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カテゴリ:お芝居のコト
1986年2月4日、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は初演された。 38年後の同じ日に、新たな幕が上がる事になった。 夜の部の、市川團子の初日を拝見。 38年前の、あの胸の高まりを、よく覚えている。 それと同じ気持ちを抱えて、劇場まで来た。 時の帳を掲げ古代へと遡る幕開きから、もう様々な思いが溢れそうになる。 ゆっくりと回りながらせり上がる聖宮が正面に据えられた時、 これまで何回も観続けてきた物語が、新たに始まった。 小碓命、後のヤマトタケルの出は、正面を昇ってくる。 英雄であり征服者であり、悲劇の主人公となる少年が居た。 20歳の、まだまだ若く未熟で、数多の可能性を内包している團子ならではの、 まっすぐな物語が繰り広げられた。 團子の初日をしっかり受け止めるべく、こちらもまっすぐに観た。 幸福な3時間半だった。 38年間に重ねられた上演の度、脚本も演出も練り上げられ続けた。 今回は初演のテイストがそこここに感じられ、懐かしくもあり新たな思いもあり、 もう聞けまいと思っていた台詞の復活もあった。 主役ばかりでなく今回が初参加の面々の、若々しい新鮮な在りようだからこその、 物語を改めて味わう楽しさがあった。 そして、彼らを支える年長者たちの、確かさと美しさに、感動があった。 2月、3月の上演の後、5月、6月、そして10月まで続く公演が、 どうか無事に完遂されるよう祈っている。 その果てに何を掴むのだろう… 週末、中村隼人の『ヤマトタケル』を観る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.07 07:10:07
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