アパサは再び酒をあおり、そのままカップを勢いよくテーブルに置いた。
そして、まじめな顔になってアンドレスの目を見据えた。
アンドレスも、アパサの目を挑むような険しい瞳で見返した。
アンドレスのその瞳は怖いほどに純粋で、吸い込まれそうなまでに澄んでいる。
アパサは、アンドレスの目を無言で見据え続ける。
アパサの心の奥まで貫くかのごとくの真剣な眼差しで、しかし、深く瞳で礼を払い、アンドレスは言った。
「アパサ殿。
どうか、今後もご指導を、よろしくお願いいたします。」
アンドレスの声は深く、低く響き、その決意の色がはっきりと見てとれた。
アパサはアンドレスの瞳を見据えたまま、しかし、微かにその目を細めた。
確かに、この若僧、トゥパク・アマルに、どこか似ている…――その内側にあるものが…。
「どんなことでもするか?」
おもむろに、アパサは言った。
しかし、その声は、今までの皮相で茶化したものとは明らかに異なっている。
「はい。
どのようなことでも!」
アンドレスは、きっぱりと答えた。
アパサはアンドレスの目をまだ見据えたまま、再びカップを握りチチャ酒をすすった。
「おまえをどうするか、決めるのは俺だ。
おまえの出来次第で、いつでもお帰りいただく。」
アパサの目はまじめだった。
しかし、その返事は、とりあえずアンドレスを受け入れる内容には違いなかった。
「はい!!
ありがとうございます!」
アンドレスは若者らしい元気な返事を返して、アパサの前で初めて笑顔を見せた。
その笑顔には、周囲の空気を一変させてしまうような、あの湧き立つ華やかさがあった。