まあぼの交差点

[読んだ本（ミステリ・日本）] カテゴリの記事

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  名探偵はどこにいる（霧舎巧）

  《あかずの扉》研究会シリーズ外伝の第２弾である霧舎巧の「名探偵はどこにいる」（2006）を読んだ。ミステリを読むときに，わからなかった謎が最後に解き明かされるたり，さらには「だまされたぁぁぁ！！！」と叫ぶ喜びは大きいのだが，読んでいる途中で「わかった」とにたにたするのもけっこう楽しい。今回は，ほとんどの謎が「途中でわかった！」という感じだったのだが，振り返ってみると，「材料」が出そろった時点でわかったわけではない。作中の人物による「解き明かし」より前にわかって，「やはりそうだった」と，ちょっとだけ優越感。でも，これって結局作者の手の内にあってしっかり読まされたってことじゃないか！（笑）でもまあ，おもしろく読めました。後動有三（ごどうゆうぞう）警部補による20年前の推理を，個人的な事情も絡めながら，今寺敬二刑事が改めてたどるという構成。前作にあたる「名探偵はもういない」は2002年に読んでいるのだが，どんな内容だったかさっぱり忘れてしまった（笑）→今寺が後動に初めて会った，栃木県のペンションでの事件のようだ（今回は当時のオーナーの娘，現オーナーが登場）。父親がリチャードという名の外国人探偵「エル」が登場するなど，《あかずの扉》研究会シリーズ（未読）を読んでからのほうが楽しめる要素が多いような気はするが，単独でもミステリとしての読み応えはあった。霧舎巧の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（霧舎巧）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス名探偵はどこにいる霧舎巧

  2006/06/15

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  さまよう刃（東野圭吾）

  読み始めて，「しまったなあ」と思ったのが，東野圭吾の「さまよう刃」（2004）だが，結局最後まで読んでしまった。あまり好きなテーマではない。というか，素材自体ははっきりいって嫌いだ。だから，途中で何回か「やめようかな」とも思ったのだが，この作者，やはり「語り」がうまく，読み続けさせられてしまった（笑）今回は内容について触れる気はあまりなく，情報提供者やペンションの女性やら悩める若手刑事やらが印象に残った程度にしておこう。「リュパン対ホームズ」の日記（→こちらから）で，「探偵（警察も含む）」のこのジレンマの一例としてこの作品をあげたのだが，そこで一くくりにした「探偵」と「警察」にはもちろん違いがある。「探偵」は真相が追求の目的であるのに対し，「警察」は守るべきものとして与えられた法律遵守が追求の目的である。警察のそのジレンマが１つの柱になっていたと思う。ただ，「少年犯罪」を扱うことで，問題点を先鋭化し，時流にものせることができているのは確かなのだが，「特殊化」することはそれなりの危険性を含んでいることにも注意しておくべきだろう。犯人が未成年だから法律で裁けない。だから……。というのはわかるのだが，果たして犯人が30歳だった場合，被害者が思うように法律で裁けるのか？「警察」という立場にいる限り，逮捕して，裁判に回せればそれでよいということになるのだろうが，そのわり切りは果たして正しいのか？その点を作者が意識していないという意味ではないが，「特殊化」によって積み残されてしまう部分が出たという印象は否めなかった。東野圭吾の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東野圭吾）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスさまよう刃　　　　　東野圭吾

  2006/06/08

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  れんげ野原のまんなかで（森谷明子）

  この作者の作品は初めてなのだが，森谷明子の「れんげ野原のまんなかで」（2005）を読んだ。本州の中央部，首都圏の外れにある秋庭市（人口８万）の，北部の野原のまんなかにある秋庭市立秋葉図書館を舞台に起こる，ちょっとだけ非日常的な事件と謎が展開する連作短編。秋庭市立であるのに「秋葉」図書館であるいわれに象徴される舞台設定や，ススキ野原からレンゲ野原に変わる情景設定などもふくめて全体がきれいにまとまっている。謎解きもおもしろいし，憧れから現実に相手を変えていく主人公の恋心あり，図書特に児童書の薀蓄あり，何よりも地主のおっさんのキャラがよくて……ではあるのだが，どうにも「きれいにまとまっている」を越えないのだ。「よい人」が集まりすぎて，現実感を感じられないところにその理由があるような気がする。主人公の文子はかなり優秀な司書（になりつつある進行形）のようだが，その先輩の日野は専門的知識に加え，アジア系，非アルファベット系言語にも強く，県内中の図書館から頼りにされる司書，「探偵役」の能勢がさらにそれ以上優秀な司書。こんな３人が予算が少なく辺鄙な場所にあり蔵書６万冊（開架部）の図書館に顔をそろえるなんて（あればよいとは思うが）できすぎの感がある。事件をきっかけに図書館に通うようになる少年にしても，情報誌の記者にしても，ある事件の「犯人」にしても……その他みなさん，「よい人」かつ「優秀な人」ばかりの印象が残り，全体としての印象がかえって薄くなってしまったような気がする。と，いろいろ書きはしたが，さわやかな読後感を残す本であり，オススメの１冊であることにはかわりはない。森谷明子の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（森谷明子）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記積んどく？　読んどく？（shiba_motoさん）　　徒然なーる読書日記（からり空さん）Library☆（BIBUさん）　　ミステリの部屋（samiadoさん）未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）　　奏話館（姫樹さん）読書飛行（しゃんテンさん）　　まみむメモ（＠かぼちゃさん）楽天ブックスれんげ野原のまんなかで　　　　　森谷明子

  2006/06/05

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  猫丸先輩の空論（倉知淳）

  「たしかに，机上ではないが，空論ではあるなあ」と思わせてくれたのが，倉知淳の「猫丸先輩の空論」（2005）で，６つの作品で構成される短編集。最後の作品を除き，「殺し」も「犯罪」らしきものにも関係ないのだが，どれにも「猫丸先輩」の怪しげな魅力と推理がたっぷり。どの作品も「推理」だけで，それが本当なのかどうかがわからないところがいかにも「空論」である。おまけとして叙述トリックのサービスつき。「とむらい自動車」では「おかしいなぁ」と思いつつ，ついついひっかかってしまった(笑)いちばんのお気に入りは，扱われている素材もふくめて「魚か肉か食い物」。「夜の猫丸」のラストも，ちょっと怖くてなかなかよかった。倉知淳の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（倉知淳）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス猫丸先輩の空論　　　　　倉知淳記事関連のオススメ日記未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）　　ミステリの部屋（samiadoさん）（←各作品のタイトルについては，この２つの日記本文とコメントが参考になります）まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）たいりょうのちょっと一息さん

  2006/06/01

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  弥勒の掌（我孫子武丸）

  この著者の作品，久しぶりに読んだのだけれど，「あれっ？　こんなだっけ？」というのが「我孫子武丸の弥勒の掌」を読んだ途中までの印象。３年程前に教え子と関係をもつという事件を起こし，離婚同然の暮らしていた妻が突然いなくなり，警察から自分が殺害したと思われることを恐れて妻を探し始める高校教師辻恭一。ラブホテルで若い後妻の死体が発見され，自分の手で犯人を殺そうと決意した，暴力団担当であり，「内職」でかなりの金を得ている刑事蛯原篤史。失踪した女ひとみと殺された女和子は「救いの御手」という新興宗教の教団に関係があることがわかり，その本部で偶然に出会った教師と刑事が協力してその教団を内偵していくと……内情を探るために「会員」となったものの，女性大師の魅力に惹かれて教団に取り込まれそうになる恭一，「内職」の件で，警察官の不祥事を取り締まる本庁の人事課から呼び出される蛯原の二人とそれぞれの事情を抱える二人だが，フリーのライター茂木の協力などもあってだんだん真相に近づいていく……辻は「ハズレ教師」，蛯原は「はぐれデカ」という感じで，２人のやりとりもなかなかおもしろかったのだが，なんかなあ，けっこうありそうな感じだし……というのが，最終章の直前までの感想……で，……やはり，そんなことはありませんでした！！好きだなあ，こういう終わり方。教団のシステムもなかなかよかったし……。茂木がちょっとかわいそうだったけれど，まあいいか(笑)日本のミステリ作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（ミステリ）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━著者ホームページ：ABIKO'S HOMEPAGE記事関連のオススメ日記いろんなことを忘れないために（dai583さん）　　未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　気まぐれ日記（kemeko09さん）毎日が読書日和（くりむーぶ389さん）　　生生流転（静音*さん）楽天ブックス弥勒の掌　　　　　我孫子武丸

  2006/05/28

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  最後の願い（光原百合）

  この作者について書くのは初めてになるが，光原百合の「最後の願い」（2005）を読んだ。「劇団φ」を立ち上げようとする度会恭平と風見爽馬が，スタッフとして参加してほしいメンバーと接触するたびに事件や謎が起こり，１つ１つが解決されていくという連作短編風ではあるが，最後には新しい劇団の最初の公演が「開幕……」ということで，きちんとした長編の体裁も整っている。集まってくるメンバーもそれぞれ魅力的で，そのキャラクターが個々の話のみならず，開幕前の準備やリハーサルの場面でいきいきと描かれているのも好ましい。中でも，文句ばかりいっているが劇団に巻き込まれていくのがみえみえの美術担当タチバナ，けなげな制作担当のシローが好感度大。最後の握手もとてもよかった（この書き方なら，ネタバレにはならないだろう，笑）。光原百合の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（光原百合）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天：著者インタビュー記事関連のオススメ日記たいりょうのちょっと一息さん　　ミステリの部屋（samiadoさん）昼下がりの迷宮～（あむあむ108さん）楽天ブックス最後の願い　　　　　光原百合

  2006/05/22

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  結婚なんてしたくない（黒田研二）

  今回読んだ黒田研二の「結婚なんてしたくない」（2005）は，この作家にしてはとても読みやすかった（ほかの作品が読みにくいからダメといっているわけではないので，念のため，笑）。タイトル通り，「結婚したくない」男たちを中心とする話。特定の女性に縛られたくない超ナンパ男，佐古翔アニメのキャラクターである春風うららしか愛せない，藤江克実スポーツジムのインストラクターで同性愛嗜好の，蒲生要身の回りの世話を母親に頼りきっている居酒屋の店長，真鍋聡史どうしても結婚に踏み切れない相馬浩文の５人それぞれの話が10回繰り返される（「１・１　佐古翔」～「10・５　相馬浩文」）というおもしろい構成で，話が進むうちにそれまでつながりのなかった５人に密接なつながりがあることが読者に見えてくる（登場人物どうしでは最後まで気づいていなかったりする）。エンターテインメント小説と銘打っていることもあり，「謎解き」の要素は少ないが，「謎の女」も出てくるし，犯罪の要素もあるし，ミステリとしてもじゅうぶんに楽しめた。黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━著者ホームページ：KUROKEN!楽天ブックス結婚なんてしたくない　　　　　黒田研二記事関連のオススメ日記田ライダーさん

  2006/05/21

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  アイルランドの薔薇（石持浅海）

  「扉は閉ざされたまま」を読んだとき，この先石持浅海を読むかどうか？　ちょっとくじけた感じだなあ。よい本があったら教えてね(笑)などと書いた（日記は→こちらから）のだが，むらきかずはさんからコメントで「アイルランドの薔薇」（2002）が「好きだった」と教えていただいたので早速読んでしまった。おもしろかった。ということで，前回書いた「ちょっとくじけた感じ」を撤回！！(笑)おもしろそうなものがあったら，今後も読んでいこう。作者の長編デビュー作ということなのだが，ここでも（というかこのときから）警察がからまない形で殺人事件が解決されていく（「事故死」の処理でちょっとは登場するのだが）。光文社ノベルスの紹介記事によると，「本格」の設定と，北アイルランド紛争という社会派テーマとを融合させた珠玉のポリティカル本格派ミステリーとあるが，「北アイルランド紛争」や「ポリティカル」の部分を謎解きのための「前提条件」と思えば（というのは，ここらへんが前面に出てくるのは個人的に好きでないから，苦笑），登場してくる政治団体幹部もそれぞれ個性的なキャラクターをもった人物として生き生きと描かれている。読者が解かなければならないのが単純な犯人探しの謎ではなく，犯人の行動の理由（犯行の動機ではない）の謎であるという，ちょっとひねった内容も，読み終わってみれば不自然ではなく，ハッピーエンドに近い終わり方にも好感がもてた。さらに，「犯人」だけではなく「殺し屋」を探すというおまけの推理も楽しめる。「おそらく……」と思っていた人物であたっていたのに，ほっとしたのもつかの間，いかにもそれらしい人物が単なるダミーではなかったことに愕然！！　ここでも，楽しませてもらった。石持浅海の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（石持浅海）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）　　ミステリの部屋（samiadoさん）本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）楽天ブックスアイルランドの薔薇石持浅海

