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《櫻井ジャーナル》

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2023.09.12
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 ウクライナ議会の国家安全保障問題委員会に所属するフョードル・ベニスラフスキーは9月8日、ウクライナで医学または薬学教育を受けたすべての女性は10月から軍に登録しなければならないと発表した。同議会は昨年、動員法を改正して女性の軍事登録を可能にし、弁護士、プログラマー、音楽家、ソーシャルワーカー、会計士、ジャーナリスト、ビデオグラファー、科学者、獣医師、経営者などの職業に就いている女性も任意で入隊できるようになった。それだけ兵士不足が深刻だということだ。

 ロシア軍は昨年2月24日からウクライナに対する攻撃を始めた。ミサイルや航空兵力が攻撃の中心で、地上部隊はドンバスの現地軍や傭兵のワグナー・グループなどに限られていたようだ。つまりロシアの正規軍はほとんどドンバスへ入っていなかった。ミサイル攻撃の目標は航空基地や生物兵器の研究開発施設だったとみられている。

 ウクライナ軍は昨年3月からドンバスに対する大規模な攻撃を始める予定だったする情報がある。実際、昨年の年明け後にウクライナ軍がドンバスの周辺に集結、OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。

 ドンバス近くにはウクライナ軍や傭兵だけでなく、アメリカやイギリスなどの国が特殊部隊もいたとみられているが、そうした部隊はロシア軍の攻撃で壊滅的な打撃を受けた。

 その後、ウクライナ軍は45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り出していると伝えられたが、今年に入り、60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれているとする話も伝えられている。そして女性だ。

 ドンバスでの内戦は2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチを排除したところから始まる。

 ヤヌコビッチは2010年の大統領選挙で勝利したのだが、支持基盤の東部と南部は住民の7割以上がロシア語を話し、正教会の文化圏に入っている。ウクライナ語を話し、カトリック文化圏の西部とは異質で、ウクライナは不安定な国だったと言える。そのバランスを選挙によって維持していたのだが、それをオバマ政権はクーデターで壊した。

 クーデター後、ウクライナ軍の将兵や治安組織の隊員は約7割が組織から離脱し、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。残った将兵の戦闘能力は低く、西側諸国が特殊部隊や情報機関員、あるいは傭兵を送り込んでもドンバスで勝利することは難しい状況だった。

 そこで内務省にネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集め、年少者に対する軍事訓練を開始、要塞線も作り始めた。そうした準備のために8年間が必要だったのだろう。

 その8年間にアメリカ/NATOはドンバスの周辺に要塞線を築く。ネオ・ナチを中心に編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルにはソ連時代に建設された地下施設、つまり地下要塞が存在、それを利用して要塞線は作られた。この要塞線はロシア軍に突破されてしまう。

 それに対し、ウラジーミル・ゼレンスキー政権は今年6月4日に「反転攻勢」を始めたが、ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できない。そこでアメリカ/NATOは「総玉砕」戦法を強要、訓練が十分でない部隊に「バンザイ突撃」させてロシアを疲弊させようとした。

 旧日本軍を彷彿とさせる無謀な戦法で突破口を開き、その後で精鋭部隊の第82空挺旅団を中心とする最後の戦略予備軍を投入する計画を立てていたと言われているが、早い段階で投入せざるをえなくなり、その精鋭部隊はロシア軍に殲滅されてしまった。

 ところが、アントニー・ブリンケン国務長官はウクライナ軍がロシア軍に占領された領土の50%以上を取り戻し、「反転攻勢」はこ進展が加速していると主張しているらしい。その主張は本気だとも言われている。戦況を少し調べれば、この主張は妄想にすぎないことがわかる。

 今から1年前、ゼレンスキー大統領が北東部のハリコフ州へ送り込んだ部隊はロシア軍を敗走させたと信じている人がまだいるようだが、実態は戦略的な撤退で、トラップだった。

 この地域はステップ(大草原)で、隠れることが困難。ロシア軍は制空権を握っているほか、高性能ミサイルも保有している。実際、NATO/キエフ軍がハリコフへ深く入り込むのを待ち、ロシア/ドンバス軍は航空兵力やミサイルによる激しい攻撃を開始、侵攻軍に大きな損害を与えたと伝えられている。これをウクライナ軍の「大勝利」ということはできない。

 撤退したロシア側の部隊はソレダル、そしてバフムート(アルチョモフスク)を制圧し、アメリカ/NATO/ウクライナが8年かけて築いた要塞線を突破した。ソレダルと同じように要塞線の重要な拠点だったマリウポルもロシア軍が解放している。

 戦場にはドイツの「レオパルト2」やイギリスの「チャレンジャー2」といった戦車の残骸が残されているが、早晩、破壊されたアメリカの「M1A1エイブラムス」も戦場に取り残されることになるだろう。近い将来、日本でもそうした光景が見られるかもしれない。






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最終更新日  2023.09.12 10:22:21



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