない。 ドンバスをウクライナ軍が攻撃して住民を虐殺すればロシア軍が介入してくると見通し、そのロシア軍を地下要塞のトラップへ誘導して足止めさせ、その間にNATO諸国で訓練していた部隊をクリミアへ軍事侵攻させるつもりだったと推測する人もいる。 しかし、そうした展開にはなっていない。3月の作戦に備えてウクライナ軍はドンバスの周辺に集結、その部隊はロシア軍のミサイル攻撃で大きな打撃を受けたとみられている。そこで停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介した人物はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。彼によると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたいう。 3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。 ところが、その3月5日にゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUのメンバーが射殺してしまう。クーデター直後からSBUはCIAの下部機関化しているので、アメリカ政府が殺したと言えるだろう。 その後、アメリカ政府やイギリス政府はウクライナでの戦闘を継続させたが、追い詰められている。ロシア軍はミサイルや航空機での攻撃に集中、地上では市街戦を専門とするワグナー・グループが戦っている。 ワグナー・グループは傭兵会社だとされているが、実態はGRU(参謀本部情報総局)やFSB(連邦安全保障局)の指揮下にある部隊だと言われている。アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」も戦闘員の中心は特殊部隊の出身者で、CIAと関係が深いと考えられている。 ウクライナではロシア軍の地上部隊はほとんど戦闘に参加していないと言われ、ウクライナ軍が「反転攻勢」を仕掛けるのを待っているかもしれない。ゼレンスキー政権が「反転攻勢」を嫌がっている理由はその辺にあるかもしれない。 アメリカ/NATOもウクライナでの敗北は見えているだろうが、負けるわけにはいかない。そこで東アジアへの「転進」を図っている。平和が訪れたならば人びには考える余裕が生まれ、欧米支配層の企みが明らかにされ、責任を取らされることになりかねない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.16 01:51:07
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