  2006/05/17

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  幻影のペルセポネ（黒田研二）

  複雑に絡まっているというのがこの人の作品の特徴なのだと思うが，今回読んだ黒田研二の「幻影のペルセポネ」（2004）も同様だった。ネット上のヴァーチャル共同体と現実の世界が入り乱れて，過去・現在の殺人事件が解決されたり起こったりする。プロローグとエピローグのつながりもよかった（実は数行書いたのだが，ネタバレになると思い，こんな記述になった，笑）。ネット上の住人として自分はdonmaboという名前をもっているが，楽天でもう１つの名前をもつことは簡単！！めんどうだからやっていない，というかほかのブログ（休眠中）でも同じ名前にしているけれど……そこに，プログラムの技術が加わり，他人のIDを盗める人が加わると「ヴァーチャル共同体」の人間関係がグチャグチャになるのは当然か！！　というようなことを感じさせるおもしろい話だった（ストーリについて何も語っていないのに，ネタバレではないかと気にしているのだが……）。一見入り乱れてはいるが，辻褄はあっていて，わかってみればそれなりにスッキリもしている。あれがあれで，あのときのあれがあれで，……またまた，ネタバレではないかと気にしている(笑)前回日記にした「硝子細工のマトリョーシカ（日記は→こちらから）」同様，ラブストーリですよ(笑)黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━著者ホームページ：KUROKEN!記事関連のオススメ日記田ライダー（田ライダーさん）楽天ブックス幻影のペルセポネ　　　　　黒田研二

  2006/05/15

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  フリージア（東直己）

  新しいシリーズに挑戦。というで，榊原シリーズの１作目東直己の「フリージア」（1995）を読んだ。迫力満点，登場人物も魅力満点なのだが，特にすごいと思ったのが「通行人」のキャラクタ設定。丹沢という四課の刑事が出てくるのだが，その彼が怪我をして運ばれた病院から抜け出すときの担当看護婦真理子。彼女はここでしか出てこないのだが，４時間後に勤務が終わって，恋人の邦治が大切にしているセレステにのって，そのセレステは土足厳禁で，後部座席にはディズニーのぬいぐるみがいっぱいあって……と背景描写が実にていねい。もう一度書くと，彼女はここでしか出てこない「通行人」。でも，そういうところがけっこうよい。あっけなく殺されてしまうチンピラを大通り公園で見つけた璃沙も同様。彼女が１か月ほど男と寝ていなくても，先月別れた男から20万円ほど巻き上げようと，相手の司が課長から怒られようと，司と寝たことがあるかどうか迷おうと，物語の本筋には関係ない。なにしろ，ここでしか出てこない「通行人」なののだから。以上わき道から入ってしまったが，主人公である榊原，これはすごい！！決断が早い，動作も速い，そして，さくさくと人を殺していく。行動の背景にあるのは，多恵子を守るという１点のみ。そのためには，元アニキ分だろうとかわいがっていた元弟分（ただし，実際に殺したのは榊原ではなかったが）だろうと躊躇しない。「正義」のために殺しをするわけでもない。ということで，彼とは利害関係が全く関係がないファッション･マッサージの売上金の運び屋も，活動資金が必要という理由であっさり殺してしまう。要するに，かつ，もちろんなのではあるが，彼は犯罪者である。森博嗣の「浮遊研究室（３，宇宙編）」に「犯人役は常連になりにくい」という話題で，常連窃盗犯（ルパン，二十面相）ならいるけれど，常連殺人犯はいないんじゃない？　やっぱり，人殺しは，どんな理由があっても許されない，ということかな。ああ，そうか，毎回悪者を何人も殺して回るヒーロ（多分007とか）ならいるね。というくだりがあるが，「いえいえ榊原がいますよ」とついついいいたくなってしまった（ただし，まだ本作しか読んでいないので，次作では人殺しをしないかもしれない，笑）。短期間のバタバタ，さらにバタバタが凝縮され，生き残る人々がほとんどいない（って，これは実に大袈裟で，大部分の札幌市民は生き残っている）感じがしたが，うれしいことに「便利屋」シリーズで好きなキャラである桐原と相田が登場してかつ生き残った。しかもおいしいところを総ドリって感じで(笑)でも，関係者で生き残ったのは桐原・相田と多恵子の周辺，謙三を手伝った「ぼうや」たち（ただし全員ではない），そして榊原謙三が現在暮らしている場所の人々だけ。本を読んだ限りこれがシリーズとして続くとは思えなかった（ここらへんは「浮遊研究室」の発想と同じ，笑）が，続くことを悲しいことにあらかじめ知っていた。とりあえず覚えておくキーワードは「49（丹沢が数に入らなかった）」だな！！ということで，次作にも行きそうな勢いだが，Vシリーズも終わっていないし，「悪魔のミカタ」もあるし，ルパンもあるし……東直己の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東直己）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記19番の独り言（田中まさん）楽天ブックスフリージア　　　　　東直己

  2006/05/13

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  硝子細工のマトリョーシカ（黒田研二）

  好きな作家の１人である黒田研二の「硝子細工のマトリョーシカ」（2001）を読んだ。感想が書きにくい！！というのも，内容が複雑すぎるといえば複雑すぎるし，逆に「タイトルにすべてが凝縮されている」というとそれだけですんでしまう感じ(笑)ということで，それだけですましてしまうが，お話はテレビ局内の生放送リアルタイムドラマと過去の事件が絡み，どこまでがドラマでどこまでが「地」なのか，読んでいるほうにもわからなくなるというもの。あっさりひっかかったが，おもしろかった(微笑)すれ違いかける愛の物語ともいえるのだが，道化まわし的役割をする安藤レオという大柄なアイドルおたくが実に魅力的で，全体の印象を和らげていた。黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━著者ホームページ：KUROKEN!楽天ブックス硝子細工のマトリョーシカ　　　　　黒田研二記事関連のオススメ日記本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）　　たいりょうのちょっと一息さん田ライダーさん

  2006/05/11

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  扉は閉ざされたまま（石持浅海）

  図書館にリクエストをしたあと，何か月も待たされてやっと読めた本だが，たまには期待はずれなこともあって，今回の石持浅海の「扉は閉ざされたまま」がその１つの例。「セリヌンティウスの舟」（日記は→こちらから）はおもしろく読めたのだが，そのとき気になったことが，拡大再生産された感じ。そのときは，「ただ，集まった６人の誰もが「理知的」に過ぎたのがちょっと残念。」と書いたのだが……このあと，５行を過ぎるとネタバレも出てきます。今回の「扉は閉ざされたまま」も，警察も探偵も介入しない話なのだが，そこそこ有名な大学に入ってその中でもお金持ちしか入れないサークルに入ってその中でも特にゆとりのある人々の集まりがあってその同窓会！！で，頭のいい奴が人を殺して，そのまま罪をのがれられるかどうかという話なのだが，メンバーの中の，伏見亮輔，碓氷優佳以外バカすぎるということ。バカというのは，頭が悪いということではなく，判断が遅いということ。もちろん伏見に操られているといえばそれまで（作品の意図はそこにある）なのだが，ドアを破ることができなければ窓から入れよ。そのためにセキュリティ会社に連絡が必要ならとっとと連絡しろよ！！という感じだった。彼ら，頭も悪いのかもしれない。最初からずっと気になっていたウィスキーの置きっぱなしに優佳以外が気づかなかったのにもがっかり。ふつう気づくでしょう！？この先石持浅海を読むかどうか？　ちょっとくじけた感じだなあ。よい本があったら教えてね(笑)石持浅海の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（石持浅海）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス扉は閉ざされたまま　　　　　石持浅海記事関連のオススメ日記いろんなことを忘れないために（dai583さん）　　ミステリの部屋（samiadoさん）まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）　　海砂のつらつら日記（kaisa21さん）

  2006/05/07

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  向う端にすわった男（東直己）

  「便利屋」シリーズ４作目，東直己の「向う端にすわった男」（1996）を読んだ。実は，３作目か４作目か悩んだのだが，頼りにしている東直己の書庫に，「消えた少年」の単行本の発行が「1994.10.15」（文庫版に単行本への言及がなかった！）とあったので，こちらを４作目とした。といっても，この作品は連作短編で，発表年を見ると時間関係はいろいろと微妙。「向う端にすわった男」（1992）ハードボイルド映画を見た男にコケにされる話で，おもしろかった。「調子のいい奴」（1994）「俺」が29歳だから，設定は「探偵はバーにいる」と同時期かな？　それより１年あとかな？　自信がない(笑)この話に出てくる伊野田さん，危なっかしくって，かわいいと思ってしまう自分が怖い(笑)相田が出てくるので，設定としては「探偵はバーにいる」より後であることは間違いない。桐原が「宗緑」という俳号を持っているのは知っていたが，名にし負へど雪知らず逝く季節（とき）の雪虫ふ～ん。「秋の終わり」（1994）高田はすでにオーバー・ドクターになっている。これまでにもあったが，「俺」がひとを紹介する手際が大好き。「紹介するよ。高田，ノブだ。ノブ，高田だ。」で，これはノブの成就しなかった思い込みの話。「自慢の息子」（1995）みんなが「木村さん」とよんでいる人に別れた家族を探すように頼まれ，結局彼がコンビニ強盗になってしまった話。「消える男」（1996）成功している企画会社と，大昔の学生運動の話で，実はちょっときつかったなあ(笑)全体を通じて，これまでの「固茹で」強調ではなく，「俺」の周辺が見えてくるようで楽しかった。シリーズ前作「消えた少年」の日記は→こちらからどうぞ。東直己の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東直己）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記19番の独り言（田中まさん）楽天ブックス向う端にすわった男東直己

  2006/05/05

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  消えた少年（東直己）

  「便利屋」シリーズ３作目，東直己の「消えた少年」（1994）を読んだ。前作に軽く登場した中学校の国語の女教師安西春子が「俺」を頼って，教え子中島翔一を花岡組系の店から連れ出すことをきっかけに始まる。翔一が映画好きであることがわかり「俺」は好意をいだくのだが，彼の友人が無残な死体で発見されて翔一が自身も行方不明になり，それを「俺」たちが探す話。読後最も強く残ったのは，北海道の特殊性。前作で，放火と殺人をして＜即天道場＞に殺されてしまう田口晃少年の家族が登場したとき，やはり「特殊性」について書かれていた。晃の母康子が生まれたのはオホーツク海に面した小さな集落で，明治の初めに佐賀県のなんとかいう藩の士族たちが開拓したもの。中学を卒業した康子は佐賀県の地方政治家であり資産家である「お殿さま」の元に女中として雇われ（って北海道から佐賀まで女中奉公に行くわけで，それでも東京への「集団就職」よりよかったらしい），一族の誰とも知れない子（晃）を妊娠。秘書として勤めていた幸平は，じゅうぶんな養育費を貰うことを条件に康子と結婚して札幌で暮らし始めたという。今回の舞台は手稲南ヶ丘だが，この「南ヶ丘」は地形からきた名前ではなく，紀伊の国の「南丘藩」からきている。それ以上は書かないが，この設定にガーンときた。調べ出したのが，いまだにオーバードクターの高田というのもなかなかよかったのだが(笑)翔一を本気になって探す桐原満夫に結構感動。なんとなく好きだったのはやっぱり間違っていなかった！！　　ってこれ，単に作者の術中にはまっているだけのような気もするが(笑)「俺」がトランプをやっている所に電話をかけてきた大畑には，＜ケラー・オオハタ＞のマスター以上の存在感があった。春子の叔父の「ラーメン屋」のこだわりもよかったし，大橋君もかわいくて，一生懸命でよかった。初めて出てきた警察関係者である種谷刑事にも，今後注目の必要があるかも。特筆すべきは富美子さんの強さかな！？　道場で礼儀作法を教えるくらいといっていたわりにむちゃくちゃ強かった。シリーズ前作「バーにかかってきた電話」の日記は→こちらからどうぞ。東直己の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東直己）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記読書とジャンプ（むらきかずはさん）　　りぶらりだいあり（りぶらりさん）19番の独り言（田中まさん）楽天ブックス消えた少年　　　　　東直己

