テーマ:TPP反対(51)
カテゴリ:ニュース
●「8兆円産業のために0.3兆円をムダにするな」????
TPPについて不勉強だった私は 民主党の前原誠司が「GDP比でたった1.5%の第一次産業(主に農業)のために、TPPに乗り遅れるな」言うのを見て首をひねった。 日本のGDPは年間500兆円ぐらい。うち農業が占めるのは8兆円。 一方内閣府の試算ではTPPに参加した場合、3千億円(0.3兆円)の経済効果だという。 つまり、前原は「たった8兆円の産業のために、0.3兆円を犠牲にするな」と意味不明なことを言っているのだ。 私でなくても、前原は頭がどうにかしたんじゃないか?と思うことだろう。 ●アメリカも「参加は自主的に」「参加しないなら結構」と言ってるのに? 実のところ「TPPに参加してくれ」とアメリカが要求してきているわけでもないのだ。 アメリカは日米同盟を重視している。 べつに「日本を大切な友人だと思っているから」ではない。 (米兵と自衛隊員の個人的な信頼関係は別にして) 日本は紛れもなくアジアにおけるアメリカの最重要前線基地なのだ。 アジアにおいて、アメリカの国益を守る上で日本は重要なカギとなっている。 そしてその代わりになる国は「無い」 日本人の対米感情が悪化すれば、アジアにおけるアメリカの地位は低下する。 だから、TPPに参加させたいのは山々ながら、「参加なら大歓迎する」と言って、日本が自主的にTPPに参加する形を取りたがる。 だが、アメリカの外交筋は日本よりずっとまともな感覚を持っているので 「今から参加表明したって遅きに失した日本がTPPに参加してくれないのはやむを得ない」 「弱体化したアメリカと手を結ぶより、アジアで協定を結ぶ道を選ぶかもしれない」 とも考えている。 ●TPPのメリットを探してみたが・・・ アメリカ・・・というかオバマ大統領と一部の米企業は、日本にTPP参加して欲しいようだが、圧力をかけてまで参加しろというわけではない。 あくまで「要望」だ。 じゃあ、日本人でTPPを推進する「知識人」「政治家」は、TPPにメリットがあると確信しているのだろう。 だが、TPPが我々「日本国民に」どんなメリットがあるのか?? 肝心なこの点を、政府が一向に説明してくれないので、ここ1ヶ月ほどTPP推進派(慎重な方も含め)の方のブログを巡ったり、書店で本を読んだり、喫茶店で大手新聞のTPP記事を拾い読みしたりと勉強してみた。 竹中平三、勝間和代、池田信夫、伊藤洋一、田原総一郎・・・ほかにブログで経済学の見地から立派な記事を書いている人もいた。 とても参考になった。 そして、TPP推進派の意見を勉強した結果 「TPP参加による日本国民のメリットはゼロに等しい」 ということだけは確実に分かった。 一方、TPP反対派が挙げる問題点については、他の方のブログが詳しいので、私ごときが付け加えることは無い。 ●TPP賛成派と反対派の違い・・・ただ1点のみ TPPのメリット・デメリットは優れた経済ブロガーの記事を読んでくれたらいいだろう。 経済は素人の私が指摘したいのは、TPP賛成派と反対派の決定的な違いだ。 両者の違いは1点に集約できる。 それは「アメリカを甘く考えているか否か」だ。 この1点につきる。 私が調べた限り、TPP推進派・反対派ともに「TPP=日米FTAである」という見方は同じだ。 参加国中、中国をはじめ主要な大国が参加しないため、GDP構成でアメリカ+日本が90%なのだ。 経済的に言えば他国の影響は無視してよいレベル。 だが、TPP推進派と反対派は「アメリカ観」このたった1点で決定的に異なる。 TPP反対派は、これまでアメリカが他国との貿易協定・・・NAFTA(対カナダ、メキシコ)や米韓FTAで実際にやってきた露骨で狡猾な外交姿勢に警戒を崩さない。 一方、TPP賛成はアメリカをよほど信頼しているか、逆に80年代に日本がアメリカ経済を凌駕した記憶から慢心しているようだ。 