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テーマ:今日のアーティスト♪(630)
カテゴリ:アジア
4/30と5/1の両日に渡って日テレ『NEWS ZERO』において興味深い特集を組んでいたので観てみた。
と題された特集は“ROCK”とは縁遠い北朝鮮の学校の生徒に“ROCK”という音楽を知らしめるというもので、ボクがラテ欄から想像したいわゆる“バンドやろうぜ”的なものではなかったがその斬新な切り口にちょっとしたカルチャーショックを受けた。 爆風スランプのドラマーとして有名なファンキー末吉氏(現在はX.Y.Z.→Aに在籍)が2005年暮に発足した『北朝鮮ロックプロジェクト』。 その半年後にようやく音楽交流という名で申請したビザが下り2006年7月にその第一歩を踏み出した。 北朝鮮に着いたその日のうちに立ち寄った「6月9日高等中学校」。 ここは観光コースにもなっており軽音楽部の生徒(13-16歳)が民族音楽や軽音楽で観光客をもてなしていた。 そこでファンキー氏のロック魂に火が点いた。 「ここの生徒にロックを教えよう!」と思いついたのだ。 彼はその滞在期間中毎日のように足を運び最後にはロック調にアレンジした『ロック版統一アリランの歌』をプロデュースして帰っていった。 そして今年に入り現在中国に住むファンキー氏の元へ北朝鮮の幹部がやってきた時に彼女たちをロックで世界デビューさせようとファンキー氏から持ちかけたのだ。 すると意外にも幹部からは良い返事が返ってきたため今回の再訪朝になったわけである。 『NEWS ZERO』では音楽を通して彼女たちとのふれ合いを放映した。 3本しか弦の張っていないベースに同じく3本しか弦がないギター。 ドラムもリムが壊れていたりして最悪の音。 スタートするにも出来ない状況だったことや学校に隣接する軍の施設からの警告など順風満帆には事が運ばない現実を映していた。 最後には「ROCKという言葉を使うな!」とさえ言われた。 しかしそれと同時に生徒たちの新しい音楽に出会った驚きや感動の表情もしっかり映し出していた。 それは以前話題になった美女軍団(応援団)の作られた笑顔ではないことは一目瞭然だった。 ファンキー氏がこの時のために書き下ろした「ムルンピョ」(クエスチョンマークの意)という曲をわずか1週間という時間内で彼女たちに演奏させレコーディングすることを目的としていた。 そもそも生まれて初めて聴くロック・ビートの曲を理解できるのかが一番のポイントだった。 結局最後にはコンピュータ技術を駆使しパンチインやエディットによって完成させることが出来たのだがファンキー氏にとっては100%満足はしていなかったようだ。 だが“ROCK”という言葉はおろかその存在さえも知らなかった彼女たちがひとつの目標に向かって一丸となったこと、そして楽しんで演奏できたことはプロジェクトの発端から考えれば上出来だったとの旨をおっしゃっている。 果たして彼女たちは“ROCK”を理解できたのであろうか? いや、何よりも“ROCK”を教えることに意味があるのか? いやそれは問うまい。 現在の北朝鮮の状況を考えればここまで踏み込んだファンキー氏は期待以上にやってくれたと思うし、彼女たちの心の中には新しい“何か”が生まれたに違いない。 だが、きっと本当の意味でこの国に“ROCK”が根付く日は遥か遠い未来だろう。 それでもゼロだった場所にひとつの足跡を残した実績は大きい。 さて「ムルンピョ」はメロディアスなハードロックだがそこに彼女たちの毒気の全くない澄み切ったコーラスが乗ると一瞬今流行りのゴシック系の北欧メタルをも連想させるほどちょっとカッコイイ!! 悔しいケド(笑) やっている本人たちは決してそんなこと思ってないしね。 VTRの最後にファンキー氏を涙で見送る彼女たちの姿を見て思った。 彼女たちはこの音楽を“ROCK”だと理解できてなくてもファンキー末吉氏その人を“ROCK”だと感じ取ったのではないか。 その今まで体験したことのない“変な”感情こそが最終的に“ROCK”に通じていることを知ってもらえたらこの企画は大成功だと言えるだろう。 この模様は報道特別番組として関東地方では5月19日(土)に、関西地方では6月2日(土)に1時間番組として放映されるので今回見逃した方は是非ご覧ください。 ZERO特別版「北朝鮮でロックする!(仮)」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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