  2006/05/02

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  バーにかかってきた電話（東直己）

  「便利屋」シリーズ２作目，東直己の「バーにかかってきた電話」（1993）を読んだ。前作の日記で，「俺」の収入源は１晩で10～20万稼ぐカードと書いたが，これで月収300万，その他にも仲間と大麻を育てて「円山ダイナマイト」というブランド名のついたマリファナを捌くという「健康的な農民ライフ」をする一面もあるらしい。朝食はトーストとベーコン・エッグスとスーパー・ニッカのストレートのダブル（トーストがホットドッグや和風スパゲッティになることはあっても，スーパー・ニッカは変わらない）から始まり，日中も機会あるごとに飲み，夜は必ず飲むという，文字通り超健康的な生活を送っている。なんとも，魅力的なキャラクターだ。こんな「俺」もいいけれど，このシリーズではその他の登場人物もよい。前作の事件（今回（春のはじめ）から見て１昨年暮れ）の翌春には大学院の博士課程を修了することになっていた高田は，オーバードクターとしてまだ大学院生。カローラ1300を乗り回して，寮からも追い出されずにいる（国立大の寮って，こんな感じだったことを知人の体験として知っている，笑）。この彼が強い！　「俺」もまあまあ強いが，強いというよりはどちらかというと乱暴で，やられることもままあるのに比べ，高田はただただ強い。味方につけたると心強い人物。しかも，農学部で農業経済学，研究課題が「ヒトラーの農業政策」というのが笑えて笑えて（けっこう面白そうなテーマだと思える自分も怖い）……前作では「アイダ」で，最後はちょっとやばそうだった桐原組の相田も，今回は漢字を貰って登場。サウナでの２人のやりとりはおもしろかったし，相田と高田が意気投合してしまうのもなんとなく雰囲気が出ていてよかった。桐原本人が登場しなかったのがちょっと不満かな(笑)　２人ともけっこうお気に入りなのだ。客引き（ポーター）のアキラさん，タクシー・ドライバーの岡林，右翼の元大物見城老人も魅力的なキャラだねえ。ところで，「コンドウキョウコ」という人物から「俺」に電話がくるところから物語が始まるのだが，電話は「俺」の部屋ではなく，「ケラー・オオハタ」というバーにかかってくる。まあ，これがタイトルの由縁なのだが，ハードボイルドであるにかかわらず，あるいは，ハードボイルドであるからこそかもしれないが，結局は「愛の物語」だった。前作もそうだったのだ。このシリーズからは，形はちょっと捩れているかもしれないけれど「まっすぐな愛」を感じさせられる。シリーズ前作「探偵はバーにいる」の日記は→こちらから，次作「消えた少年」の日記は→こちらからどうぞ。東直己の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東直己）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記りぶらりだいあり（りぶらりさん）　　読書とジャンプ（むらきかずはさん）19番の独り言（田中まさん）　　まったり感想日記（せりざわはなさん）楽天ブックスバーにかかってきた電話東直己

  2006/05/01

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  フォー・ユア・プレジャー（柴田よしき）

  花咲慎一郎シリーズの第２作柴田よしきの「 フォー・ユア・プレジャー」（2000）を読んだ。ご本人のHPの→フォー・ディア・ライフもごらんください。前回（日記は→こちらから）の冒頭でエアコンなしの部屋に花咲慎一郎を起こしにきた大原南がエアコンの涼しさに驚くところから始まる。ということで，時間的にはそれほど経過していず，エアコンも前回の成功報酬350万円の余得。２回とも起こしにきた場面から始まるといって，南は慎一郎の愛人というわけではない。保育園のビルの３階が彼の私室というだけで，前回紹介しなかったが，彼には地中海風家庭料理の店カンパニュールのオーナーシェフである理紗という大事な人がいる。今回はその理紗の失踪を巡り，慎一郎は自分の命がかかったトラブルに巻き込まれる。２作目以降になるとあらすじ的なものを書く気にはならなくなるわけだが，何しろ全体的に楽しかったなあ。「よい」と思ったキャラのNo１はもちろん山内なのだが，「あげはの売人」もなかなかよかった。彼が厚生省マトリ（麻薬取締）のおとり捜査官で，依頼人のどじな女性が東京地検検事という設定には大笑いさせられた。そういえば慎一郎自身マル暴（四課）の元刑事で同僚を射殺して警察を辞めた経歴を持ち，元妻の麦子さんは弁護士。２人で大学で法律を勉強してたことだし，慎一郎の階級はどこまで行っていたのだろう？　キャリアではないが，昇進試験はほかの人より有利そうな気がするのだが……。しかも，今回はナンブをぶっ放してるし(笑)３作中１番のお気に入りです。したがって，内容についてはほとんど触れていません……って関係ないやん！！しかし，手順前後になりますが３作目で「えっちゃん」がでてくるのはやはり衝撃のキャラクタですね。以前から出ている人かと思ってしまっていた(笑)柴田よしきの他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柴田よしき）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスフォー・ユア・プレジャー　　　　　柴田よしき

  2006/04/25

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  フォー・ディア・ライフ（柴田よしき）

  「シーセッド・ヒーセッド」を読んで（日記は→こちら）気になった花咲慎一郎シリーズの第１作柴田よしきの「フォー・ディア・ライフ」（1998）を読んだ。前回も書いたように，新宿の無認可保育園の園長さん兼私立探偵のお話。内容紹介は例によって，ご本人のHPの→フォー・ディア・ライフからと思ったのだが，あまりにも内容が少ないので，ここにそのまま引用させていただく。「無認可保育園の園長にしてヤバイ仕事専門の私立探偵、それが我らの花咲慎一郎。新宿でいちばん忙しい男は今夜もまた眠れない！」このシリーズ，花咲慎一郎が３年間もエアコンの壊れた部屋で寝ているところを，若い保母の大原南に起こされるところから始まる。彼女とベテランの掛橋小夜子が「にこにこ園」の中心メンバー。無認可ではあるが，資格がある保母（この頃はまだ保育士ではなかった）と栄養士をそろえ，設備もそれなりにしているのが慎一郎の矜持だが，母親は夜の勤めのシングルマザーが多く，高い保育料を取れない。要するに慢性赤字。そこで，探偵としての「裏」の仕事に励み睡眠時間もなくなるというのが全体の枠組み。探偵の仕事を回してくれるのは，彼を「ハナちゃん」と呼ぶ城島耕助，時には現金も工面してくれ慎一郎は感謝しかけるのだが，利子つきで精算することは忘れない(笑)大坂から出てきて美山組に出入りする少年を百々井組から助け出したことと，家出した女子中学生を探すことから事件に巻き込まれ，慎一郎の過去も明らかになっていくのだが，そこらへんは本を読んでくださいね（「愛」がいろいろな形で現れる良い内容です）。成功報酬として350万円が入り，たまっていたつけを払い，花咲探偵事務所として使っていた部屋を新生児室に変え，屋上に小さな遊び場を作ることができたのだが，ほとんど同時に大きな借金を背負うことになる。にこにこ園は春日組先代組長の愛人風見恭子が経営していたものを慎一郎が任されたもの。先代の死後恭子とは犬猿の中の先代の娘に土地の所有権が移っていた。そこで，にこにこ園が入った新宿２丁目のおんぼろビルを土地ごと4000万円で買わされることになり，担保は慎一郎の生命保険。貸主は春日組若頭山内で，その手の借金の回収に失敗したことはないという。さてさて，今後どうなることやら……柴田よしきの他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柴田よしき）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスフォー・ディア・ライフ　　　　　柴田よしき

  2006/04/24

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  ユージニア（恩田陸）－その２－

  その１（→日記はこちらから）に続いて，恩田陸の「ユージニア」について。前回同様，これ以下は完全にネタバレになります。また，当然ながら，読んでいない人は意識していない書き方になっています。また，漫然とした書き流しになってしまったことを，最初にお断りしておきます(笑)１章「海より来るもの」と14章「紅い花，白い花」が同じ日の出来事であることは，満喜子が退職した婦人警官に会っていることからわかるが，これは，12章「ファイルの断片」によると26日（多分８月）であり，４時半にはぐったりしたところを公園職員に見つかり，救急車で運ばれてそのまま死亡。３時半に２歳くらいの女の子を連れたふくよかな中年女性と話しているのを目撃されている。ということで，１章の聞き手はこの中年女性であり，13章「潮騒の町」で正体がやや明らかになる，満喜子の兄順二が死ぬ直前に送った手紙（12章）の相手であろう。１章では園内をあちこち移動しているようなので，別の女性と考えることもできるが，「閉園時間も近い」という記述があるので子連れの中年女性である可能姓が高い。いずれにせよ緋紗子を含めた３人はほぼ同年代。13章は，この女性と緋紗子の対話が中心になるが，時間的には14章より後（初秋，９月16日以降）。女性が，「青い部屋」についての満喜子の結論を聞かされていなかったためにこの配置になったのだろう。時系列的には，ここが最後になる。２章「二つの川と一つの丘」は満喜子を手伝った後輩と「中年女性」との対話。気になるのは「証言と異なった細部」だが，これについては１つしかわからなかった（「祝祭」に古本屋が１軒も出てこないことは，「証言」とは違うので別とする）。気づいたのは，３章と４章で赤いミニカーに対する記述が微妙に違うことだが，その意味はとくに明らかにされていない。３章「遠くて深い国からの使者」は全章の中で唯一，登場人物のなどの名前にズレがあり，緋紗子が久代，青澤家が相澤家，「丸窓の家」が「船の窓の家」となっていることから，「祝祭」の一部と考えられる。赤いミニカーについて，ズレがあるとしたら，少なくともこちらの部分は「証言」ではなく，「創作」である可能性が大きい。同様に，章末の目撃譚も事実かどうかかなり疑わしくなってくる。ただし，「白い繭」は幻想的に書かれているが，後に，順二がジュースの中身を毒見させた猫であることがわかる。４章「電話と玩具」はキミさんの娘と，６章「見えない人間」は満喜子の長兄と，８章「花の声」は「犯人」と仲よくしていた少年と，10章「午後の古書店街にて」は「祝祭」の編集者と聞き手である中年女性との対話と考えればよいのだろうが，その間に入る章の位置づけがわかりにくい。５章は，11章「夢の通い路（二）」で対話した時に聞いた内容を，中年女性がまとめたと考えればよいかもしれないが，７章はそんな必然性もなく，９章は彼女の知りえなかったであろう内容が含まれている。ということは，ここらへんは純粋に地の文として「読者」だけが知っている内容ということになるのだろうか？11章以降にはあまりわからない部分はない。というか，曖昧なものはまあ，曖昧なままでもいいかな？　という気分である。ただ，最大の謎は，順二から手紙を貰った女性が，この事件に執着を持ちつづけることができた理由かなあ？ちなみに，「ユージニア」というタイトルの由来は，楽天ブックスの著者インタビューによると，フランスのジャズピアニストであるミシェル・ぺトルチアーニというピアニストの作品とのこと。その他のコメントもあるので，よかったら行ってみてください。恩田陸の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（恩田陸）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスユージニア　　　　　恩田陸

  2006/04/22

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  ユージニア（恩田陸）－その１－

  この人の作品を読むのは実質的には初めてなのだが，恩田陸の「ユージニア」を読んだ。「青に捧げる悪夢」を読んでから（日記は→こちらから）読んでみたいと思っていた２人がいて，もうひとりの乙一はすでに読み始めている。この本を読み終えたときの自分の感じとしては，「わからん！！」というのがいちばん強かった。ということで今回の場合，いつもと違って日記を書く前にほかの人の日記を読ませていただいたりもして……ホントに「わけがわからん」感におちいったのですよ(笑)ついでに，恩田陸が女性であるということをはじめて知った(微笑)「わからん」から始めるには，わからない部分を出す必要があるわけで，これ以下は完全にネタバレになります。また，当然ながら，読んでいない人は意識していない書き方になっています。場所つなぎで書くと，「わからないからいやだ！」ではなく，今後（当然以前の作品を含めて）読んでいきたいなあと思わせる作品であったことは間違いない。書きながらいろいろな方の日記も拝見していくつもりなので，記事が進むにつれ疑問点が変わっていくかもしれないことはお断りしておきます。最大の疑問はプロローグの青い部屋と白いさるすべりだった。１章最後で，退職した婦人警官が事情聴取で緋紗子が青い部屋と白い百日紅の話をしたと聞いた，「忘れられた祝祭」の作者はショックを受け「本の内容が変わっていた」とまでいう。実は，昨日ここまで書いて，このまま書きつづけるのはあんまりだと思って読み返してみたのだが，その後わかった部分もあり，わからない部分もあり……満喜子が「祝祭」を書いたとき，「犯人」は緋紗子だと思っていたわけで，何をいまさら……という感じだった。読み返してやっとわかったのは，「真犯人」＝緋紗子の母について，「祝祭」の時点で気づかなかったことにショックを受けたのだね！！ユージニアの意味については読みながらずっと考えていて，途中で一度「Eugeenia」あたりでググってみようと思ったりもした(笑)ということで，「いくつかの断片」でユートピアの話とゆうじん（友人）が出て来たときに自分の中では解決した気になったし，最後までそれが逆転することはなかった。予想通り最後まで書けなかったのだが，今アップしないとそのままボツになりそうな雰囲気もあるので，この時点でアップしてしまいます。ということで，その２に続きます。恩田陸の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（恩田陸）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記なほまる日記（離れ）（☆なほまる★さん）　　たいりょうのちょっと一息さん楽天ブックスユージニア　　　　　恩田陸

