783663 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2010.08.24
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
精神治療薬がターゲットにする神経伝達物質は主としてドーパミンとセロトニンである。大雑把に言ってしまうと、統合失調症にはドーパミンの量を減らす薬を、うつ病にはセロトニン(及びノルエピネフリン)を増やす薬を、というのが現在の精神治療薬の考え方と言える。この治療法は、脳内のドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質のバランスが狂うと各種の精神病の症状が出てくる、という仮説に基づいている。(これがあくまで仮説に過ぎないことは後日取り上げる。)

それではまず、抗うつ薬の中から、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitorsあるいはSSRI)というタイプの薬がどう作用するのかを見てみよう。

1987年12月にアメリカ厚生省(FDA)に認可され、1980年代後半から90年代にかけてアメリカで爆発的に売れた薬、イーライリリーのプロザック(商品名)というのがその代表である(一般名はフルオキセチン、fluoxetine)。

日本では、プロザックは未承認であるが(注1)、グラクソ・スミス・クライン社の商品名・パキシル(一般名、パロキセチン)、明治製菓の商品名・デプロメールとアステラス製薬の商品名・ルボックス(ともに一般名、フルボキサミン)、ファイザーの商品名・ゾロフト(一般名、セルトラリン)なども同様の選択的セロトニン再取り込み阻害薬あるいはSSRIである。第三世代の抗うつ薬で、2009年5月現在、日本で100万人以上が使用していると推定されている(wikipedia 日本語版)。

前回掲載した図(クリック)をもう一度見ていただきたい(wikipedia commonsからの画像の複製に手を加えた)。

上方の神経細胞からシナプス間隙に放出されたセロトニンは、<再利用のための汲み上げポンプ>と書かれた部分を通じて、元の神経細胞に取り込まれる。選択的セロトニン再取り込み阻害薬はこのポンプを塞いでしまう(このポンプは専門語ではトランスポーターと言う)。

取り込みポンプを塞がれたため、セロトニンは通常より長くシナプス間隙に留まることになり、対岸の神経細胞の港(受容体)に到達しやすくなる。セロトニンが足りないために起きるのがうつ病であると考えられているのだから、シナプス間隙のセロトニンの滞留時間を長くすれば、うつ病は解消する、という理論だ。

さて、この理論はどの程度正しいのか、病理学的に解明されているのか、薬の効果は治験で証明されているのか、更に問題は、SSRIのような抗うつ薬で身体のメカニズムを狂わせてしまって大丈夫なのか?

(注1)プロザック(フルオキセチン)は日本では未承認だったようだが、その特許期間が2001年に切れた後、イーライリリーは月経前症候群治療薬・サラフェムとして販売していて、日本でも処方薬として個人輸入しているようである。2003年に、イーライリリーはサラフェムの販売権をワーナーチルコット社に売却したようだ。現在のイーライリリーの売上リストにはサラフェムもプロザックも見当たらない。

(注2)SSRIの頭に「選択的(selective)」という修飾語がついているのは、重点的にセロトニンの再取り込みポンプを塞ぐ、という意味だ。セロトニンはノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンとは科学的には類似していて、モノアミン(アミノ基を一つ含む)と呼ばれる。SSRIが他のモノアミンにも作用する度合いは、各社のSSRI製品によって多少の差があるのだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.08.24 13:28:07
コメント(0) | コメントを書く


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

cozycoach@ Re[1]:キンドル本をダウンロードできない(12/04) たいていの人は何かに、誰かに、アンチを…
JAWS49@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) 解決策を思いつかれてよかったですね。 私…
cozycoach@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) ほんとにねー、アメリカのサポートはイン…
ranran50@ Re:キンドル本をダウンロードできない(12/04) PCの再設定とかめんどくさいですよね~。…
cozycoach@ Re[1]:キーワード検索機能(11/10) JAWS49さんへ 恣意的とは違うんですけど…

フリーページ

日記/記事の投稿

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.