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2006.02.28
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先日「競争意識の起源」で紹介したチンパンジーの政権争いの話は、フランス・ドゥ ヴァールの「Our Inner Ape」から引いたものだが、この本を読んで、猿の頃からオスは逃げ腰を見せた時に失うものが多いことを学んだ。猿の場合は失うものとは主としてベッドの友、メスである。

人間の場合は、所有物の社会的な再分配が比較的進んでいるので、それほど躍起になって勝敗にこだわらなくてもいい。僕のような体力的な弱者にもある程度のものは転がり込んでくる。多くのメスというわけにはいかないが、食い物とか地位とか給料とかはちゃんと入ってくる仕掛けになっている。

しかしながら、世界には猿的本能を大脳新皮質で覆い隠すどころか、むしろより猿的な攻撃本能を磨いている人達が多くいる。そういう類猿人に街で遭遇した時にどうするか?映画「Back to the Future」で主役のマイケル・J・フォックスが「弱虫」呼ばわりされて、かっとなり扇動に乗れば悲劇的な未来が、相手にせず沈着に振舞えば幸せな未来がやってくる、というように単純な図式が確定していれば、処し易いのだが、現実はそう単純ではない。

冬の仕事帰りは、いつも日暮れあとになる。駐車場までの道は、車の通りが多いとは言え、夜行性の類猿人たちに遭遇することも少なくない。ここ二週間で二度も出くわした。

最初は白人の30代二人連れだった。面倒を避けたいので、たいてい視線を落として足早に歩いているのだが、この二人連れのうちの髭面の方が、何を思ったかすれ違いざまに、訳のわからない言葉を明らかに僕に向かって怒鳴った。立ち止まった僕は、何も言わずに相手を睨み返した。ここでF***などという言葉を吐いては、必ず喧嘩になる。喧嘩をしては勝ち目はない。だから、ただ睨むだけだ。運よく、相手が視線をそらして立ち去って行った。

二度目は黒人のホームレス二人連れだ。そのうちの一人が、見るからに酔っているのだが、信号を渡りきったところで僕の右腕に体をぶつけてきた。こちらは意識的に道の端を歩いているので、わざとぶつかってきたのだ。一二歩行って振り向き、「なんだ」と出来るだけ低い声で怒鳴ってやった。(僕は比較的声が高いので地声では不利になる。)

ずるずるに汚れた服のホームレス男はこちらに歩み寄ってきた。ろれつの廻らない挑戦的な言葉を返してきた。どちらも一歩も下がらず近寄らず、相手はぎゃあぎゃあわめき立て、僕は、このまま突っ込んではまずいな、相手が酒酔いだから喧嘩は勝てるかもしれないが、勝ったからといって何もいいことはない、勝敗のないように収めよう、と考えた。

「Calm down (落ち着けよ)」と言ってみた。

驚いたことに、相手は「I love you, man」と言って、連れのほうに戻って行った。

二回とも、不思議と何の恐れも感じなかった。年齢のせいで身の危険を守ろうという本能が薄れてきたのだろうか。惜しむほどの命でもない、という老境に入ってきたのだろうか。それとも類猿人どもを相手にする時は、それなりに対処しないとかえって危ないと、考えたのだろうか。ああいう奴らはこちらが逃げれば追ってくる負け犬だから、と判断したのだろうか。

しかし、こういう対処の仕方は賭けのようなもので、いつも当たるとは限らない。賭けが外れたらそれこそ命取りになるだろう。触らぬ神に祟りなし方式を貫くのが一番なんだろうな。





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最終更新日  2006.03.01 16:58:15
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想像して   tomoo さん
cozyさんが白人や黒人に絡まれて、本当はドキドキしながらもあえて冷静に対処する姿を想像してちょっとほくそえんじゃいました(笑)。東京でもいます、類人猿。車を運転していると多いです。東京の道は狭くて混んでてみんなイライラしてるから余計かもしれませんが、そんなときは「突っ張らない」よう心がけてます。最近日本の類人猿化は甚だしくて、刺されたり、電車のホームから突き落とされたり、車燃やされたり、、、「暴発する衝動」に巻き込まれるのが怖いからです。高度ストレス社会って感じでアメリカの町歩いているより最近は怖い感じします。 (2006.03.03 10:18:20)

そうかも知れませんね   cozycoach さん
日本のほうがかえって危ない、という感じ。たいした危険がないと高をくくっている分、身体が弛緩しているかもしれませんね。そんなときに、突き落とされたり刃物が出てきたりしたら、準備不足なだけに、やられちゃうかもしれませんね。今でも、力道山がころっと死んじゃった事件を思い出しますね、思いがけない死というと。 (2006.03.03 11:18:47)

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