  2006/04/20

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  アコギなのかリッパなのか（畠中恵）

  政治の世界がどうこうと「カタイ」ことをいわなければ，畠中恵の「アコギなのかリッパなのか」はけっこうおもしろい。ということで，しっかり楽しんでしまった！！「軽すぎ」という向きもあるかもしれない。でも「百万の手」を読んだときの印象の「イマイチ」さを考えると，これくらいののりがこの作者にはいちばんあっているのではないかと思える（今後大変身したらゴメンナサイだが）。主人公は，元不良，現在は大学生であり，中学に通う弟の保護者でもあり，元代議士の事務所の雑用係を勤める21歳の佐倉聖。この元代議士である大同剛は，今でも政界に影響力をもち続け，与党有力若手代議士の集まりを主宰するし，彼のもとには多くの政治家から様々な問題が持ち込まれる。そのいくつかを持ち前の「推理力」で聖が鮮やかに解決していくってお話。政治の世界ってこんなもんじゃないと思うし，中に出てくる謎にもそれほど唸らされるわけでもない。内容紹介にもなっていないし，ちっともほめてないような気もするのだが，それでも「よい」って思えるんだよね(笑)作者特有の「ほのぼの」感にあふれているからかなあ。現代版の心地よい「時代小説」を読んでいる感じなのかもしれない。畠中恵の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（畠中恵）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスアコギなのかリッパなのか　　　　　畠中恵記事関連のオススメ日記魔女の隠れ家（たばさ6992さん）　　毎日が読書日和（くりむーぶ389さん）うさぎ外科医院さん　　yun*＊*road＊*＊さん日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）　　ほんだらけさん積んどく？　読んどく？（shiba_motoさん）　　オボエガキ（ムウみんさん）読書とジャンプ（むらきかずはさん）　　いろんなことを忘れないために（dai583さん）

  2006/04/19

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  探偵はバーにいる（東直己）

  札幌のススキノの「便利屋」である「俺」が初登場する，東直己の「探偵はバーにいる」（1992）を読んだ。この「俺」，ススキノを根城にして朝，昼，夜とススキノをうろつき，収入源はどうやら１晩で10～20万稼ぐカードの賭け金のようだ。今回は北大の後輩の頼みで，同棲している彼女を探すことから，迷宮入りになりかけていたラブホテルでの殺人事件の犯人にまでたどりつく。殺人をめぐる「謎」も楽しめたし，最後のドンデン返しにもじゅうぶん驚かされた。登場人物も多士済済でそれぞれ魅力的だったが，地味なところで，「勇」のおやじさんこと佐々木の存在感がとてもよかった。桐原組の組長満夫との関係も気になるところだし，新聞記者，大学関係者，ビラまきなどなどとの「俺」の交際範囲の広さもさらなる展開を思わせて楽しみ。「シーセッド・ヒーセッド」に続いて「ハードボイルド風」を読むことになってしまったが全くの偶然(笑)この話の続編も読んでいくことにしよう。しかし，それにしてもこの「俺」はほんとに飲んでばかりいるなあ！！シリーズ次作「バーにかかってきた電話」についての日記は，→こちらからどうぞ。東直己の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東直己）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記読書とジャンプ（むらきかずはさん）　　りぶらりだいあり（りぶらりさん）19番の独り言（田中まさん）楽天ブックス探偵はバーにいる東直己

  2006/04/15

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  シーセッド・ヒーセッド（柴田よしき）

  表紙，タイトルのイメージと「中身」が違う作品ってあるもので，柴田よしきの「シーセッド・ヒーセッド」がそうだった。この「イメージ違い」には，シリーズの途中から読んでしまったからという理由もあるが，表紙からはなんとなくほろ苦い青春ものを想像してしまったわけだ（実はそれで正しいのかもしれないが……）。新宿の保育園の園長さん兼私立探偵のお話。内容紹介は例によって，ご本人のHPの→シーセッド・ヒーセッドをごらん下さい。各話とも多少の謎はあるが，それが主眼ではない。ちょっとハードボイルドタッチの，でも実は全然違う話の展開がおもしろい。マット・スカダーを思わせる（あくまでも思わせるだけ，笑）花咲慎一郎の雰囲気がとてもよい。ということで，これに先立つシリーズ作品を早速予約してしまった。柴田よしきの他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柴田よしき）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記毎日が読書日和（くりむーぶ389さん）　　 怠惰で雑食なる日々の記録さんいろんなことを忘れないために（dai583さん）楽天ブックスシーセッド・ヒーセッド　　　　　柴田よしき

  2006/04/12

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  九月は謎×謎修学旅行で暗号解読（霧舎巧）

  「四月」から始まる私立霧舎学園ミステリ白書６作目である，霧舎巧の「九月は謎×謎修学旅行で暗号解読」（2005）を読んだ。「謎」と「キャラクター」と２者択一を迫られたらどうもキャラクターのほうをとりそうな自分なのであるが(笑)，このシリーズでは，とくにその傾向が強い。ということで，このシリーズをひとことでまとめると「葉月琴羽と小日向棚彦の伝説のラブストーリー」となるのだが，ラブコメではなく，もちろんミステリ。ただ，どうも出てくるトリックをむきになって解こうとする気にならず，今回も作者がこだわっていた「暗号」については流されるまま読んで「ふんふん」という感じだった（犯人は，かなりの確信をもって当てることができたがあくまでも「当てる」のレベル）。それよりも，葉月警視（琴羽の母）のでたらめぶりや，頭木くんの推理ぶりなどが好き。最も好きというか，食べてみたいのが琴羽の父のカレーライスなのだが，今回は登場しなかった。と，内容がとりとめもなくなってしまうのは，シリーズものの途中を書いているからだろう。肩が凝らずに「パズル」も含めていろいろ楽しめるシリーズとしてはオススメです。霧舎巧の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（霧舎巧）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記のぽねこミステリ館（のぽねこさん）　　drunker’s highさん青梅の読書日記さん　　１０５円読書さん楽天ブックス九月は謎×謎修学旅行で暗号解読　　　　　霧舎巧

  2006/04/10

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  切断都市（芦辺拓）

  警察官にはキャリア組とノンキャリアの間に準キャリアというのがあるらしい。「大阪警視庁」の存在といい，この作者にはいろいろ教えられる。芦辺拓の「切断都市」を読んでの知識。ということで，主人公梧桐渉警部は国家公務員II種試験に合格して警察庁に採用され，大阪府警に赴任している準キャリア。キャリア組ほど昇進は早くないし，地元採用でたたき上げのノンキャリアでもなく，どちらからも浮いた中途半端な存在で，「新犯罪対策班」という部下もいない部署に置かれている。その彼が，裁判後偶然に「切断都市」というタイトルの個展を開いている画廊に立ち寄り，「摂津国切断の悲劇」という作品を目にする。さらにその帰り道，切断され胴だけになった死体が道頓堀川に浮かんでいる現場に立ち会うことになる。以上なかなか快調な出だしで，「都市の切断と接合」という発想もおもしろく，あっという間に楽しく読むことができた。ミステリでもあり，ラブロマンスも少しといったところか？　なかなか魅力のある警部だった。※大阪警視庁最初に手拍子で「大阪警視庁」と書いてしまったがayafkさんのコメントで，説明不足だったことに気づきちょっと追加。「大阪警視庁」は戦後の一時期（昭和22年～29年）実際に存在し，「時の誘拐」はそれを題材にしている。また，京極夏彦の「百器徒然袋ー風」の第２話「雲外鏡」には，大阪警視庁の虎田警部の紹介状を持った霊感探偵はが登場する（→ 百器徒然袋－風（京極夏彦）－その３－）。芦辺拓の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（芦辺拓）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記kelly の　HAVE A NICE DAYさん楽天ブックス　　　　　切断都市　　　　　時の誘拐芦辺拓

  2006/04/09

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  窓際の死神（柴田よしき）

  もともと好きな作家なのだけれど，久しぶりに柴田よしきの「窓際の死神（アンクー）」を読んだ。「死神」が見えてしまう人間と，気が弱くてどこか抜けたところのある死神の話。ほのぼのとして，ちょっと怖さもあっておもしろい作品だった。人間の感情がわからないから相手を傷つけることをいってしまうといいながらも結果的に「いい人」の役割を果たしてしまう死神である島野さんがよいのですよ。あとがきによるとアンクー（Ankou）はブルターニュ地方の伝承の中の死神ということだった。→Ankou - Wikipedia著者のホームページの作品紹介は→窓際の死神，文責は「双葉社　文芸出版部S」となっています。柴田よしきの他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柴田よしき）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス窓際の死神（アンクー）　　　　　柴田よしき記事関連のオススメ日記 ときねこだより（朱鷺猫さん）　　ファージの雑記さんシフクノホンさん　　日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）

  2006/04/06

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  ユグノーの呪い（新井政彦）

  かなり前にタイトルを目にしてから気になっていた新井政彦の「ユグノーの呪い」を読んだ。歴史に題材を得た作品ではあるのだが，時代設定は近未来。ヴァーチャル化した患者の記憶空間に入り込み，人間のトラウマの原因となっている記憶を変えることができるようになっている頃の話である。主役はヴァーチャル記憶療法士，患者はメディチ家の末裔ということで，その記憶の中ではシャルル９世による「サン・バルテルミーの（ユグノーの）虐殺」なども扱われている。一見バーチャルの世界の出来事のようでありながら，ミステリとしてオーソドックスな動機や計画に裏打ちされていて，ハラハラさせられる部分もあり，とてもおもしろかった。日本のミステリ作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（ミステリ）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）　　図書館貸出券の記憶さん困ったモンだ（のほっさん）楽天ブックスユグノーの呪い新井政彦

  2006/04/03

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  カーの復讐（二階堂黎人）

  フランスの古本屋で見つけたものを著者が翻訳したという，二階堂黎人の「カーの復讐」を読んだ。1911年発行の「La Vengeance de Ka」ということなので，「奇巌城」と「ルパンの告白」の間の作品と思えるが，その頃ルパンがどのような組織をもち，どのようなことを企んでいたのか，残念ながらまだ読書がそこまで進んでいない(笑)ところで，「カーの復讐」というから，本を手にするまでてっきり「ディクスン・カーの復讐？」「何をするの？」「密室殺人の常識を破る？」などと考えていたのだが，この「カー」は古代エジプト語の「さまよえる死者」だったので，大笑い。エコー・ド・フランスの編集長としての仮面をかぶったルパンが，パリ警視庁にもぐりこませたマルコ・ブルサン部長刑事とともに考古学博士ジョルジュ・ボーバン一家を襲った惨劇の謎を解き，真っ赤なルビーがついたメダリオン「ホルスの眼」は手に入れそこなったものの，隠された黄金も手に入れる。今回のルパンは，編集長としての仮面ははげそうにないし，ライバル紙の隠れた大株主という設定でもあるし，推理はさえているしということで，ちょっとかっこよすぎ！！　怖いものなしといった感じである。「怪盗」だから，よいのか(笑)もちろん，巻末には「La Vengeance de Ka」が実在しないと断ってあるが，ルブランのルパンがこの頃どのようになっていたか，そのうち読むのが楽しみである。二階堂黎人の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（二階堂黎人）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）　　 クリスタルのかけらに眠る勇者の心（かけらに眠るさん）茶碗の縁に茶渋がつくまでさん　　どこまで行ったらお茶の時間さん＊ GRACEFUL　DAYS ＊さん　　「名探偵たちの事件簿」管理人のウェブログさんりぶらりだいあり（りぶらりさん）楽天ブックスカーの復讐　　　　　二階堂黎人

