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2017年07月06日
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カテゴリ:横川典視
 木曜担当のよこてんです。

 7月4日の火曜日、青森県八戸市の八戸軽種馬市場で「八戸サラブレッド1歳市場」が行われました。
 今年は上場頭数40頭(41頭予定から1頭欠場)で行われたのですが、そのうち31頭が売却され売却率77.5%、総額も1億249万2千円(税込)、八戸市場としては久しぶりに1億円を超える盛況な市場となりました。

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 まずは落札額上位5頭を見てみましょう。最高額は712万8千円(税込・以下同じ)で落札された母ミネルバローズ、父アルデバラン2の牡馬。生産は青森の谷川牧場です。

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★落札額1位・母ミネルバローズ

 ミネルバローズの母ミネルバサウンドはサウンドオブハート(2013年阪神牝馬S)やカフェブリリアント(2015年阪神牝馬S)の姉(カフェブリリアントとは全姉)にあたります。

 第2位は648万円、母ジュメイラジョアン、父マンハッタンカフェの牝馬で生産は新ひだかのタイヘイ牧場、購買者は日本中央競馬会。

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★落札額2位・母ジュメイラジョアン

 二代母アグサンはビワハイジを、ビワハイジはブエナビスタやアドマイヤオーラらの活躍馬を出している底力のある母系といえます。

 第3位は604万8千円、母スイートスズラン、父グランプリボスの牝馬。生産は日高・シンボリ牧場。

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★落札額3位・母スイートスズラン

 スイートスズランは岩手でも走ったヴァイキング(2015年ひまわり賞2着など)の半姉にあたります。このきょうだいは重賞勝ち馬こそ出ていないものの全く活躍せず終わった馬もおらず、非常に堅実な血統ですね。

 第4位は母ドルフィンルージュ、父スマートファルコンの牝馬で475万2千円。生産は青森・諏訪牧場。

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★落札額第4位・母ドルフィンルージュ

 本馬から見て4代母になるMuffitysはウェルシュマフィン→タイキシャトルと続く華やかな母系。その出自は英愛系にありますが、本馬の父スマートファルコンにも母系の遠くに英愛系血統があり、100年近い時間を経てGainsboroughの血が出会う形になるのも興味深いです。


 第5位は453万6千円で母セイカシリアス、父ストロングリターンの牡馬。生産はこれもタイヘイ牧場さん。

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★落札額第5位・母セイカシリアス

 本馬の二代母サンデーズシスは母Wishing Well父ヘイローという事でピンと来る通りあのサンデーサイレンスの全妹。また今年5月に金沢で行われたSJTワイルドカード戦で村上忍騎手が騎乗して勝ったオイヌサマは本馬の半兄になります。

 八戸市場の総売上額が1億円を超えたのは2006年以来11年ぶり。また売却率77.5%という数値も少なくとも1997年以来最高(JBISのデータが1997年までしか遡れないためそれ以前は分かりませんが、ここまでの高売却率は恐らく過去最高でしょう)。
 また青森産馬が最高落札額を獲ったのは2011年以来6年ぶりでもあります。

 かつて2002年には夏市場だけで1億8千万円余りを売上げ、当時行われていた秋の市場も合わせればトータルで2億5千万円ほどの売上げ規模があった八戸市場でしたが、近年は“競馬不況”と“北海道一極集中”の波にさらされ、2010年には売上額4987万5千円と5千万円に届かなかったり、あるいは2014年は上場頭数が過去最少の36頭となったり・・・と市場存続が危ぶまれるような時期が続きました。
 そこからの11年ぶりの1億円突破。せんない言い方をすれば、来週行われるセレクトセールでは1頭で1億を超えるような取引が普通に行われるのでしょうから“額が小さい”といえばそうなのかもしれませんが、しかしもともと1頭200万円・300万円といった価格帯の馬が中心の八戸市場にとってみれば「1億突破」は非常に高い壁を超えた、と喜びたいもの。

 今回のセリの前、「他所の市場の値が上がりすぎているから、八戸で良い馬が見つからないかと期待している」という馬主さんの声を耳にしました。実際、今回のセリの購買者登録は100人近くに達し、落札者にも八戸市場では初めて見るお名前がたくさんあります。

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★鈴木雅俊氏も八戸市場で落札されたのは初めてでは?(母グレースハート父エスポワールシチーの牝馬)

 「北海道の市場は頭数が多すぎて埋もれてしまう馬がいる。そういう馬にも目を向けやすくて、そして北海道の市場よりも手ごろな価格で買える市場として生きていく」。八戸市場を牽引する青森軽種馬農協の松橋参事が昔から言われていた“八戸市場の立ち位置”はそういうイメージでした。
 そのお話を聞かせていただいてからもう15、6年になるでしょうか。市場の厳しい時期を乗り越えていよいよその通りの立ち位置になって、そしてそれによって市場に再び活気が戻って。さらにそれが久々の1億円突破につながったというのなら、それはもう本当に素晴らしいと言うほかはありません。同時に来年以降もこうして活気ある市場が続けば・・・と願ってやみません。

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 岩手競馬もようやく“失われた10年”を取り戻しつつあります。八戸市場での団体購買の復活、あるいは一時期実施されていた東北産馬限定レースの復活も、復調しつつある八戸市場をさらに押し上げる施策として検討しても良い頃合いなのではないでしょうか。

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 こういうのどかな風景がある八戸市場も好きですよ!





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最終更新日  2017年07月06日 22時35分57秒



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