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カテゴリ:第8話 青年インカ
スペイン兵の中から隊長格の厳(いかめ)しい男が、逃げ去る住民たちの背に向けて、再び脅迫に満ちた冷酷な声を放つ。 「止まれ!! 我々は本気だ!! 兵でなくとも、逆らえば、容赦なく撃ち殺す!!」
咄嗟に、インカ兵が激励しながら、歩みを続けさせる。 「止まってはいけない!! 囚われれば、今度こそ、皆の命はありません!! 大丈夫です!! 我らを信じて、このまま進むのです!! 急いで!!」
「くそっ……!」 スペイン兵たちは、いよいよ険しい眼を吊り上げた。
「発砲用意!! 狙い、定め―――」
突如、雷鳴のごとく凄まじい炸裂音が、スペイン兵の先頭部隊周辺で鳴り響き、強烈な熱風と共に辺りの大地を大きく揺るがした。 「!!!」
「な…なんだ…?!」 やがて、轟々と上がる硝煙が大気に溶けると、炸裂音のあった周辺の隊列に、巨大な空隙があいている。 しかも、その空隙周辺にいたはずのスペイン兵たちは、無残にも、数メートル先まで吹き飛ばされていた。
砲撃されたのだ!!―――と、彼らが悟るのに時間はかからなかった。
と同時に、それら大砲の背後から、銃を手にした数百名の褐色の男たちが、ズラリと姿を現した。
そして、それらインカ兵たちの中から、非常に鋭利な目をした若い一人の兵が進み出て、眼下のスペイン兵たちを冷徹に見下ろした。
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Last updated
2007.11.09 18:56:17
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