  2006/03/28

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  ミステリ既読調査２００５中の既読本

  積んどく？　読んどく？（shiba_motoさん），未来の予定～ラビ的（みっつ君さん），読書とジャンプ（むらきかずはさん）に引っぱられる形で「ミステリ既読調査２００５の結果（→リストはこちら）」のうち何冊読んでいるかをチェックしてみた。これは2004年11月～2005年10月までに出版されたミステリ作品（リストは、『このミステリーがすごい！2006年版』）の既読数を調査したもの。全３３１冊中（むらきかずはさんに感謝，笑），今日までに読んでいたのが，24冊と自分が予想していた倍近くの数があった。森博嗣を読み始めるとそれが続く（ただし，途中で疲れてインタバルをおきます，笑）などのように読書にかたよりがあること，もっぱら図書館利用なので「新刊，既刊」を全く意識していないことなどの理由から10冊を越える程度と思っていたのだが……どうやらその原因は，昨年１月末から始めたこのブログにあるようで，誰かが「おもしろい」と書いているもの，あるいはよく訪問する方々の何人かが日記にしているものを見ると，すぐに影響を受けて読みたくなり，リクエストをしてしまったようだ(笑)中には「漆黒の王子」のようにコメントで薦められたものもあり，いずれにせよ，感謝！！　感謝！！！　なのであります。それにしても，やはり傾向は出るようで，ベスト10の中は１冊だけ（直木賞の発表が早ければ，多分０冊），30～50位代で数を稼いでいるのは，自分らしいのかな？トップページに毎月のイチ押しを残しているのだが，合致した作品は65位の「笑酔亭梅寿謎解噺」だけというのも笑えた。これ以降日記に「オススメ」などと書いてあっても，信用しないこと(笑)！！今回やってみて，「読むつもりでいて落としている本」が何冊か見つかった。こんな効果もあるので，バトンではないけれど，どなたか続いていただけませんか？以下は既読の本のリストです。容疑者Xの献身（東野圭吾，２←順位，以下同）θは遊んでくれたよ（森博嗣，10）τになるまで待って（森博嗣，11）モロッコ水晶の謎（連）（有栖川有栖，12）セリヌンティウスの舟（石持浅海，19）ほうかご探偵隊（倉知淳，22）腕貫探偵（連）（西澤保彦，37）ルパンの消息（横山秀夫，37）生贄を抱く夜（連）（西澤保彦，42）モップの精は深夜に現れる（連）（近藤史恵，43）月読（太田忠司，45）パズル自由自在（連）（高田崇史，46）ｆの魔弾（柄刀一，49）やさしい死神（連）（大倉崇裕，52）日暮らし（上下）（宮部みゆき，57）笑酔亭梅寿謎解噺（連）（田中啓文，65）三百年の謎匣（連）（芦辺拓，81）フェティッシュ（西澤保彦，82）殺人現場はその手の中に（連）（柄刀一，87）蚊取湖殺人事件（短）（泡坂妻夫，87）推理小説（秦建日子，97）青に捧げる悪夢（恩田陸ほか，104）胡蝶の鏡（篠田真由美，110）漆黒の王子（初野晴，112）上記リストの本についてはほとんどが日記になっています。フリーページ　読了本（日本）　（ミステリ）からごらんください（作者別に整理してあります）。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━

  2006/03/18

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  ルパンの消息（横山秀夫）

  予約待ち３か月半。やっと，横山秀夫の「ルパンの消息」を読んだ。ちなみに，この「ルパン」は喫茶店の名前で，巣鴨の同じ場所に店主をかえてルパン→ルパン２世→ルパン３世と15年間存続していたという設定である（ストーリーの本筋とは関係しない）。出入りの新聞記者と所轄署の幹部との忘年会の席で，署長が渡されたメモ。そこから15年前の「ルパン作戦」と「女教師自殺事件」の再捜査が始まるが，時効成立まで残された時間は１日。本庁から送られた特別班が中心となって，当時高校３年生だった「ルパン作戦」の実行者たちが事情聴取を受ける中で，徐々に真実が明らかになり，さらにはその７年前の「３億円事件」につながっていく。伏線もいろいろな場所でめいっぱいきいていたし，高校卒業後15年間での生き方の違いや捜査担当者それぞれの個性などもなどしっかり書かれていし，最初と最後におかっぱ頭の若い女性記者を登場させるなど，キャラクターの配置にも抜かりがなかった。できるならば，現実の事件臭を払拭して，あくまでも架空のミステリとしてほしかったが，作者のスタイルとしてそうもいかないかもしれないのが，すごく残念！！比べても仕方がないのだが，図書館での順番を長い間待ったかいがあったと思える１冊だった。同時期に同じ程度待った作品より，こちらの作品のほうが好きだ！！横山秀夫の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（横山秀夫）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックスルパンの消息　　　　　横山秀夫次の日記も読ませていただきました。ヨカッタ探し（anna２号さん）　　日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）乱視でごめん（よるのあめさん）　　どらさんたこの感想文さん　　風の吹くまま　気の向くまま（himebun05さん）「本のことども」ｂｙ聖月さん　　IN MY BOOK by　ゆうきさんたあさんの部屋別館～本の部屋～さん　　粗製♪濫読さんAOCHAN-Blogさん　　たりぃの読書三昧な日々カフェビショップさん　　+ ChiekoaLibrary +さん活字中毒日記！さん　　AOCHAN-Blogさん+++ こんな一冊 +++さん　　Gotaku*LogさんGrave of memoryさん　　ミチの雑記帳さんたいの身勝手書評さん　　上州あられの積ん読日記さん本を読む女。改訂版さん　　田ライダーさん

  2006/03/16

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  予知夢（東野圭吾）

  「探偵ガリレオ」に続いて，ガリレオシリーズの２作目である東野圭吾の「予知夢」を読んだ。前回のコメントでのやりとりなどもあり，「ガリレオ先生」や「天才物理学者」がどのように使われているかに注意して読んだのだが，前者は「ガリレオのところに行ったといってくれ……」という草薙のセリフが一か所，後者については「天才」という言葉は一か所も見あたらなかった。５作からなる短編集で，なんとも「地味」なのだが，こういうのけっこう好きだなあ。夢想（ゆめみ）る16歳の少女の部屋に侵入した男がつかまるが，17年も前から結ばれることが決まっていたという。男は小学４年生のときにそのことを「僕の夢」という作文に書き，名前も一致していた。この謎解きには，工学的要素はなかったが，交通事故死した少女と人形を介した「予知」という謎解きはおもしろかった。おまけは，綱引きで勝つのは腰を落としたチームか，腰高のチームか？→垂直抗力によるまさつ力が増えるため，腰高のチームの勝ち。霊視（みえ）るマンションの自室で殺されていた女性が，同じ頃加害者宅に現れたのを目撃される。→アリバイ工作の失敗だが，ヘアスプレーがステレオの雑音の原因になることから，第２の女性が浮かぶ。騒霊（さわ）ぐ死んだ老婦人宅でのポルターガイスト騒ぎ。→床下に穴を掘って死体を埋めたことによる共振現象の発生。おまけは，ガラス棒をガスバーナーで熱して通電させる実験。バーナーを外してもガラス棒は発熱しつづけるが，やがて溶断する。絞殺（しめ）る子供が火の玉を目撃。→アーチェリーの弓と弦を使った自殺の他殺への偽装。ストーリーとしては，これがいちばん面白かった気がする。予知（し）る女性の首吊り自殺を２日前に向かいのマンションの少女が目撃→ER流体を使って，偽装自殺のつもりが真の自殺になるように細工。これは，終わり方がよかった。やはり「不思議」がなくては……「探偵ガリレオ」の日記は，→こちらから，「容疑者xの献身」の日記は，→こちらからどうぞ。東野圭吾の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東野圭吾）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━次の日記も読ませていただきました。懐中時計とペン（咲哉1227さん）　　life is journey．さん19番の独り言さん未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）　　うらひろさんころりんぶろぐさん　　なほまる日記・離れ（☆なほまる★さん）たこの感想文さん　　+ ChiekoaLibrary +（chiekoaさん）本が好き？　好き！　だ～い好き！（mitsumame0182さん）　　日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）楽天ブックス予知夢　　　　　予知夢（文春文庫）東野圭吾

  2006/03/11

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  フェティッシュ（西澤保彦）

  何を書いてもそれについてのネタバレになりそうだっていう本がときにはあるわけで，西澤保彦の「フェティッシュ」も，その１冊。文字の色を変えたくらいでは追いつかない。とりあげる話題そのものがネタバレになってしまう，ということで非常に困ったのだが，覚悟してお読みくださるか，パスしてください。もちろん，未読の方には隠したほうがよいものについては，色を変えてあります。それに，読んでも具体的なことはほとんどわかりません(笑)ところで，この本は一部の読者からは嫌われそうな気がする。→いくつかの日記を読ませていただいた結果「一部の」ではなく，「ほとんどの」のほうが適切なような気がしてきた(笑)動機が曖昧，犯行や犯人や被害者の背景が皆無に近い，事件の後始末についていいかげん，それに，けっこうバタバタと殺されたり死んだりする。しかし，この本はそれでよいのだと思う。ここに書かれているのはそういう世界なのだ。意匠，異物，献身，聖餐，殉教という５つの小題がいくつかのパートに分かれ，織りなすように構成されている（目次のレイアウトがよい，見ただけで惹かれてしまった）。それぞれの最初の部分を読んだときは，「何とまあバラバラなことか」と思い，地名だけで関連をつけていた。読み進めるうちに，関連が見えてきて，さらに進むと時間軸のずれも見えてくるが，最後の最後にまとまるというよりは破裂するといった感じで終わる。ハッピーエンドではない。悲惨なことが続いたが，最後に未来への道が見えるわけでもない。話にも，登場人物にも「救い」はないと思う。その潔さが「フェティッシュ」というタイトルとあいまって，強烈な読後感を残したのである。こういう作品，大好きです！！５つの小題で扱っている「素材」は，意匠…ストッキングを履いた女性の脚の姿に執着する老人の話。異物…患者の体液全般の臭いや感触に拒否反応を示すようになった看護婦の話。献身…10年間同棲した相手に去られた，40半ば過ぎの裕福な男の話。聖餐…息子の自殺をきっかけに，葬儀も放り出して家出した母親の話。殉教…事件を追う刑事の話。それぞれがどのように事件と関わり，どのようにつながっていくのか？　鍵となるのは，何重かの意味で「さわると死ぬ」美少年ですが，あとは読んでのお楽しみです。西澤保彦の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（西澤保彦）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━記事関連のオススメ日記まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　クリスタルのかけらに眠る勇者の心さんきまぐれうさぎ（ぷるんつさん）　　IN MY BOOK by　ゆうきさんうさぎ外科医院さん　　個人的読書記録さんひでさん　　藍色さんりぶらりさん楽天ブックスフェティッシュ　　　　　西澤保彦

  2006/03/09

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  誰か（宮部みゆき）

  「しまった！」と思っても，気づくのが遅すぎるって！！　これは，宮部みゆきの「誰か」の全378ページ中157ページ（ハードカバー）まで読んだときの叫び。それまでうすうす頭の中で「？　…　？　…」などという状態だったのだが，「裏のエレベーターで家のほうに上がってください」という会話の部分で「！！！！」となってしまったのだ（ここは謎に関しても，話の流れに関しても全く重要な部分ではありません，笑）。要するに，この本はすでに読んでいた！！森博嗣のいくつかの作品のなどように意識して再読することはある。また，意識しないで再読することもある。ただし，その場合ある程度のところで気づくのだ。ふつう，1/3は超えないでしょう(笑)気づいた時点で，最後にどうなるかまです～と頭の中に戻ってしまった（ここらへんがさすがに好きな宮部作品ということで，ほとんどの場合，読んだことは覚えていても肝心なことまでけっこう忘れていたりする！！）ということは，読みながら何を考え，それがどうだったかというスタンスで書いているこの日記に書く内容がなくなってしまったということも意味している。まあ，だからこそ，こうやってだらだら駄文を流しているのだが……で，どうしたかというと，きちんと最後まで読みましたよ。おもしろかったので，未読の方はぜひどうぞ。いつものようにいくつかの日記にリンクを貼らせていただいていますので，内容が気になる方はそちらをごらんください。同じ主人公の「名もなき毒」が昨年末に北海道新聞・中日新聞の連載を終了したようなので，そのうちに本になり，そのうち図書館から借りられるのを楽しみにしている。宮部みゆきの他作品はについての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（宮部みゆき）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス誰か　　　　　宮部みゆき次の日記も読ませていただきました。fukusukeloverの日記（fukusukeloverさん）　　田ライダー（田ライダーさん）なんちゃってダイエッターの徒然日記（あいりす★さん）　　５０代！おっさんの本棚（cyn1953さん）STOCKCUBE - (*^ー^)ノ☆（choco_3さん）　　chikutaku今日の出来事！（chikutaku.BanBanさん）読書日記＆たわごと（cascade0920さん）　　魔女の隠れ家（たばさ6992さん）ながらにっき（danke3さん）　　いろんなことを忘れないために（dai583さん）ミステリの部屋（samiadoさん）　　＊モナミ＊（v_のん_vさん）

