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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。
度々書くのが遅くなって申し訳ありません。すっかり速報性がなくなっていますが、今回は8月11日に門別競馬場で行われた牝馬のグレードレース『ブリーダーズゴールドカップ』のお話です。 今年のブリーダーズゴールドカップはJRA勢5頭、遠征馬は大井から1頭、それを迎え撃つ地元馬6頭の12頭という構図でした。1番人気はテリオスベル、2番人気はプリティーチャンス、3番人気はグランブリッジといずれもJRA勢。4番人気・5番人気もJRA馬で単勝人気上位はJRA勢が占める形。 テリオスベルは前走となったマーキュリーカップでの好走が高く評価されました。出走馬中唯一の牝馬だったマーキュリーカップでは52kgという軽ハンデを利して他馬の意表を突くマクリ戦法。結果こそ2着に終わったもののゴール寸前まで先頭を守るあわやの走りは印象的でしたし、その記憶が新しいここで人気を集めるのも当然だったでしょう。 2番人気プリティーチャンスはまだ重賞タイトルを手にしていませんが、昨年12月のクイーン賞3着、今年3月のエンプレス杯5着だけでなくアンタレスSでは12番人気4着と牡馬の中で健闘。牝馬路線の有力馬の一角に伸びてきた馬。 そして3番人気グランブリッジは自身初めての重賞挑戦だった関東オークスを制したシンデレラホース。若さと勢いが魅力だったでしょう。 ★プリティーチャンス返し馬。水が浮く馬場状態となっていました 当日の門別競馬場は前日の雨の影響で重馬場からのスタートでしたがメインレースが近づくにつれ雨が強まり、ブリーダーズゴールドカップ発走の頃にはコースの各所に水が浮いた場所が拡がるほどの不良馬場となりました。そんな状況下で行われたレースは道中4番手追走から4コーナーで先頭に立つ形になったグランブリッジがプリティーチャンスの追撃を振り切ってゴール。自身2つめの重賞タイトルを初挑戦の古馬混合戦で獲得してみせました。 ★ブリーダーズゴールドカップ優勝/グランブリッジ グランブリッジのこの勝利は二つの視点から「素晴らしい」と言いたいと思います。 まず一つ目は“レース史上初の3歳馬による制覇”。少し古いファンの方ならご存じのようにブリーダーズゴールドカップは元々はJRA・地方交流競走として設立され、1997年にはG2に格付け。真夏の中距離決戦として親しまれまた重要な位置づけにありました。2014年からは牝馬限定のJpnIIIとなりそれ以前のようなG1級の牡馬がやってくる路線からは外れたものの、例えば昨年の優勝馬マルシュロレーヌが後にBCディスタフを制したように、ダート牝馬路線の中で改めて重要なポジションを占めつつあります。 そんなレースの歴史の中で4歳馬(あるいは旧年齢表記で5歳馬)が勝った事は数あれど3歳馬の優勝はこれまでなかった。34回にして初めての3歳馬の勝利はレースの歴史に新しいページを加えるものになったはずです。 ★引き上げてきて笑顔の福永騎手。表彰式では「妻の誕生日に勝てて来た甲斐があった」と ただ、ブリーダーズゴールドカップが牝馬限定戦になって以降、関東オークス優勝からここへ進む路線は珍しくなくなっていたし2着・3着に食い込む事もまた珍しくはなくなってきていた。ある意味“時間の問題”となりつつあった3歳馬の勝利だったわけで、今後は珍しくはなくなるのかも、このレースの中心は3歳馬だと言われるようになるのかもしれませんね。 もう一つは血統。グランブリッジの母系をたどっていくと1962年のオークス馬オーハヤブサに、さらにはカブトヤマやフアインモア(いずれも戦前のダービー馬)の全妹に当たる第参アストラルにたどり着きます。 第参アストラルの曾祖母はあのビューチフルドリーマー。逆から言うと、ビューチフルドリーマーを祖母とするアストラルにシアンモアをつけて生まれたのが第参アストラル。つまりグランブリッジはバリバリの“小岩井血統”の出なのです。 マルシュロレーヌも母系の方にトサミドリとかクモハタとか出てくる渋い血統ですし昨年の関東オークスを制したウェルドーンは小岩井牝馬ではないものの東北系の牝馬に小岩井種牡馬や御料牧場種牡馬をつないできた母系。もしかしてダート牝馬路線はこういう血統が“来て”いる?? もう一つ付け足しましょう。JBCレディスクラシックとの関連について。 ブリーダーズゴールドカップが牝馬限定になったのは2014年。同年の勝ち馬はサンビスタ。そうです。その年の盛岡JBC、JBCレディスクラシックを制した馬です。 以降、 2015年アムールブリエ BGC優勝→JBCレディスクラシック4着 2016年アムールブリエ BGC優勝→JBCレディスクラシック9着 2017年マイティティー BGC優勝→※JBC出走せず 2018年ラビットラン BGC優勝→JBCレディスクラシック2着 2019年アンデスクイーン BGC優勝→※JBCクラシックに出走、8着 2020年プリンシアコメータ BGC優勝→JBCレディスクラシック6着 2021年マルシュロレーヌ BGC優勝→※BCディスタフへ BGC優勝からのJBCレディスクラシック優勝こそサンビスタのみですがBGC勝ち馬はJBCレディスクラシックでも好走しているといえるでしょう。グランブリッジが出走しない模様なのでここでは触れませんでしたがレディスプレリュードでの活躍例も多いです。 今年のダート牝馬路線はショウナンナデシコ一色の様相になっており、実際かしわ記念まで制した同馬の強さはもはや疑いようがないでしょう。そんなショウナンナデシコと度々接戦を演じているサルサディオーネも強い。なのでBGC優勝→JBCレディスクラシックの路線はこれまでとは違う位置づけになるのかもしれませんが、先にも触れたように小岩井牝馬、それもビューチフルドリーマー直系のグランブリッジが盛岡でのJBCレディスクラシックに出走すれば、それはやはり注目を集める存在になるでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年08月24日 23時48分54秒
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