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2009.12.20
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デコイ.jpg

『最果ての空』を読み終えて、シリーズ終了の感傷に浸るまま、『デコイ』を改めて聴いた。

原作を読んだ時、索漠としたやるせなさに囚われ、まだ物語が終っていないような思いがしてならなかった。
彼らひとりひとりの行く末に、どうも暗澹としたものばかり想像してしまい、でも、その終焉こそ彼らがその業から開放される唯一の術のような気さえした事もあった。
初読みからしばらく経って、改めてドラマCDを聴きながら、死が容易い世界に在って生き続ける彼らの強かな逞しさをむしろ感じて、ほっとする思いがした。
彼らの運命も、生きていてこそ…と。

火野一左には子安武人さん意外にはあり得ないと、原作を読んだ時から思っていたが、実際、鋭利な薄での匕首のような、しなやかな殺意のようなものを感じて、おそろしかった。
危険と承知していても、近寄って触れてしまいたくなる、逆らい難い魅力がある。
火野の執心が何処にあるのか、それともないのか、到底想像が及ばない。
己が吐く「愛している」に、揶揄めきながら嘯きながら、その真意は何なのだろう…

安見亨なのか泰原浩志なのか、自分自身を見失ってしまった青年を、近藤隆さんが巧みに聴かせてくれる。
演技と素顔、本心を隠す偽り、真実に成り代わる嘘、内面と外面の混沌…理屈も矜持もなく崩れていく惧れと、流されるように堕ちていく安堵と、ぐらぐらと揺れる不安定な様子が伝わって、暗澹としてしまう。
でも、火野と共に在る事を自ら選択した以上、生き続ける意志なのだと思いたい…

那岐顕司の、鳥海浩輔さんの音色の持つ柔軟な逞しさが救いになっている。
どうしても、「行ってしまう…あの男を連れて…」に、那岐の本心を感じてしまう。
「俺がお前を見間違えるはずがない…」と約束し、「俺とお前は同じ…」とすがり、火野を待ち続けるのだろう。少年の頃、火野の存在が在ったからこそ生きていられたという想いと、そして、その火野から自分は逃げたという負い目が、那岐の心の根底にある以上。
でも、あの根の明るさに、那岐は自滅しまいと信じたい…

篠塚英之の怜悧な強靭さが、三木眞一郎さんの淡々と穏やかな表現によって、静かな凄みを纏う。
喫茶店での対決は、己が敗者である事を自らに認識させる、実に厳しいシーンだ。
篠塚を思う時、想像する悲しみや痛みや苦しみは、結局、他者の感傷に過ぎないと感じてしまう。
篠塚は、その遥か高みに在って、その次を耽々と見据えている…

ともすれば索漠と陥っていく中で、加賀谷功の存在に、そして三宅健太の安定に、ほっとする。
加賀谷だけは、全く揺れる事もぶれる事もなく、己の在るがままを貫く。
その揺るぎなさが、那岐にとってどれほど救いになったか、それすら加賀谷には意味はない。
もし、この先、那岐が火野に奔走する日が来ようとも、加賀谷は真っ直ぐに那岐を追う…那岐の本心が、どうあれ。
ラストの、「本心だからしょうがない…」に込められた甘やかな喜びが、永遠に続くよう願って止まない…

原作の味わいを、細やかな音作りが静かに支え、ずしりとした手応えの在る作品に仕上げている。
殊更大げさな音付けがされずとも、カップにスプーンの当たる音、コーヒー豆の落ちる音、適度な音量で流されるさりげなく的確なBGMが、淡々と臨場感を伝える。
こちらの想像力を信用されているような思いがして、嬉しい。
いずれ『エス』から通して、またこの世界に浸りたい。
そして、いずれ『最果ての空』も聴ける事を信じて待とうと思う。

 『デコイ-囮鳥-』 2009年4月 サイバーフェイズ
 『デコイ-迷鳥-』 2009年7月 サイバーフェイズ





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最終更新日  2009.12.20 11:12:19
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