  2006/03/04

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  追憶のかけら（貫井徳郎）

  前半でひきつけられて，ずうっとおもしろかったけれど，最後に肩透かしを食らってしまった。というのが貫井徳郎の「追憶のかけら」を読み終わって感じたこと。自分の非（風俗店にいやいや付き合わされたことがばれた！）で娘と実家に帰ってしまった妻が突然の事故死。娘は妻の実家の義父母が育てることになり，娘と会うのにも遠慮がち。自分に怒りを向ける義父が大学の有力教授であることから，助教授への道も閉ざされてしまったと感じる国文学の大学講師である松嶋。彼のもとに終戦直後一時的に活躍した作家佐脇依彦が自殺前に残した手記が届けられる。その手記をもとに論文を書けば学界での道も開けると喜ぶ松嶋だが，発表の条件は手記に書かれた「謎」を解くこと。ここで，松嶋素人探偵もどきが生まれるのだが，「手記」の中でも佐脇が「人探し」をして，その結果として命を絶っている。この松嶋と佐脇，２人とも「探偵としての資質」に極端に欠けているのだ。「名探偵＋間抜けな刑事」の刑事的な意味で資質が欠けているのではない。２人とも，他人がいっていることを全く疑わないのである。また，他人が自分をどう思っているか，全く読めない。要するに，「お人好し」であるといってもよいのだが，そのために手記を書いた佐脇は結局自殺に追い込まれてしまう。そうなると，その謎を追おうとしている松嶋も……と，いろいろ憶測が広がって，「手記の謎は？」「その手記を松嶋のところに持ち込んだ真意は？」などと，序盤・中盤は楽しい。終盤も意外な犯人が登場し，それが佐脇を自殺に追い込んだ竹頼剛造の娘志水永美子であったことは，自分がわからなかったせいもあるがうまいランディングだったと思う。ただ，その後の志水悠哉の善意がなんともちぐはぐだったのだ（息子がふられた恨みを大金をかけて晴らすという「悪意」は剛三譲りのものとしか思えない。ならば突然変異的に悠哉が「善意の人」になってしまうのは納得できない！！）。手記の謎にしても，全体の中で見れば剛三が佐脇を追い詰めていく動機，つまりはっきりいって「いいがかり」だが，手記の外で出てきた剛三には合っているに納得がいくのだが，「手記の中」だけで納得できるような，もう少し深い動機があってほしかった。その他，義父の態度が見つかった手紙で急に変わるのはどうか？　とか，山崎は永美子のスパイではなかったのか？　とか疑問点が残ったまま終わってしまった感じがする。まあ，これだけいろいろと書いているということは，それなりに楽しく読んでしまったということでもあるのだが……また，リンクさせていただいた日記では好意的な評価が大部分だったことをここにつけ加えておきます。ぜひ読んでとはいえないけれど，読んで損をした気はしない。というか，だんだん「読んでみて！！」という気になってきた。「容疑者X」との決定的な違いは「謎」の提示の仕方と解決の仕方にあるような気がするのだが……どうかなあ？？↑「直木賞」は全く視点にいれていないことをいちおう断っておきます。貫井徳郎の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（貫井徳郎）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━次の日記も読ませていただきました。読書飛行（しゃんテンさん）　　本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）「本のことども」ｂｙ聖月さん　　My Recommend Books !さんBrose*DIARY*さん　　たこの感想文さん川映本音の和さん　　Grave of memoryさんblues日記さん　　green diaryさん猫は読書の邪魔をするさん　　活字中毒日記！さんウラワの魂さん　　のほ本♪さん楽天ブックス追憶のかけら　　　　　貫井徳郎

  2006/03/01

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  腕貫探偵（西澤保彦）

  大学の事務室に，あるいは病院の待合室に市民サーヴィス課の出張所が急に出現し，担当事務員が相談者の抱えるトラブルを解決してくれる。「そんなことはあり得ない！」などと怒り出す人以外には，西澤保彦の「腕貫探偵」は，手軽に読める短編連作ミステリである。副題は「市民サーヴィス課出張所事件簿」。文頭で書いた設定に，もちろん怒ったりしなかったので，楽しく読めた(笑)担当係員は，とがった風貌に丸いフレームの銀縁メガネをかけ，むっつりした表情でいかにもお役所的に堅い感じの，鉛筆みたいに細身の男。彼が相談者の話を聞いて推理をする形なので，いわゆるアームチェアディテクディヴなのだが，タイトルにもあるように，彼を表す特徴からアームガード（←このような英語はありません）ディデクティヴ，もとへ，やはり，「腕貫探偵」とすべきなのであろう。この作者，固有名詞があいかわらず難しい。ネタバレにはならないので，列挙してみるが，どれくらい読めますか（答えは反転してお読みください）？地名櫃洗市→ひつあらい市聳城町→たかしろ町鉾久市→むく市国府方→こうかた金祖町→はばき町吾雀町→わかさぎ町人名蘇甲純也→そかわじゅんや筑摩土葉子→つくまようこ田還晋→たがつりすすむ門叶雄馬→とかないゆうま完利穂乃加→しとりほのか傍陽→そえひ武笠寿憲→むかさとしのり兎毛成伸江→ともなりのぶえ螺良光一郎→にしらこういちろう檀田臨夢→まゆみたのぞむ目鯉部怜太→まりべりょうた秋賀エミリ→あわかエミリ玄葉淳子→くろはあつこ※当然（？）のことながら，もうすでにほとんどが読めません(笑)以下は，各話のポイントです。腕貫探偵登場死体が，現場→聳城町のバス停→自分の部屋と移動した（させられた）理由。恋よりほかに死するものなし再婚間近の葉子の母の体調不良の理由。化かし合い，愛し合い女のアリバイつくりと男の浮気。喪失の扉20年前の学生証と履修届一覧の意味。ちょっとホラー。すべてひとりで死ぬ女老舗の洋食店「カットレット・ハウス」で女性が食事をしなかった理由。スクランブル・カンパニィ女性社員による天誅。明日を覗く窓個展に出現した，１年前に展示されていた絵画。腕貫探偵は，ヒントを与えるだけだったり，解答まで示したり，その出没と同様役割も自在です。西澤保彦の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（西澤保彦）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス腕貫探偵　　　　　西澤保彦次の日記も読ませていただきました。まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　魔女の隠れ家（たばさ6992さん）Chocolate Boxさんりぶらりさん

  2006/02/25

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  探偵ガリレオ（東野圭吾）

  ガリレオシリーズの１作目である東野圭吾の「探偵ガリレオ」を読んだ。 「容疑者ｘの献身」を読んで，湯川助教授がどんなキャラクターであるのか？理系ミステリといわれているらしいがどのような内容なのか？の２点に興味がわいたのだが，湯川学助教授は，「30代半ば，学内ではそこそこの評価をされていて，バドミントンが得意で，子供がニガテ」といったところか。「学者」のイメージよりは腰が軽く，草薙俊平刑事の思惑を超えてあちこちと動き回ってしまうことは，すでにこの頃から始まっていたようだ。５作からなる短編集なのだが，「理系ミステリ」というより，「工学ミステリ」という感じがした。乱暴ないい方をすると，高田崇史のQEDシリーズや北森鴻の蓮丈那智シリーズのように，ミステリに「民俗学」の知識をかぶせるかわりに，「工業技術」の知識をかぶせた感じといえる。「米村でんじろうのパーフォーマンスつきミステリ」とでもいったところか(笑)犯行やその他の謎に使われる「道具」になじみがないので，その部分は「考えてもわからん！！」ということになるのだが，「どうせ何かで解決されるだろう！」という感じでその部分を「パス」してしまうと，「残る意外性はどこにあるか？」を探す読み方ができ，その意味では読みやすいミステリでもあった。以下はミステリの「理系的」部分のメモ。燃えるガソリンが入ったポリタンクを離れた場所からどのようにして燃やすか。→パソコンを介した電話のプッシュ音による遠隔操作で高出力炭酸ガスレーザー光線で発火させるが，その前にヘリウム･ネオン・レーザーで位置調整。おまけは，電子レンジと電球によるプラズマ発光。転写（うつ）るアルミニウム製の亡霊マスク→アルミの金属片がカミナリによる電流の衝撃波で死体の顔に押しつけられた。おまけは，段ボール箱の仕掛けによる蚊取り線香の煙のドーナツ。壊死（くさ）る浴槽での心臓麻痺の死体の胸に壊死部分→超音波加工機により，心臓の神経を麻痺させた。おまけは，超伝導体のピン止め効果（磁力で空間に固定）。爆（は）ぜる黄色い火柱が立って，ビーチマット上の女性が爆死，黄色い火の玉が海面を滑りながら広がる→ナトリウムと水の反応による爆発。離脱（ぬけ）る見えないはずの位置にある自動車を病気の子供が「幽体離脱」で目撃→熱い空気と冷たい窒素の層による光の曲線的屈折。蜃気楼と同じ原理。おまけは，ネオジウム磁石によるシャボン玉のひきつけ。「容疑者xの献身」（日記は→こちらから）は，シリーズの番外編といったところか？キャラクターを借りてはいるが，本作と直接つながっている感じはしなかった。少なくとも，「工学ミステリ」ではなかったしなあ！というのは，知識として「ガリレオ探偵」に頼る部分がほとんどなかったからである。「天才ガリレオ」の知恵は借りていたが，それは，ほかの「名探偵」でもよかった。とまあ，こんなことを書くのは，「X」がたまたま直木賞受賞作になって脚光を浴びてしまったからかもしれない。何もなければ，素直に「ガリレオシリーズに新境地を開いた」などと絶賛していた可能性もあり，なかなか複雑な心境ではある(笑)シリーズ次作の「予知夢」も読んでみよう。東野圭吾の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東野圭吾）からごらんください。次の日記も読ませていただきました。なほまる日記・離れ（☆なほまる★さん）　　こんな本…読んでみました（kobuti(^^)vさん）懐中時計とペン（咲哉1227さん）　　未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）cascadeのたわごと（cascade0920さん）　　+ ChiekoaLibrary +（chiekoaさん）━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス　　探偵ガリレオ　　　探偵ガリレオ（文春文庫）東野圭吾

  2006/02/23

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  七人の迷える騎士（関田涙）

  なんとか，関田涙の「七人の迷える騎士」を読んだ。前作「蜜の森の凍える女神」（日記は→こちらから）で触れられていた，「ヴィッキーが１年前に解決したし，その名をとどろかすことになった」事件とその後日談（というか本編）が書かれている。途中でやめようかなとも思ったが，そこが浅はかな活字中毒者で，最後まで読んでしまった(苦笑)謎解きはまあまあおもしろかったし，最後の「謎」というか余韻の残し方もとてもよかったのだが，どうにもいけなかったのが，語り手である誠くんのスタンス。姉を「美少女」といってもち上げるほどに，兄弟ではない読者は冷めていく。またそれ以前に，彼自身が冷めすぎているように感じた。読んでいると「態々」「蟠り」「嗜める」などなどやたら難しい漢字が出てくる。それが中学生らしくないとはいわない。中学３年生で文芸部だと，調べてでも難しい漢字を使いたい年頃ではあるかもしれない。それをわかったうえで，やはり，あまりお付き合いしたくない相手だと思ってしまえたのである。次の日記も読ませていただきました。ブックエンドのテーマさん関田涙の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（関田涙）からごらんください。━Your Click Cheers Me Lot━━━━　　　　　　　このブログのRSSのURL　→　　RSS　━━━━━━━━━━━━━━━━楽天ブックス七人の迷える騎士　　　　　関田涙

