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カテゴリ:第8話 青年インカ
しかし、アレッチェが血道を上げてトゥパク・アマルの行方を追っている頃、インカ側も、にわかに水面下の動きをはじめていた。 トゥパク・アマルたちが脱獄して間もなく、此度の破獄を外界から援護した、かのクスコの酒場のマスターらは、地下道に用意したトゥパク・アマルへの荷が無くなっていることを確認すると、速攻、使者をディエゴの陣営に飛ばした。
酒場のマスターの放った早馬の使者がディエゴの元に到着する頃、彼は、トゥパク・アマルの重臣であったビルカパサらと共に、クスコ近郊にあるウルコスの地で激闘を展開していた。
夕陽に燃える秋のアンデス山脈を湖面に映し出す、まるで鏡のような麗しいウルコス湖の岸辺――その日の戦闘を終え、湖岸に陣を張るディエゴは、クスコからの使者が携えてきた書状を開いて、本当に息が止まった。
「!――ディエゴ様?!」 傍で明日の戦闘に向けて各隊長らに余念の無い指示を送っていたビルカパサが、反射的に、ディエゴを脇から支えた。
ディエゴは目を剥(む)いたまま、筋肉の塊のごとくの巨大な手で額を押さえ、興奮に震える声を絞り出す。 「ひ…人払いを……! すぐに人払いをしてくれ…!!」
ビルカパサは訳の分からぬままに瞳を瞬(しばたた)かせながら、ともかくも、ディエゴの指示に従った。
≪トゥパク・アマル≫ ≪ディエゴ≫ ≪ビルカパサ≫
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Last updated
2010.03.19 21:55:13
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