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《櫻井ジャーナル》

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2023.05.17
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 G7の首脳会談が5月19日から21日にかけて広島で開催される。アメリカのジョー・バイデン大統領、イギリスのリシ・スナク首相、カナダのジャスティン・トルドー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、日本の岸田文雄首相、そしてシャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・ライエン欧州委員会委員長が参加する予定だ。

 参加国は「主要国」や「先進国」と自称しているが、有体に言うならば、アングロ・サクソン系国とアメリカに従属する国々の首脳によるセレモニーにすぎず、経済力においても軍事力においても中国やロシアを中心に集まりつつあるグループより劣る。

 G7は1975年11月にG6として第1回首脳会談をフランスのランブイエで開く。その時の参加国はアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、日本。その前年にウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領が失脚、ジェラルド・フォードが新大統領に就任している。

 フォード大統領はデタント(緊張緩和)派を粛清、好戦的なネオコン(新保守主義)が台頭、経済的には新自由主義が世界の中流になった。新保守主義も新自由主義も実態は帝国主義だ。

 その帝国主義国はシリアやウクライナでロシアに敗北、矛先を東アジアへ向けてきた。G7の首脳会談を日本で開催する意味はこの辺にあるのかもしれない。

 アメリカとイギリスは2021年9月、オーストラリアとAUKUSなる軍事同盟を創設した。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると伝えられている。その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦だ。

 日本の「エリート」はAUKUSへの加盟に興味を示し、山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明している。

 ウォルフォウィッツ・ドクトリン(ネオコンの世界制覇プラン)に基づき、ジョセイフ・ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込むと宣言したのだ。松本サリン事件、地下鉄サリン事件、國松孝次警察庁長官狙撃事件などを経て日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。

 G7の会談でも話し合われるらしいウクライナでの内戦は2014年2月にネオコンがネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まる。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。

 クーデターの準備は2010年の大統領選挙でヤヌコビッチが勝利した頃からはじまるのだろうが、実際に動き始めたのは13年11月。キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で「カーニバル」的な集会を開くところから始まったのだが、その時のEUは話し合いで解決しようとする。

 話し合いで解決したならヤヌコビッチ政権を倒して傀儡体制を樹立することは困難。そこで国務次官補だったビクトリア・ヌランドは怒る。ジェオフリー・パイアット米国大使と電話で「次期政権」の閣僚人事について話している際、ヌランドは「EUなんかクソくらえ」と口にし、その音声が2014年2月上旬にインターネットへアップロードされた。

 クーデター後に内戦が始まるが、ドンバスの反クーデター軍がキエフのクーデター体制軍より強い。そこで戦力を増強するための時間が必要になった。そしてドイツとフランスが仲介して成立させたのがミンスク合意だ。これはアンゲラ・メルケル元独首相が昨年12月7日にツァイトのインタビューで、またその直後にフランソワ・オランド元仏大統領が証言している。

 クーデターから8年かけて兵器を供与、兵士を訓練、ドンバス周辺に地下要塞を建設した。攻撃の準備ができたと判断したアメリカ/NATOはドンバスの周辺に部隊を集結させる。

 ところが、2022年2月24日にロシア軍はウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃し始め、集結していたウクライナ軍は大きなダメージを受けたようだ。

 その直後、​イスラエルの首相だったナフタリ・ベネットはアメリカと調整しながら停戦交渉の仲介に乗り出し、3月5日にモスクワでプーチンと数時間にわたって会談。ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけたベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会う​のだが、その日、ウクライナの治安機関​SBU(事実上CIAの下部機関)のメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺​した。

 ​4月9日にはボリス・ジョンソン英首相がキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令​、4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。

 アメリカとイギリスは2011年春、フランス、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコと連携してリビアやシリアに対する侵略戦争を始めた。ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒してシリアとイランを分断して個別撃破するという戦略を立てていたが、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、イランのほかレバノン、リビア、ソマリア、スーダンを攻撃リストに載せていた。(​ココ​や​ココ​)

 イラクのフセイン体制を倒すというネオコンの計画は1990年8月に始動する。当時、クウェートがイラクの油田を盗掘しているという問題が発覚、イラクは軍事的な解決へ傾いていく。

 それに対し、アメリカ国務省のスポークスパーソンだったマーガレット・タトワイラーは1990年7月24日、アメリカはクウェートを守る取り決めを結んでいないと発言、25日にはエイプリル・グラスピー米大使がサダム・フセインと会談、その際にブッシュ大統領の指示に基づいてアラブ諸国間の問題には口を出さないと伝えている。31日には下院のヨーロッパ中東小委員会で、アメリカは湾岸諸国と防衛条約は結んでいないとジョン・ケリー国務次官補が語っている。(James S. Henry, “The Blood Bankers”, Four Walls Eight Windows, 2003)

 7月29日にサウジアラビア政府はイラクとクウェートとの会談が31日にジェッダで始まると発表、ジッダには戦争を回避する目的でアラブ諸国の代表が集まることになる。

 こうした動きに不審を抱いたPLOのヤセル・アラファト議長はアメリカ支配層の少なくとも一部がフセインを罠にかけようとしているのではないかと疑う。そこで彼はバグダッドへ飛び、フセインに対して挑発されてもクウェートを攻撃するべきでないとアドバイスする。アラファトはクウェートへも行き、ジェッダでイラクとの金銭的な問題を解決するように提案するが、クウェート側は聞く耳を持たなかったという。

 ヨルダンのフセイン国王もアラファトと同じ懸念を抱き、ジェッダで首脳会談が開かれる前日、アラファトと同じことをクウェートの代表団に話したが、やはり聞く耳を持たなかったようだ。(Alan Hart, “Zionism: Volume Three,” World Focus Publishing, 2005)

 ジョン・F・ケネディ大統領の報道官を務めたピエール サリンジャーによると、アメリカとイギリスはクウェートに対し、「話し合いで妥協するな、強硬姿勢で望め」と圧力をかけていたという。

 イラク軍のクウェート侵攻を受け、アメリカ政府は間髪を入れずにイラクからの石油輸入を禁止、アメリカにあるイラクの資産を凍結、艦隊をペルシャ湾に派遣する。8月5日にはイラク政府の軍を撤退させるという提案を拒否、6日には国連安全保障理事会が決議660を採択する。イラクの軍事侵攻を非難し、即時、無条件の撤退を求めたのだ。(James S. Henry, “The Blood Bankers”, Four Walls Eight Windows, 2003)

 その一方、アメリカ下院の人権会議という非公式の集まりで「ナイラ」なる少女がイラク軍の残虐性を涙ながらに告発、アメリカで好戦的な雰囲気を高めることに成功した。この「告発劇」は広告会社ヒル・アンド・ノールトンが演出したもので、主演の少女はアメリカ駐在クウェート大使の娘。つまり全くの作り話だった。

 嘘で人びとの心理を操り、戦乱を引き起こして国々を疲弊させて略奪するという手法はアングロ・サクソンを支配する人びとの常套手段だ。民主主義、人権、自由などを唱えているが、それは侵略、破壊、殺戮、略奪を実現するための方便にすぎない。






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最終更新日  2023.05.17 09:59:52



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