  2006/02/15

• セリヌンティウスの舟（石持浅海）

  石垣島でのダイビング。海面に浮上すると待っていたのは嵐の海。大きく流された６人の仲間は手をつなぎ輪を作って待つことでボートを待ち，生き延びることができた。その輪を語り手である児島克之は「舟」であると思い，そこに生まれた一体感，信頼関係をメロスに対するセリヌンティウスの信頼にたとえる。石持浅海の「セリヌンティウスの舟」は，その舟をの行方を執拗に追いかける。伊豆半島でのダイビングの帰り，仲間の１人である三好の家で飲み，酔いつぶれて寝てしまった翌早朝，語り手であるコジは米村美月の自殺を発見。納骨式のあと，美月抜きで三好の家に集まった５人は彼女の死を「心の中で整理する」ために改めてその自殺を見つめ直し，話し合う。物語は途中に２年前の石垣島での出来事をはさみつつ，この話し合いが終わるまで続く。本当に自殺だったのか？　自殺に使った青酸カリの瓶のキャップが閉まっていた理由は？　その瓶が転がっていた理由は？　………疑問が提出され，その答えが出たかと思うと次の疑問が提出され……それが続いていく。もともとこのパターンの謎解きはあまり好きではない（本当は他殺ではないか？　などとついつい最初の前提に邪念が入ってしまうのだ(笑)）。ということで，今回も流されるままに詠み進んでいったが，魚肉ソーセージがポイントになることは，ある程度予測していた。しかし，それもいったんは否定され，方法として再浮上し，最後の最後にドカ～ン！！５人は「セリヌンティウス」の信頼にもとづいて話し合いをし，それが最後まで崩れることはなかった。しかし，舟はいずれ壊れる運命。美月の意図が舟を壊さないために海の嵐を再現することであっても，最後は磯崎の自殺という形で壊れていってしまう。アクションも愛憎劇も金銭トラブルもなく，刑事も探偵も登場しなかったけれど，なかなか迫力のある１冊だった。ただ，集まった６人の誰もが「理知的」に過ぎたのがちょっと残念。「自殺」を検討しているとき，「それではこの中の誰かが犯人！？」とわめきだす人が出たら，「舟」そのものが成立しないだろうことはわかるのだが……石持浅海の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（石持浅海）からごらんください。次の日記も読ませていただきました。研究日誌（伊吹律さん）　　読書飛行記（しゃんテンさん）本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）　　日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）ミステリの部屋（samiadoさん）　　毎日が読書日和（くりむーぶ389さん）積んどく？　読んどく？（shiba_motoさん）　　まみむメモ（＠かぼちゃさん）book diaryさん　　IN MY BOOK by　ゆうきさんkinosy　本の感想さん　　猫は勘定にいれませんさん未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）うたたね通信社　～活字中毒主婦の日常～（山村まひろさん）海砂のつらつら日記（kaisa21さん）　　いろんなことを忘れないために（dai583さん）楽天ブックスセリヌンティウスの舟　　　　　石持浅海

  2006/02/08

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  「希望」（永井するみ）

  最初の部分に関して，どうしてもネタバレになってしまいます。ご注意ください。老婆の連続殺害事件。犯人は被害者の頭髪をきれいにそり，右腕に小学校でよく使われる「たいへんよくできました」の丸いスタンプを押されている。これが，永井するみの「希望」のプロローグ。熱田陽子はカウンセラーの成瀬環に，５年近く少年院にいて戻ってくる19歳の息子への不安を訴える。彼が，５年前の老婆連続殺人事件の犯人であり，世間やマスコミへの対応だけでなく，彼自身にどう対応していいのかとの不安もあった。一方で，事件の被害者の孫たちの不審な動きがあり，出所した少年の姿がインターネットに流されたり，彼の写真が素人モデル雑誌に載せられたりする中，少年が襲われる。「被害者」となることで報道規制からも外れ，マスコミにさらされた家族は，それまでもめんどうをみてくれていた雑誌社の林の世話でウィークリーマンションで暮らすことになる。５年前の事件を担当，少年を逮捕した海棠が今回の事件も担当することになるが，カウンセラーである環と関係をもった直後に，少年の母陽子も襲われた。第１発見者である環の過去がマスコミに暴かれ，父親を未青年の「親父狩り」によって失っていることが判明。と，話は続いていくが以下は省略。「少年犯罪とは？」とか「マスコミ報道のあり方は？」とかを真正面から扱うのではなく，さまざまな要素を絡ませつつ，ミステリ仕立てで構成されているのでとても読みやすかった。ただ，最後が若干腰砕け。最後の事件の「犯人林」は，唐突ではあったが，まあ納得。動機が「弱い」という感じもちょっとしたが，逆に「あってもよい」とも思えた。それにしても，わざわざ舞台を福島まで移したわりに，そこで起こったことがあっさりしすぎて（あるいは，バタバタしすぎて）いて，盛り上がりに欠けたのだ。少年の妹の結やかつての被害者の孫である晋のキャラクターもぼけてしまったように感じられたのが残念。エピローグで少年が環の手にスタンプを押したシーンはホラーじみていてよかった。その後に環が下腹に手を当てて「希望は，おそらくここにある。」と感じた部分よりずっと印象に残った｡次の日記も読ませていただきました。目標　一日　一冊（かわたさん）永井するみの他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（永井するみ）からごらんください。楽天ブックス希望　　　　　永井するみ

  2006/02/05

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  ぼくと未来屋の夏（はやみねかおる）

  不思議な雰囲気をもった本というのが，はやみねかおるの「ぼくと未来屋の夏」の印象。ミステリ仕立てではあるのだけれど，謎解きそのものにはあまりこだわらなくてよいという感じだった。髪櫛町の駅前商店街で「未来屋」と名のる猫柳青年と出会った作家志望の小学６年生風太。その風太の夏休みの生活と冒険が話の中心となり，過去に起こった神隠しの謎なども解いていくのだが，なんといっても「未来屋」猫柳と風太のやりとりが楽しい。いろいろなところを旅している途中だという未来屋だが，夏休みが終わると風太の家から消えてしまう。そして，な，なんと風太の担任の大原先生のマンションに転がり込み，結婚することに。そんなことでいいのか！　という気もするが，いいのでしょう。肩が凝らずに読める１冊。表紙裏に町の地図が載せてあるのもよかった（ただし，風太の家の場所がわからなかった！）。次の日記も読ませていただきました。日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）　　りぶらりだいあり（りぶらりさん）日本のミステリ作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（ミステリ）からごらんください。楽天ブックス　　　　　　　　　ぼくと未来屋の夏　　ぼくと未来屋の夏（1）（コミック版）はやみねかおる

  2006/02/02

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  蜜の森の凍える女神（関田涙）

  再読になるが，関田涙の「蜜の森の凍える女神」を読んだ。これは，次作「七人の迷える騎士」を読むための「復習」のつもりだったのだが，それがよかったのか？　悪かったのか？　……再読なので，途中まで読んで犯人は２人のうちどちらかというところまでは思い出した（記憶なんて，まあ，そんなもんだ！）。さらに著者が最も大切にしているだろう中学３年生である書き手の誠君についても思い出した。ゴールデンウィーク前の季節外れの大雪に閉じ込められた山の別荘で起こる連続殺人。しかし，いわゆる「孤島」ではない。電話はずっと通じているし，２件目の殺人にいたっては，捜査にきた多数の警察官のいるときに起こっている。おもしろそうでしょ！！でも，合わない！！　らしい。理由はわからないが，アリバイとかトリックとかを含めて（実は犯人あては「心理描写」に頼ることが多いのですが）何もかも，あまり深く考える気にならなかった。まあ，これは復習編なので……次の日記も読ませていただきました。ミステリな日々（あっくん先輩さん）　　フォッカーといえば････（ベローソフさん）関田涙の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（関田涙）からごらんください。楽天ブックス蜜の森の凍える女神　　　　　関田涙

  2006/02/01

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  容疑者ｘの献身（東野圭吾）

  図書館にリクエストをして待つこと４か月強の東野圭吾の「容疑者ｘの献身」だったが，読み始めから読み終わりまではあっという間だった。待っている間に直木賞まで受賞してしまったので，結果的に「受賞作」を読むことになったが，これは自分としては非常に珍しい（というかまずない）事態だった。まあ，単なる「偶然」……「わかりやすくて，おもしろかった」あたりが印象かな。「感動した」とか「ガ～ン」というのは特になかった。トリックの骨格がほぼわかったのが，「たとえば幾何の問題に見せかけて，じつは関数の問題であるとか」という石神の発言を草薙が湯川に伝えたあたり（ってここでは遅いか！）。直後の章の石神の通勤コースの描写で，「技師」の不在を確認した。ただし，殺人があった日付のズレには気づかなかったので，「わかった」とはいえないのかもしれないが(笑)「物理の天才」と「数学の天才」の対決ということらしかったが，トリックはあまり「理系的」な感じがしなかった。自分としては，ひもを使って鍵を閉めるようなトリックよりこういうトリックのほうが好きだ！！最後まで気になったのが，「献身」の意味である。この言葉からは，自分を殺したほんとうの「献身」である場合と「献身」をよそおった相手の支配の場合と２通りが読みとれる。これは，石神が「よい人」であるのか「悪い人」であるのかが最後までわからなかったということで，ある意味かなり不気味な，正体不明のキャラクターであったということでもある。こういうキャラも嫌いではない(笑)どちらの意味に落ち着くのかは，読んでみなければわからないのでせっせと読んだ。ということで，どちらだったかはここでは書かないので，本をお読みください。次の日記も読ませていただきました。りぶらりだいあり（りぶらりさん）　　ミステリの部屋（samiadoさん）まみむメモ（＠かぼちゃさん）　　赤いライオンを探して（村雨十郎太さん）背表紙ふぇちの独白（ayafkさん）　　はぐれ雲さん“天気職人”を見上げるえむのぶろぐさんIN MY BOOK by　ゆうきさん　　「本のことども」ｂｙ聖月さん粗製♪濫読さん　　G3 laboratoryさん梟通信～ホンの戯言さん　　B級ポータル～個人的ポータルサイトを目指します～（ラジオ00さん）日々のあぶく（ｋｉｙｕ25さん）　　life is journey．（micky-momoさん）kayokorin日記（kayokorinさん）　　未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）５０代！おっさんの本棚（cyn1953さん）　　なほまる日記・離れ（☆なほまる★さん）本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）　　気まぐれ日記（kemeko09さん）杏のらんどく日記（あんずさん）　　いろんなことを忘れないために（dai583さん）海砂のつらつら日記（kaisa21さん）東野圭吾の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（東野圭吾）からごらんください。楽天ブックス容疑者Xの献身　　　　　東野圭吾

  2006/01/29

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  ペルソナ探偵（黒田研二）

  「ふ～ん，こんな作品もあるのか」というのが，黒田研二の「ペルソナ探偵」の印象。いつもの，といっても「霧の迷宮から君を救い出すために」（日記は→こちら）と「ウェディング･ドレス」（日記は→こちら）を読んだだけなのだが，それらと違って，この作品の基調は暗くない。殺人や自殺を扱っているので決して明るくはないが，「きれい」にまとまっていた。自分が思っていた彼の基調を原点とすると，明るさ「＋３」といってもいいほどだ(笑)１話，２話……として，ネット上の同人誌サークル「星の海」に集まった６人の会員の作品が示され，インタールードとして，その同人誌に「New Season」という作品を書いたとの理由で，各務亜弓が脅迫され，自殺をする事件が織り込まれる。星の名前をもつ各同人の作品は，それ自体で短編ミステリとして楽しむことができるが，その中には会員どうしのチャットのやりとりなどもあり，各務亜弓の自殺の真相を知るための貴重な伏線にもなっている。「構成で読ませる」黒田研二の面目躍如といったところか！！タイトルのペルソナ探偵（仮面探偵←ちょっと強引）は，１人でカストルとポルックスであったケイ君のことだろうが，「ペルソナ」はベガの名で女性として作品を書いていた河合龍一を始め，会員のすべてがつけていたものだろう。各務が愛したのが本当の自分ではなく，ペルソナ「ベガ」としての自分であることに気づいたから別れたという河合（それに各務）が哀れだったが，それをも昇華する形で（プラスのニュアンスでも，マイナスのニュアンスでも），エピローグがきれいにまとまっていた。黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。楽天ブックスペルソナ探偵　　　　　黒田研二記事関連のオススメ日記田ライダー（田ライダーさん）

  2005/12/25

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  ウェディング･ドレス（黒田研二）

  前回読んだ「霧の迷宮から君を救い出すために」（日記は→こちら）では，「しまった，プロローグを忘れていた！！」というのが感想の総括だった。今回読んだ，第16回メフィスト賞受賞作である黒田研二の「ウェディング･ドレス」では，プロローグの場面は本編に何回か出てきたので忘れなかったが，タイトルを忘れていた！！いや，短いタイトルなので完全に忘れていたわけではないが，読了後タイトルにかなり大きな意味があることに気づいたということ。話は祥子（さちこ）とユウ君が交互に語る形で進められていくが，徐々に２人の話が食い違い，その食い違いが次第に大きくなっていく。どうなっているんだ！！！　と叫びつつ，「そうか，時間軸か人間がずれているのだろう」と思いつつ，語り手が祥子の母親に入れ替わったのかしら？？　などととんでもないことまで考えたが，どうにもつじつまがあわない。そこまでで，考えることを放棄してさくさくと読んでしまった(笑)ほぼ終盤，祥子が教会で「長い告白」を始めたあたりから，やっとわかり始め，さらにその告白にだまされ！！おもしろかったです。道具立てでの謎ではなく，全体の構成での謎を楽しみたい方にはお勧めです。ただし，基調が暗いので，落ち込んでいる人にはオススメではありません(微笑)次の日記も読ませていただきました。田ライダー（田ライダーさん）　　たいりょうのちょっと一息さん黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。楽天ブックスウェディング・ドレス　　　　　黒田研二