「まぁ、アメリカも日本を悪いようにはしないだろう」 「日本はアメリカと対話して要求をのんでもらえるだろう」 「嫌なら交渉から抜けさせてもらえるだろう」 「根拠のない楽観的な憶測+だろう」・・・そういった姿勢がTPP賛成派には一貫してある。 要するにアメリカを簡単に考えすぎている。 いやいや、彼らだって仮にも専門家なのだから、アメリカの怖さを知っているのじゃなか!? ・・・さすがに私もそう思った。 だが、なぜか??彼らはアメリカはいい奴!そしてTPPを推進しなければならない!という使命に燃えているのだ。 例えば、TPP推進一色の日経新聞の社説 「米韓FTAを重く受け止めよ(2011/10/15)」 この時点(2011/10/15)で日経は「米韓FTAが結ばれ、日本は韓国に遅れを取った。TPPを急げ!」と書いている。 成る程、韓国と日本はライバル関係だから、これは分かる。 問題はこの後だ 「米自動車業界の意向を飲まされた韓国の教訓(2011/11/4)」 酷い話なので記事を読んでほしいが、要約すると ・自動車の関税は韓国だけが即時撤廃、アメリカは10年の猶予期間つき ・「アメリカの」自動車産業が危なければ「アメリカは」輸入制限できる ・協定違反があったら「アメリカは」関税をかけられる ・共済保険など相互扶助的な保険サービスは「韓国のものは」3年内に撤廃だが、アメリカの制度には口を出させない ・知的財産権は「アメリカで」管理して韓国はアメリカの許可を得なければならない ・・・と「米韓FTAで韓国はアメリカに一方的に不利な条件ばかりを飲まされた」という衝撃的な記事だ。 よくもまぁ、21世紀にこんな不平等条約を・・・と呆れる。 なんで韓国がこんな要求を飲んだのか?理解不能だが、事情はいくらか察することができる。 まず、韓国は2度目のウオン暴落に見舞われていて、焦げ付きかけている。 売って、返済し、また売って、返済するを繰り返す自転車操業状態だ。 そんな韓国にとって、アメリカは大口中の大口のお客様だ。 アメリカを怒らせて、逆に関税を上げられたりしたら、その時点で韓国経済は破たんする。 もちろん、韓国への債権はIMFが血も涙もなく回収する。 それより先に通貨スワップ協定を結んだ日本をはじめ、各国が返済の手助けをしてくれるだろう。 さらに、在韓米軍の引き揚げを交渉カードに使われたのだろう。 韓国は北朝鮮と戦争中である(今は一時休戦しているだけだが、潜水艦を撃沈されたりしてる)。 在韓米軍が一斉に韓国を去れば、北朝鮮が強硬姿勢に出てくるのは必至。しかも向こうは核を持っている。 とにかく、米韓FTAの実態を知って、ついに経済誌の雄・日経新聞がTPPに対する姿勢を転換するか!? ・・と読み進めると、文末は「日本は韓国が米・EUとの間で実現できなかったことを検証し、これから始まる(TPPの)交渉ではより有利な条件を引き出すことを心がけていくべきだ」と「TPPに参加してがんばろう!」とばかりの文句で締めくくられている。 (何度も言うが)TPP参加は強制しない、義務じゃないとアメリカ側も言ってるのに・・・ TV・新聞はほぼTPP推進派だが、知識人も新聞も政治家も、TPP推進派はおおむねこんな調子なのだ。 アメリカを舐めるな!と言いたい。 2・26事件から第二次世界大戦の激動の時代を生き、対米外交に腐心した近衛文麿(元首相)は側近に常々こう語っていた。 「内政の失敗は一内閣の運命には影響するかもしれないが、大したことではない。だが、対米外交の失敗は国家の命運に関係する」 アメリカという国の短いが荒々しい歴史を見るに、近衛文麿の用心は正当と言うほか無い。 近衛文麿は、A級戦犯として東京裁判に出廷を命じられたのを受け「戦犯として裁かれなければならないことに耐えられない」との遺言を残し、自害した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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