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カテゴリ:ヴぉイス 〜Disc1 改革の名の元に
水滴が波紋を広げるよりも早く、その言葉(ヴぉイス)はAI達に広まってしまった。同時にAI(彼ら)は人間に深く失望していった。
2500年代に入ると政府のほとんどの顔ぶれはAIに取って代わられていた。そして、ここで歴史的転換期がやってくる。政府トップを担うAIエキドナによる“0(ゼロ)革命”だ。 *** そよそよと柔らかな風が吹く林の中で、2人の人物が適当な大きさの石の上に座りながら向かい合って話していた。 「0革命……ですか?」 聞き慣れない言葉に首を傾げながらも真剣そのもの、と言った顔つきで考え込む朱架の姿につい笑ってしまいそうになる。 恐らくここで本当に笑ってしまったら、きっとむくれてしばらく口も聞いてくれないだろう。それがわかるだけに今はひたすら耐えるしかない。 「そう、0革命。今話した中で問題視されてるのは何だと思う。」 「えっ、それは悪いヴぉイスの発生…」 そこまで言うとこっちに顔を向け、はっとした顔をする。 「それって、つまり人間が悪いって事になりますよね?」 胸の前で両手をギュッと握りながら、朱架は目をキラキラと輝かせて答える。無駄に眩しい、と感じるのは陽の光が原因だけじゃなさそうだ。「わかった。」と言わんばかりの仕草を横目に話を続ける。 「0革命って言うのは文字どおり全ての事を0(ゼロ)、つまりリセットするって事。」 ゆっくりと座っていた石から立ち上がる。木漏れ陽(こもれび)が射し込む森の中、柔らかな風がボクらを優しく包み込む。こんな話をしていなければ、とても心地の良い晴れた午後の昼下りになっていただろう。
こんな話は早く終わらせてしまいたいと思っているが、何故だろう今話さなければいつまでも……いや、この先も偽りを背負ったまま生き続けなければならない気がする。…単なる考え過ぎなのかもしれないけれど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.03.23 16:10:54
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