カテゴリ:読後レビュー
![]() 2023年3月30日 ★★★ 先月末に読んだ逢坂冬馬の2022年本屋大賞受賞作の「同志少女よ、敵を撃て」から半月が経ち、またまた読書から離れていたが、休日の時間がある時に次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると「ソロモンの犬」が目に入り、これは道尾秀介の代表作として読書を始めた頃に「シャドウ」、「ラットマン」と一緒に買ったものだと思い出し、何れも評価が高かったので次はこれだと決めて「龍神の雨」以来、約1年2ヶ月振りに読んでみることにした。 秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。(BOOKデータベースより) 本作は解説にも書かれているが道尾秀介としては珍しい大学生の男女が登場する瑞々しい青春ミステリーとして描かれている。 序盤で少年の命が失われるという衝撃的な展開から始まり、少年の死の謎を追う過程で、さらに後半にかけて衝撃が続くというミステリーに軸足を置いた作品である。 また、悲しい中にも青春ミステリーらしい甘酸っぱさを感じるところはきれいにまとまっているし、十分に楽しめたと思う。 道尾秀介の作品はミステリーだけでなく個性豊かであるが、私はやっぱりミステリー系が好きだと感じる。沢山の作品を世に出されているので他の作品も読んでみようと思う。
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この道尾秀介さんの「ソロモンの犬」は、大学生4人を主人公にした青春ミステリの傑作だと思います。
それに合わせたのでしょうか、文体も軽めになっていて、読み易いのがいいですね。 散歩中の犬が突然道路に飛び出し、リードをしっかり握っていた少年が交通事故に遭ってしまう。 この事故の裏側には何があったのかというのが、メインのストーリーですね。 途中に「ソロモンの指輪」と言う言葉が出てきますが、動物達と話しが出来るという魔法の指輪の事ですね。 これがあれば、犬のオービーから真相が聞けるのでしょうが、秋内は動物行動学に詳しい学者を頼って真相を調べます。 そして、この調査の進行に合わせて語られるのが、冒頭の喫茶店「We I come~」でのシーン。 そして、これが終章の大きな仕掛けに繋がっていくんですね。 秋内の祖父だとか喫茶店の名前だとか、伏線の張り方が、実に上手いですね。 この作品は、ミステリとして充分楽しめる作品なのですが、それ以上に、青春小説としての甘酸っぱい雰囲気があって、とても良かったと思います。 (2023.10.03 10:34:21) |