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《櫻井ジャーナル》

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2023.07.27
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 アメリカの​ウェンディ・シャーマン国務副長官が7月28日を最後に退任、次の副長官が決まるまでジョー・バイデン大統領はビクトリア・ヌーランドを副長官代行​にする意向だという。

 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行した。このクーデターを現場で指揮していたのがヌランドにほかならない。ホワイトハウスで指揮していたのが副大統領だったバイデンだ。ロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインを制圧するだけでなく、耕作地を支配し、未開発のレアアースを手に入れるつもりだったのだろう。ソ連時代、ウクライナには造船、エレクトロニクス、ロケット、化学工業、冶金などの産業もあった。

 そのウクライナを手に入れた米英の巨大資本だが、新自由主義政策でウクライナ経済を破壊、ロシア系住民に対する弾圧は「民族浄化」へと進みつつあった。そうした略奪と殺戮を行うため、アメリカ/NATOは2014年から22年にかけてキエフ体制の軍事力を増強してきた。そのための時間稼ぎに使われたのが「ミンスク合意」だ。

 しかし、アメリカ/NATOが東部のドンバスへ軍事侵攻する直前にロシアがミサイル攻撃を実施、ドンバスの周辺に集結していたウクライナの軍、親衛隊、外国人傭兵、各国の特殊部隊などは壊滅的な打撃を受けた。

 ウォロディミル・ゼレンスキー政権はイスラエルやトルコを仲介役としてウラジミル・プーチン政権と停戦交渉を始めるが、イギリスやアメリカは交渉を止めるように命じた。その間、ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUのメンバーが射殺している。ここにきてゼレンスキーがイギリスの対外情報機関MI6のエージェントだということが明確になったが、ならばイギリス政府の命令に逆らうことはできない。米英にとって停戦はロシアの勝利に等しく、ロシアの勝利はNATOにとって地政学的大惨事だ。

 ウクライナで窮地に陥ったバイデン政権は中国に照準を合わせ、東アジアの軍事的な緊張を高めている。そうした中、シャーマンだけでなくNSC(国家安全保障会議)で中国担当シニアディレクターを務めてきたローラ・ローゼンバーガー、そして国務副次官補として中国と台湾の問題を担当するリック・ウォーターズも退任、バイデン政権の好戦的な色彩は強まっている。

 アメリカ政府はオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成、さらにオーストラリアやイギリスと3カ国で「AUKUS」という軍事同盟も組織した。オーストラリアはアメリカとイギリスの技術で原子力潜水艦を建造すると報道されている。

 バイデン大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っているが、山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。

 その前、2020年6月にNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、24年中に連絡事務所をNATOは連絡事務所を東京に設置しようとしている。NATOはアメリカ憲法の規定に関係なくアメリカを戦争へ引き摺り込む仕掛けになりつつあり、「関東軍」に近い存在になっている。

 岸田文雄政権は昨年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。そうした能力は先制攻撃に必要。その決定を「手土産」にしてアメリカを訪問してバイデン大統領と1月13日に会談した。

 アメリカは現在、その日本だけでなく韓国も巻き込み、軍事演習を繰り返し、​7月20日から8月4日にかけてイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランス、ドイツ、韓国、日本を含む13カ国で軍事演習「タリスマン・セイバー23」​を行っている。国の数は集めたようだが、アメリカの軍事作戦に従いそうなのはAUKUSを構成しているオーストラリア、イギリス、アメリカ、そしてアメリカへの従属度が強い日本と韓国くらいだろう。

 7月25日にセルゲイ・ショイグ国防相が率いるロシアの軍事代表団が朝鮮に到着、中国の代表団と合流して朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席した。朝鮮を口実にして日米韓は軍事的な行動を展開してきたが、勿論、本当のターゲットは中国。これは朝鮮戦争でもベトナム戦争でも同じだ。最近ではそこへロシアも加わった。

 米英を中心とするグループと中露が東アジアで対峙している。日本は戦争の最前線になる可能性があるわけで、「地下要塞」が巨大な地下施設として建設されても不思議ではない。






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最終更新日  2023.07.27 09:31:33



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