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カテゴリ:第8話 青年インカ
トゥパク・アマルは、静かな眼差しで頷く。 「その通りだよ、ミカエラ。 ここは、インカの地下道。 正確には、インカ帝国時代以前からあったものだが。 さあ…この辺りまで進んでくれば、もう、あの地下水路に音が漏れることもあるまい」
咄嗟、その何者かが、トゥパク・アマルに向いて半狂乱の叫びを上げる。 「おまえ!!! おまえ…――!! おまえ―――っ!!!!」
それは、紛れも無く、かの強欲な番兵――セパス。 がたいのいいセパスに激しく体当たりされて、トゥパク・アマルの全身は僅かに傾(かし)いだが、彼は、すぐさま強靭な腕で相手の肩をガッチリと押さえ込むと、沈着な声で語りかける。
そなたは、我らの命の恩人でもある。 十分に、そなたの働きには、報いるゆえ……」 「なに、ほざいてやがるんだぁ!!! 何が財宝だ…騙しやがってっ!! おまえ……俺をはじめから利用しようと謀ったな?!!」 「すまぬ。 此度は、やむにやまれぬ事情だったのだ」
「父上、この人、誰なの?」 「あの牢の番兵の一人だよ、イポーリト。 此度の脱獄計画の一端を担ってくれた、我らの恩人だ」
「じゃ、脱獄計画に協力してくれた人?」 「まあ、結果的には、そういうことだ」
≪トゥパク・アマル≫ ≪ミカエラ・バスティーダス≫ ≪イポーリト/フェルナンド≫ ≪セパス≫
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