  2005/12/20

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  鬼火島殺人事件（天樹征丸）

  新装版が図書館の「新刊コーナー」にあったので，つい借りて，天樹征丸の「金田一少年の事件簿　鬼火島殺人事件」を読んだ。夏休みに一緒に旅行をする約束をしていたことを美雪のことばで思い出した一だが，胃の検査を深刻に（？）考え，死の宣告を受ける前にとバイト代をすし屋で使い果たしていた。例によって調子よく，南房総の小島に２人でアルバイトに行くことにすりかえてしまう。その小島が，例によって本土との連絡が出来ない孤島状態になり，例によって，連続殺人事件が起きる。と，「例によって」の３連チャン（笑）それに続く内容は本に書いてありますので，お読みください。いちおう一生懸命考えたけれど，犯人はわからなかったなあ。第１の殺人が可能なのは被害者のとなりの部屋の人間だけだとは思ったのだが，なにしろ２番目に殺されてしまったからなあ！？読み終わってから，そういえばそんな手もあったなあと感心することしきり。心情とか，計画実行の可能性とかをあまり深く考えずに「犯人あて」を楽しむのに最適な１冊です。日本のミステリ作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（ミステリ）からごらんください。楽天ブックス金田一少年の事件簿鬼火島殺人事件天樹征丸

  2005/12/10

• 「神の子の密室」（小森健太朗）

  ミステリとはいえ，殺人はでてこない。小森健太朗の「神の子の密室」は，「イエス復活」の謎を「密室」崩しという視点に搾りながら解明していく。キリスト教の知識が「ある・ない」はあまり関係なく楽しめるとは思うのだが，人によって好き嫌いがでそうな作品だなあ。自分としては，けっこう好きなタイプの作品である。作品の中でのポンテオ・ピラトのスタンスがとてもおもしろく感じられた。それにしても，最近「品切れ」の本の記事が続いてしまった（笑）図書館から借りる本の選択が微妙に狂っているのかなあ？次の日記も読ませていただきました。混沌の本棚（琵音さん）　　■□■幻想庵■□■さん楽天ブックス神の子（イエス・キリスト）の密室（品切れ）　　　　　小森健太朗

  2005/11/05

• 「卍の殺人」（今邑彩）

  ノベルズ（1996，C・NOVELS）の裏表紙に「あの頃私はこういうものも書いていたのか」と著者が書いているように，今邑彩の「卍の殺人」は，著者のデビュー作。アフィリエイトを見たらすべて「売り切れ」になっていた。古いものを読んでしまったようだ（笑）でも，おもしろかったよ。わかりやすいのも，よかった。今回はプロローグも忘れませんでした！！内容を書いてしまうとネタバレになりそうなので，下のリンクからごらん下さい（本は売り切れです）。図書館で見つけたら，読んでみてください。次の日記も読ませていただきました。いろんなことを忘れないために（dai583さん）楽天ブックス卍の殺人　　　　　今邑彩

  2005/11/05

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  霧の迷宮から君を救い出すために（黒田研二）

  ２か月間の入院生活を終わり，今日が退院の杉村。黒田研二の「霧の迷宮から君を救い出すために」の第１部・現在１はそこから始まる。主人公杉村は，後頭部を強打したために視覚に異常を生じ，動いているものを見るとその部分が白い霧に変わってしまう。しかも，６秒間隔で脳内に静止画像が取り込まれるため，止まっているものであれば，６秒たつと認識できるという特殊なケースだった。続いて語られる２か月前の散々な日。夜道を100キロ以上の猛スピードで飛ばし，車道に突然現れた人影に事故を避けようとして道路標識に激突。そのままセールスを終えて会社に戻ると，由希先輩からの電話で，高原に建てられた防災用シェルターへ呼び出される。シェルターの異常に気づいて逃げ出すしたところを襲われて崖から転落。翌日発見されて入院中の彼を刑事が訪れ，由希が密室状態のシェルターで死んでいたことを知らされる。退院後，「闇男」の犯行と断定する警察がアテにならないとして，真相を暴こうとする杉村だが……田ライダー（田ライダーさん）の日記を読んで，図書館から借りた本だが，おもしろかった。杉村の視覚の設定が不思議な世界を作り上げているうえに，謎あり，ロマンスあり，アクションもあり。しかも，びっくりあり（だまされまくってしまった！）。だまされたのは２部の最後から３部の20ページ弱。タマちゃんが殺人犯だとは思わなかったなあ。そういえば，伏線は色々とあった。「動機」はわかるような気がする……などと読んでいると，最後の最後に大逆転。「しまった，プロローグを忘れていた！！」と，かなり悔しい思いをしたのだが，よい作品だった。黒田研二の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（黒田研二）からごらんください。楽天ブックス霧の迷宮から君を救い出すために　　　　　黒田研二記事関連のオススメ日記フォッカーといえば････（ベローソフさん）

  2005/10/25

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  三百年の謎匣（芦辺拓）

  森江春策は新聞記者出身という変わった経歴を持つ弁護士で，素人探偵という「副業」をもつ。芦辺拓の「三百年の謎匣」は，その森江春策のシリーズの１作（今の時点で最新刊のはず）である。シリーズとはいっても，「順に読んだほうがいい」とか「前作を読んでいないとつらい」ということはない。本拠地が大阪であることと，森江春策がかなり「のほほん」とした性格であることを抑えていればじゅうぶんなのだが，それも，本を読むうちに次第にわかってくる。今回は（も，というべきか）作者のサービスいっぱい。彼の事務所に訪れた人物の「密室状態」での死を，アシスタント役の新島ともかが目撃し，森江がその事件を解決するのに先立ち，1709年から1937年にわたる６つの話を読んでいくことになる（海賊話あり，西部劇あり，ナイル上流の幻の王国ありで楽しい）。途中の話が現在の事件を解く鍵になると思い，かつ，最初の挿話「新ヴェニス夜話」の舞台がわかってしまったため，関連をつかもうとむきになって読んでしまったが，これが失敗！！もっと気楽に１話ずつを楽しむべきだった！！いや，楽しかったことは楽しかったのだが，ついつい，アヘンが鍵かとかの余分なことを考えていたため，かんじんの「匣」に隠されている意味，つまり隠し場所であることに気づかなかったのだ。森江春策は，過去の話から「二重」というキーを見つけて現在の事件を解決するのだが，話の運びとしては，「逆転」というのも（ある意味では同じかもしれないが）あった。依頼人として登場した人物が実は偽物であったり，エキゾチックな美人である依頼人の孫が実は殺人の実行犯であったりと，設定が逆転していくことで，密室の謎も解決していくことになる。ええ，まあ，おもしろかったですよ。この人の作品については，京極夏彦の「百器徒然（風）」に関連して「時の誘拐」を紹介したことはある（→日記はこちら）が，「安心して」読める作家のひとりであることは間違いない。芦辺拓の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（芦辺拓）からごらんください。次の日記も読ませていただきました。本格ミステリと旅の写真（☆かよさん）酔眼漂流記さん楽天ブックス　　　　　三百年の謎匣　　　　　時の誘拐芦辺拓

  2005/10/23

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  アリア系銀河鉄道（柄刀一）－その２－

  その１（→日記はこちら）の続きです。柄刀一の「アリア系銀河鉄道」以下はネタバレを含みます。ただし，露骨なものは例によって色を薄くしてあります。探偵の匣「匣」の意味がとても深い作品だと思うが，「どのように深いか」を書いてしまうとネタバレになるので，本を読んでいただくしかない。吉武博士が事件の被害者であり，証人であり，探偵であり，そして犯人であったということに加え，自分の中の多重人格を殺すという大量殺人をも実現しているのであるが，この短編ではそれが「驚きの一部分」でしかない。現実の宇佐見博士の時間軸については作品の最後に述べられているのだが，そこに新たな驚きが待っていることだけ書いておこう。宇佐見護博士がアメリカ西海岸にいること，利き腕が左であること，高所恐怖症ではないこともこの作品からわかった。アリア系銀河鉄道半径を１ｍ長くすると，どんな円でも周が3.14ｍ長くなるというのは結構有名な話なので，その部分の「不思議」はあまりおもしろくなかった。だが，それ以外の鶴見未紀也殺害方法，グリーンフィールドの脱獄方法は，予測はつかないもののおもしろく，銀河鉄道での旅とそこからの帰還および時間の「ごまかし」を含む２人の救命は，なかなか楽しかった。アリスのドア石の部屋からの脱出。「よくまあ思いつきますねえ」と，とことん感心。４つの鍵を含むブロック全体が鍵の形に見えたので，そこであろうとは思ったのだが，まさかずらしていくとは！！この作品と，「アリア系銀河鉄道」の時間軸については，作者の「あとがき」をお読みください。改めてもう１つ別の作品を読んだような得した（？）気にさせられることが書いてありました。「読む前に気づけよ！！」って？　「ムリ，ムリ」私にはそこまで思いつくことができませんでした（笑）柄刀一の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柄刀一）からごらんください。楽天ブックスアリア系銀河鉄道　　　　　柄刀一

  2005/10/22

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  アリア系銀河鉄道（柄刀一）－その１－

  読みながら，「さっぱりわからない！！」とうなっていたのが，柄刀一の「アリア系銀河鉄道」だが，「解説」と「あとがき」を読んで，ややわかる部分も出てきたような気がして，もう一度読み返した。……でもやはり　？？　が残る作品だった。「三月宇佐見のお茶の会」という副題がつき，紅茶好きの宇佐見護博士を中心とする「短編３＋解説３＋短編１＋あとがき」の構成。以下はネタバレを含みます。ただし，露骨なものは例によって色を薄くしてあります。言語と密室のコンポジションあとがきで「アリア系銀河鉄道」と「アリスのドア」についての本人のコメントを読んで，「全体が空想の話」ではなく，少なくとも宇佐見博士に関する限り時間軸が現実的なものであることがわかり，ちょっと安心した。それから考えると，この話で宇佐見博士が「字義原理・実存の猫」に誘われ，「ベテル」の塔の「ミステリーの現場」に行って帰ってくるのは，紅茶をカップに注いで香りがたちのぼってから，「淹れたてを思わせる湯気が立ちのぼる」までの間，すなわち，一瞬である。↑だからどうした，という感じなのだが，とりあえずおさまりがつくものはおさめておきたかった。その一瞬の間に博士が行くのは，「地の文」で思ったことが現実となってしまう世界の中にあるベテルの塔｡その最上階での密室殺人事件を解き明かすというのが博士の役割である。「聖杯のChalic」がChとAliceにわかれて，そのAliceが殺人の実行犯というところはとてもおもしろかったが，こんなのって，予測不可能！！「やられた」というより「そうですか」という感じだった。「佳多山」解説でChがルイス･キャロルのことだと知り，これにも「なるほど！」ところで，「ベテルの塔」の「ベテル」って何？　知っている人がいたら教えてください！！！案内役であるシオンとボオンが，服のマークから「子音」と「母音」であることがわかったのだが，その役割分担についてはよくわからなかった。その他の登場人物の名前にも含みがありそうだが，さっぱりわからなかったなあ。ノアの隣お茶用にと大佐がプレゼントした水の大きな甕を部下が倒し，その水に溺れかけた一瞬に，宇佐見博士はノアの方舟に行き，歴史のかなり長い期間をそこで過ごすことになる。戻った博士がその体験を大佐と普通に話し合うことから考えて，博士の「ワープ」は知人の間では周知のことのように思える。この話の最大の謎は「どうして方舟が逆方向を向いたか」であるが，岩塩という道具立てを除いた，謎の骨組みはわかった。この話のメインは「謎」よりも，「人類水生説」なのだろうなあ。「人類の祖先が水に住んでいたから，体毛が頭髪にしか残っていない」などなど，結構おもしろかった。ただ，今回はタイトル「ノアの隣」の「隣」が不明。「ノア」はやはり「ノア」ではなかったということなのだろうか？　それとも単に博士がノアの隣りに行ったということなのだろうか？残りの作品についてはその２（→記事はこちら）をごらんください。柄刀一の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（柄刀一）からごらんください。楽天ブックスアリア系銀河鉄道　　　　　柄刀一記事関連のオススメ日記ミステリの部屋（samiadoさん）

  2005/10/21

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