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《櫻井ジャーナル》

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2023.11.19
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 岸田文雄首相は11月16日に中国の習近平国家主席とサンフランシスコで会談、両国の戦略的互恵関係を包括的に推進する立場を再確認したという。平和共存、永続的友好、互恵協力、共同発展が日中両国の利益になると習主席は岸田外相に語ったというが、日本の支配層はアメリカを見ている。日本の経済は中国やロシアとの交易なしに維持できないのため、米英巨大資本の命令に従う岸田も中国との関係改善に努力している演技をする必要があるのだろう。

 その翌日、アメリカ国務省は亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を最大で400機を日本へ売却することを承認し、議会へ通知したと発表した。最新型の「ブロック5」と一世代前の「ブロック4」をそれぞれ最大で200機ずつ購入する意向で、その総額は23億5000万ドルになるという。

 トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。日本では「反撃能力」と表現されているが、先制核攻撃の能力があることを意味する。主な目標として想定しているのは中国だろうが、その戦略的同盟国であるロシアも視野に入っているはずだ。

 トマホークの購入はアメリカの戦略に基づく。1991年12月にソ連が消滅した直後、1992年2月にアメリカの対外政策を決めているネオコンはDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。彼らはアメリカが「唯一の超大国」になった信じ、他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できる時代が来たと考えたのだ。

 そのドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止することだとしている。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだ。日本がアメリカのライバルになることも許されないのだが、それだけでなく、日本やドイツをアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れるともしている。

 その時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。いずれもネオコン。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 そのドクトリンに基づき、ジョセイフ・ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。日本に対し、アメリカの戦争マシーンの一部になれという命令だろうが、当時の日本にはその命令に抵抗する政治家もいた。

 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)た。その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。

 結局、日本は戦争への道を歩み始め、自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島に作り、23年には石垣島でも完成させた。ここに配備されるミサイルは中国に向けられることになるだろう。

 アメリカの国防総省系シンクタンク​「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書​によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。

 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。

 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。

 ​政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると伝えられている​が、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。

 ​日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画​だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。

 アメリカの置かれた状況が急速に悪化、こうした当初の計画では間に合わないと判断され、トマホークを日本に購入させることにしたのだろう。

















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最終更新日  2023.11.19 00:38:23



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